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魔法使いは知らない世界を旅する  作者: 絵狐
二章 迷宮都市
34/48

34話


 迷宮内は明るいが迷宮時計は真っ黒に染まっていたので外の時間だ深夜だと言う事がわかった。


 他のウォーカー達は安全地帯だと聞いたがもしも事を考えて結界を張り休息を取り従国士達はこの階層らどこかへ移動した様で見かける事はなかった。


 他の階層からも時間かタイミングの加減かは分からなかったがこの階層に訪れる人はほとんどいなかった。


 そして蟹を倒すなら今の時間が一番良いだろうと考えソールは湖沿いを歩き従国士がプロークラブと言われた大蟹と戦っていた場所へと移動する。


 呼び出す方法があるのかどうかと考えているとプロークラブもソールに気がついた様でゆっくりと浮上をし始める。


 命のやり取りをしているのでご丁寧に待つ必要もないで水面に顔だす瞬間を狙って大量に描いた大きな槍を飛ばし先制攻撃を仕掛ける。


 いくつかの槍はプロークラブの背に刺さりダメージも入った様でいたがる素振りを見せソールを標的に決めた様だった。


 込めた魔力で魔術の威力が上がるのはわかっていたので背に刺さった槍を確認すると魔力量が少ない物は弾かれ多めに込めた物だけが残っていた。


 自身の魔術が通じないと言う事は無かったので少し水辺から距離を取るとプロークラブは怒り狂っているのかすぐにソールを追いかけて湖から上がり姿を現した。


 その体は湖の仲にいる時よりも大きく見え想像以上に動きは速かった。


 プロークラブは大きく息を吸い込む様な動作をした後に従国士達と戦っている時に見せた爆発する泡をソールに向かって吹き出した。


 予備動作が大きくそれを交わす事など造作はなかった。だが陸地にあがった事での問題も出てくる。


 石や木に固着した泡が爆発するとその破片や周りの小石などを巻き込み爆発するので思った以上の広範囲に爆発が及びソールを困惑させた。


 ソールの身を守っているローブを貫通する威力はないが顔や手といた肌が露出している部分に直撃すれば失明や大きな怪我にはなる威力だったので魔術で盾を作りだし飛来物から体を守る。


 泡に関しては直撃をさけ飛来物にさえ気をつければ問題はなかったが、ハサミだけは別だった。

 プロークラブがハサミをを振り回し何かに接触すると大爆発をおこす。その威力は泡の非ではなくソールに向かって飛んで来る飛来物ですら作り出した盾を砕く程の威力がありまともに食らえばソールですらどうなるかは分からなかった。


「……これ絶対に水辺で戦った方が楽だったのでは?」


 文句をいった所でプロークラブの猛攻が緩くなる訳もなかったが流石に文句の一つでも言いたくなるような状況だった。


 ハサミが木に当たれば爆発と供に着火し地面を掠れば爆風と供につぶてが飛んで来る。


 盾や時には只の壁を描き飛んで来る物を捌きソールも負けじと槍や矢といった物を描きプロークラブに反撃する。


 攻撃にも防御にも使える強固なハサミは狙わずに攻撃が割と簡単に通った甲羅部分を狙う。


 何本かは同じ様に突き刺さりプロークラブは苦悶の雄叫びを上げるが致命傷にはならず怒りで攻撃の激しさが増すばかりであった。


 魔法を使えば簡単に倒せる感じはしたがそれだは元いた世界と何も変わらないのでその選択をソールは捨てる。


 いつも使っている杖をマジックバッグに仕舞う。そして剣と盾を持って戦う剣士の様な戦い方をし始める。右手では剣や槍といった武器を描き。左手ではバックラーやカイトシールドの様な盾を描いた。


 攻撃され破壊されればすぐに武具を復活させ破壊されなければ攻撃し更に武具を描き増やしていく。


 その戦いのソールは新しい何かを掴みそうになっていた。


 段々とプロークラブにダメージが蓄積し動きが鈍くなってくると更に剣などが増え大きくなっていった。


 そして少し余裕ができたのでソールは最近覚えた雷の術式を描く。


 発動は剣や盾に比べて発動は遅いがソールと雷系等の魔術は本当に相性がいいようで発動した雷の矢はプロークラブの足を数本まとめて消し飛ばした。


(発動は遅いですが……威力は申し分ないですね)


 油断しない様に魔術で自身を守り、プロークラブを観察する。


 確かに動きは少し遅くなったが触れれば爆発するハサミは健在だった。


 プロークラブもソールを見ながら魔力を練る。魔力の流れが分かるソールから見ても次の攻撃がプロークラブの最強の攻撃だろう。


 そんな攻撃を許す理由はソールにはない。


 両手で大量に槍を描く。だが、プロークラブも魔力が練れたのかソールに向かって突進しまだ不慣れな魔術では止まる事は無かった。


 プロークラブのハサミは大きく振り上げられソールめがけて振り下ろされる。だが身体能力の高いソールにはその一撃は当たらなかったが地面にそのハサミが突き刺さると大爆発を起こしその辺り一帯が吹き飛び砂煙で一瞬だけソールはプロークラブを見失った。


