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魔法使いは知らない世界を旅する  作者: 絵狐
二章 迷宮都市
36/48

36話


 迷宮がある地区に負けず劣らずのウォーカー達がいる商業区を協会の職員が書いてくれた大雑把な地図を見ながら進んで行く。


 行ったり来たりを繰り返し進んでいると目的の店が現れた。そこはソールが一度来た事のあったドワテラ族の女性が店主を務める店だった。


 世間は狭いなと考えながら店に入ると本当に狭かった様で土砂の迷宮で絡んできた男一女二のパーティーがいた。


 ソールが関わりたくなーとこの世界mの見知らぬ神に祈ると気を利かせてくれた様で男が気が付きソールに声をかけて来た。


「ユーさん!こんにちは!」


 だれやねんそれとソールは一瞬思ったが、確かそんなそんな感じの偽名を名乗ったなと思いだし挨拶を返す。


「どうもこんにちは」


「はい。今日はユーさんも買い物ですか?」


 男慣れしてなさそうな村娘だと勘違いして一発で恋に落ちそうな笑顔だったが……ソール的にこういうヤツは男でも女でも苦手だった。


 少し話をし素早く売って帰ろうと計画するが騒ぎを聞きつけたのか仲間の神官と魔術師もやって来た。

「フォード。どうかしましたか?……あら?」


「フォード。どうしたの?……げっ」


 こっちがげっだよと言いたくなったが言うと確実に話が長引くのでソールは二人にも軽く挨拶をしてからそんな感じの名前だった男に話しかける。


「フォードさんと言いましたか?急ぎますので申し訳ありませんが失礼します」


 そう言ってそそくさと去ろうとするがあのうるさい女に絡まれる。


「ちょっとそこのあんた!私達のパーティーリーダーに馴れ馴れしわよ」


 そう思うなら話しかけて来ないでくださいと言いたかったが……以下同文


「トーリフ。止めてくれ。ユーさんは僕たちのパーティーに入るかもしれないだろ?仲良くしないと」


「そうですよ」


 こういう所が無理だとソールが思っているとトーリフと言われたうるさい魔術師が何を勘違いしたのか一人で騒ぎ始めた。


「はぁー!?魔術師なら私がいるでしょうが!そんなヤツ必要もないでしょう!」


「パーティーの火力があがるなら魔術師は何人いてもいいんだよトーリフ」


「そうですよ!」


 こうなってしまうと何を言っても揉めるのはわかっているので無言に徹しようとしていると店の奥から店主が現れる。


「やっかましい!痴話喧嘩やったら余所でやれ!」


 ソールはたぶん伝わらないだろうが口元だけを動かして私は無関係なので助けてくださいと言った。


 それが伝わったのどうかは分からないが店主はソールを呼んだ。


「そこの白ローブ。ちょっとこっちこい!用事や」


「分かりました。では皆さん。お元気で」


「ユーさん!話し終わるまで待っていますので終わったらパーティーについて話し合いましょう!」


 それを無視してソールは店主に奥にいく。その道中で礼を言った。


「ありがとうございます。助かりました」


「うい。かまへん。まーああいう面倒くさい輩はどこにでもおるし、前に沢山買ってもうたお客さんやしな」


 奥に着くと工房の様になっており人族やドワテラ族の職人と思われる人達が武器を研いだり導具を組んだりしていた。


「それで今日はどうしたん?なんか買いに来たんけ?」


「それもありますが迷宮から戻ったので協会に行って買い取りしてもらっていたらある一品はここで見て貰った方が良い値がつくと言われたのでこちらに持って来ました」


「なるほどな。こっちに来たって事は向こうの方が近いガスケットの所にも行ったんやろ?忙しかったんけ?」


「まーあっちは個人的に訳ありなのでパスです」


「なんや暴れて出禁か?」


「そんな所ですね」


 その会話の何処に機嫌がよくなる所があったのかは分からなかったが、店主はおとなしそうな顔してやるやん!とーソールの腰をバンバンと叩いた。


 機嫌の良いまま買い取って欲しい物を出す様に伝える。


 ソールは言われた通りに宝箱から出たミスティス鋼でできたと言われた杖を取り出し渡すと店主の顔から笑顔が消え急に真面目な顔つきになった。


「ミスティス鋼の杖け!?」


「協会の鑑定結果はそうだと言ってました。あと私も確認しましたが魔力増加の効果があるようです」


「……協会を信用せーへん訳とちがうけどちょっとこっちでも確認するわ!」


 店主はさらに奥に走っていき人族の男性を連れて戻って来て協会で見たような魔術を使用し杖を鑑定する。


 すると結果は協会と同じ様な結果だったらしくソールに断りを入れてから杖を手に取り魔力を流すと魔力の増幅が確認され更に驚きソールに質問する。


「自分……魔術師やろ?この杖売るんか?金に困っとるんけ?」


 今使ってる杖の方が高性能なのでとは言えないので欲しい物があるとだけ伝え買い取ってもらえるのかを聞いた。


「買い取るんは喜んで買い取らしてもらう。ミスティス鋼は全体的に不足気味やからこのまま売っても売れるし溶かしてインゴットにしても全然いける。ウチの工房にもミスティス鋼は少ないからな」


