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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第33話 広がる世界と見えない糸

ここまで読んでいただきありがとうございます。


第33話では、成功の余韻の中で

新しい流れが一気に動き出します。


BLUE EDGEとの打ち上げ。


そして、そこから広がる仕事の数々。


環境が変わり、人が増え、

物語は次の段階へ進んでいきます。


一見すると順調な展開ですが、

その中には少しずつ違和感も混ざり始めています。


何が起きているのか。


まだはっきりとは見えませんが、

確実に“何か”が動き始めています。


打ち上げは、思っていたよりも静かだった。


 都内のバー。


 落ち着いた照明の中、グラスの音だけがゆっくりと響く。


 BLUE EDGEのメンバーと、レイナ、恒一、佐倉。


 空気は穏やかで、それでいてどこか張り詰めている。


「いや、ほんと良かったよ」


 レンが軽く言う。


「反応もちゃんと出てるし、いいスタートだね」


 佐倉が笑う。


「想像以上ですよ」


「まあ、ここからだけどね」


 レンは肩の力を抜いたまま、グラスを傾ける。


 レイナはその様子を見ながら、小さく言う。


「……ありがとう」


 レンが視線だけ向ける。


「何が?」


「曲」


「ああ」


 軽く頷く。


「ちゃんとバンドの音に負けてなかったよ」


 少しだけ間。


「普通、ああいう生の音だと飲まれるんだけどさ」


「ちゃんと前に出てた」


 レイナは少しだけ目を伏せる。


「……必死だったから」


「それでいいんじゃない?」


 レンは笑う。


「余裕あるやつの歌って、あんま面白くないし」


 軽く言う。


 でも、その言葉は芯を突いている。


 さらに、グラスを置きながら。


「それにさ」


 少しだけ距離を詰める。


「画面越しでも思ってたけど」


「実際見ると、もっといいね」


 レイナが少しだけ顔を上げる。


「……なにが?」


 レンは迷いなく言う。


「雰囲気」


「声もそうだけど、立ち方とか」


「変に作ってない感じがいい」


 軽いトーン。


 でも、本質を見ている言葉。


「そういうの、今の時代強いよ」


 少し間。


「普通に売れると思うよ、このままいけば」


 押しすぎない。


 でも確信はある。


 レイナは少しだけ視線を逸らす。


「……そういうの、あんまり言われ慣れてないから」


「でしょ」


 レンは笑う。


「だから今言っとく」


「慣れる前の方がいい顔してるし」


 さらっと刺す。


 恒一はそのやり取りを横で見ていた。


 何も言わない。


 でも、ほんの少しだけ視線を逸らす。


 レイナは小さく笑う。


「……ありがとう」


 やんわりと。


 距離を保つ。


 レンもそれ以上は踏み込まない。


「まあ、仕事抜きにしても」


 グラスを持ち上げながら。


「普通にいい素材だと思うよ」


 軽く言う。


 でも、その言葉は妙に残った。



 その後。


 状況は一気に動き出した。


 仕事が、止まらない。


 取材。


 出演。


 収録。


「……これ、回る?」


 恒一がスケジュールを見て言う。


「正直ギリギリですね」


 佐倉が答える。


「人手が足りない」


 はっきり言った。


 レイナは黙って聞いている。


 止めるつもりはない。


 今は、進むしかない。


「……増やすか」


 恒一が言う。


 佐倉が少し考える。


「簡単には見つからないですよ」


 そのとき。


 スマホが鳴る。


「……神代さん?」


 佐倉が画面を見る。


「はい……え?」


 少し間。


「……紹介?」


 通話を終える。


「どうした?」


「人、紹介してくれるって」


 恒一が眉を上げる。


「そんな都合よく?」


「まあ……神代さんですし」


 佐倉は少しだけ考え、


「一度会ってみましょう」



 数日後。


 事務所。


「はじめまして」


 落ち着いた声。


 スーツ姿の男。


「桐谷といいます」


 30代前半。


 柔らかい笑顔。


 その隣に。


「一ノ瀬です、よろしくお願いします」


 明るい声の女性。


 親しみやすい雰囲気。


「神代さんから紹介いただきました」


 自然な流れ。


 違和感はない。


「助かります」


 佐倉が頭を下げる。


「こちらこそ」


 桐谷が穏やかに返す。


 面接。


 軽い確認。


 どちらも問題ない。


 むしろ優秀。


「即戦力ですね」


 佐倉が小さく言う。


「だな」


 恒一も頷く。


「じゃあ、お願いできますか」


「はい」


 それで決まった。


 新しい人間が入る。


 流れはさらに加速する。



 その夜。


 静かな部屋。


 スマホの画面が光る。


 スケジュール。


 資料。


 そして——レイナの名前。


「……順調ですね」


 桐谷が静かに言う。


 一ノ瀬が微笑む。


「ええ」


「想像以上に」


 少し間。


「神代さんの読み通りですね」


 桐谷が頷く。


「情報は、このまま流します」


「はい」


 一ノ瀬が小さく笑う。


「バレないように、丁寧に」


 静かな会話。


 だが、その裏で確実に何かが動いている。



 その頃。


 レイナは何も知らずに、次の仕事の準備をしていた。


 広がる世界。


 増える人。


 順調な流れ。


 でも——


 その裏で。


 見えない糸が、少しずつ絡まり始めていた。


第33話を読んでいただきありがとうございました。


今回のテーマは「拡大と違和感」です。


成功によって人が集まり、

環境は一気に整っていきます。


桐谷と一ノ瀬。


新しく加わった二人は、

間違いなく戦力として必要な存在です。


ただし——


すべてが順調に進みすぎている時ほど、

見えない部分で何かが動いていることもあります。


そしてもう一つ。


神代レンという存在。


彼の言葉や行動が、

今後どのように影響していくのかも一つの鍵になります。

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