「じゃあ相場がイマイチ分からないのでそれなりの値段で買い取ってもらえますか?」


「いや……ほんまに売るんか?魔術師やねんろ?自分で使ったらええやん」


「いえ。服を乾かす魔道具とか欲しいのと迷宮で役立ちそうな物や魔導具がほしいので」


「ん?服を乾かす……自分、もしかしてプロークラブ倒してこれでたんか!?他のアイテムは!」


「倒しましたけど……他のアイテムは協会で買い取ってもらいましたよ」


「なんでウチに持ってけーへんねん!」


「そんな事言われましてもここで買い取りしてもらえると聞いたのは協会なので」


「そや!ほんまや!次からは持ってくるんやで!ほんで買い取りやけど……これ単品やたら六万セルンか最新式の脱水の魔導具付きで五万セルンでどうや?壊れはせんけど調整とか必要だったらウチでやったるで?」


「そうですね……先ほど助けてもらった礼もあるので店主さんはどちらがいいですか?」


「もちろん後者やな。脱水の魔導具とか古い方が殺傷能力高いしな。新しい方は生き物には使用不可な使用や。昔の形式は生き物に向かって使うと生きたまま水分を奪うやばめの魔導具やってん。寝とる間に誤作動おこして朝起きたらミイラやったって事があ何件かあってん」


「戦闘に使うならそれの方がよさそうな気がしますが……」


「現在は廃版やしめっちゃ高いで。最新型は水を抜くのも早いし取り込んだ水を飲み水としても使えるから便利や。調整もできるから干し肉とかドライフルーツとかも作れるで」


「なるほど。平均的な脱水の魔導具っていくらぐらいですか?」


「せやなー五千セルンから一万セルンの間やな。どうする?」


 安いのが欲しい訳でもなくこの店と繋がりを作っておけば助かる事もあるだろうと考えてソールは五万セルンと脱水の魔導具でその杖を売った。


「……ほんまに売ってくれるとは思わんかった」


「さっきみたいに変なのに絡まれたら助けてもらえる繋がりも大事ですので」


「よっしゃ。そんな時は任しときぼっこぼこにしたるわ!」


 お願いしますとソールが頭を下げる前に店主は店の方に走って行った。中にいた従業員達がソールにすみませんと苦笑し謝っていると四角い箱の様な物と他に色々と持って戻って来た。


 先に五万セルンを受け取りソールはアイテムバッグに仕舞った。


「次が脱水の魔導具やな。この四角いのなんやけど水を抜きたい物に向けて魔力を流すだけやな」


 コップに水を入れてそれを狙いをつけてから魔力を流すと一気にコップの中の水がなくなった。その四角い箱の横が青く光っているのが赤く光ると水を捨てる時だと聞いてからソールはそれを受け取った。


「脱水の魔導具は気をつける事はありますか?」


「最新型やからないな。盗まれへん様にって言うぐらいやな」


 ありがとうございますと礼を言うと店主はまだ何かあったようで在庫処分だと言って迷宮食もソールに多めに渡した。


「もらえるなら頂きます。買おうと考えていたので助かります」


「なんや自分……ボンボン言うとったのに迷宮食くえるんか?」


「無理に食べようとは思いませんが口直しがあれば全然食べられますよ」


「なるほどな。プロークラブ倒せて迷宮食も食えるか……という事はボンボンじゃなくて普通にやり手のウォーカーやな。自分、名前は?ウチはクロステッダ・ロンカールや。このクロステッダ商店の店長やな」


「ソールです。魔術、魔導の勉強しながら旅をしている魔術師です」


「分かった。ソールやな。ウチの事は好きに呼んだらええわ。魔導具を弄る魔導技師やな。今は若い連中を育てるのに店にでとるけどな。基本は工房におる」


「なるほど。色んな魔導具を教えてもらいたいですが……さっきの連中ってまだいましたか?」


「普通におったで。流石に客やから追い返されへんからどんな魔導具があるとか知りたかったからまた別の日がええな」


 そうですねと頷き杖も買い取ってもらえたのでソールは店を出ると伝えるとクロステッダは裏から出るといいと言ってソールを案内した。


 そしてお互いに礼を言い別れ、ソールは人混みの中にクロステッダは工房へと戻り先ほどの杖を手に取った。


(世間知らずっぽいから買い叩いても良さそうやったけど……協会の紹介と言うかあの眼鏡の紹介やし迂闊な事はできんなー……まぁこの杖売るぐらいの奴やし今後も付き合い作った方が確実に儲け出るな)


「親方ー……悪い顔してますよ」


「ほっとけ!純ミスティス鋼の杖を捨てる様に売る奴やぞ。付き合い方も考えるわ!」


「ソールさんでしたっけ?そんなに金ないんですかね?」


「あほか。もっとええ武器もってるからや!それは間違い無い。あのローブとかもなんぼすんねんやろって話や」


「確かに……何で作られてるか全くわからなかったですからね」


「そういう事やな。まぁソールに関しては眼鏡の紹介もあるからそれなりにちゃんと商売するで。まぁ最近知った奴やからどんな奴かは分からんけどな。そんな訳やお前等店に出てソールが来てウチを呼んだら教えてや」


「「「「うぃっす」」」」


 そんな話をしているとは露知らずソールは纏まった大金が入ったので少し離れた武具店や魔術、魔導のお店で面白い物を物色し始める。


 自己再生の着いた盾や鎧。元の世界でいう様な魔法武器、属性武器の様に刃から炎や水と言った物を発生させる物など本当に様々だった。


 そんなアイテムを物色して行ったが先ほどのミスティス鋼で作ったと思われる武具はほとんど見かけず見つけたとしてもソールのお金が簡単に吹っ飛ぶ様な価格だった。


 気になる物はあったがどうせならせっかくできた縁を大事にしようと考え知り合ったクロステッダが時間のある時にでも聞きながら購入しようと考えソールは宿に戻った。


 宿に戻ると少し早い時間だったが夕食にしようと考え食堂に向かうとラッツと見覚えがある者が話をしていた。

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