 次にソールがプロークラブを認識した瞬間にはもう一つのハサミがソールを捉え爆発する。


 ただ先の一撃で魔力を使っていたのか爆発の威力は思ったよりは弱かった。爆発の威力が弱かっただけでハサミの威力は凄い物がありソールのとっさに受けた左腕は綺麗に折れていた。


「骨折するのは久しぶりですね。やはり魔術は扱いが難しい」


 折れた左腕をぷらぷらとさせ、戦闘はもう終わったかのようにソールはプロークラブを見つめた。


 見つめた先にはプロークラブに直接、雷の魔術式が描き込まれており少し時間差があった後にプロークラブを凄まじい電撃が襲った。


 魔力が切れるか術式が破壊されるまで書かれた魔術は続く。自身の足やハサミでは術式で消すことはできずソールの魔力は切れる事は無いのでプロークラブの命が切れるまで電撃は続いた。


 そしてようやく激しい電撃を浴び続けたプロークラブの命も尽きた様でボロボロとその体が崩れ始めた。そして全てが崩れ終わる頃には何かの杖と宝箱が顔を出した。


 そう言えば迷宮では宝箱が出ると聞いた事があったのでソールはその宝箱をゆっくりと開ける。


 仲にはいくらかのお金と回復薬といった物からソールが知らない物まで大量に入っていた。胴を守る防具や靴といった物まで本当に様々だった。


 その防具をみて迷宮について教えてもらった事を思い出す。


「……迷宮に命を奪われた人が使っていた防具なんでしょうね」


 折れた左手をどうにか動かしソールはその場で手を合わし迷宮に食われた人の冥福を祈った。


 片腕では何をするにも流石に不便だったのでアイテムバッグの中から回復薬を取り出してそれを飲む。そして再生が始まる前に痛みを我慢しながら右腕で折れた左手を固定し再生を待つ。


 折れた左手はゆっくりと再生し向きも変な方向にくっついたとかもなく綺麗に治った。


 拾った杖の性能は気になるが人が集まってくると少し面倒そうなので宝箱のアイテムなどを全てアイテムバッグに移してソールは三十階を後に三十一階へと向かった。


 三十一階からは川も浅くなり山が近くなる場所だった。出てくるも魔物も水性の物より動物型と言えば良いのか鹿や猪のような魔物が多くなり始めた。


 匂いにも敏感で遠くからでもすぐにソールめがけて一直線に襲ってくる事が多く魔物数もかなり多かった。


「……これだけ魔物の数が多いと休憩はできませんね。それで三十階で休憩する人が多かったんですね」


 倒した魔物から出るアイテムを拾う間にも様々な魔物がソールを襲い一息も尽かせない勢いだった。


 拾うアイテム拾わないアイテムを考え進み三十二階への入り口を見つけた。が魔物が多いこの階層では休憩している人は全くいなかった。


 三十二階、三十三階と辿り着き先を急ぐ。やはり進んだだけの事はあり襲ってくる魔物中に熊や狼といった様な戦闘力の高い魔物が混ざり始める。


 そんあ熊や狼の魔物を倒し進んでいるとソールのブレスレットが赤く点滅し始める。


 その点滅はウォーカーが緊急を知らせる点滅でソールも何度かその点滅を経験していた。


 雷の触覚の範囲を広くし位置を探ると近くでほぼ終わりかけの戦闘を察知したのでソールはすぐにその場に移動する。


 エレクトロアクセルを使用しすぐに接近する。だが鎌の様な尾をした狐の様な魔物に断末魔と供に男の肩から腹にかけて切り裂かれた後だった。


 迷宮はその男の亡骸をすぐに飲み込み始める。


 ソールも生きている者がいないかを確認する為に即座に魔法で魔物の命を奪う。


 襲ってくる魔物に警戒しながら生きている者を探すとかろうじて二名ほど発見する事ができた。ただ本当に瀕死でいつ死んでも言い様な状態だったのでソールはすぐにアイテムバッグの中から回復薬を取り出して穴のあいた二人の腹にそれをかけた。


 意識が戻ることはなかったが二人の傷はゆっくりと再生し始め峠は越えた様だった。


 だがこの断層は襲ってくる魔物が本当にに多かったので見捨てると言う選択肢はなかったので二人を担ぎ上げソールは蟹がいた三十階へと一度戻る事にした。


 担ぎ上げた時に見た顔の一人にソールは心当たりがあった。その男性は初めて迷宮に入った時に一度戻った方がいいと言ったウォーカーの男だった。


「ウォーカーはウォーカーに親切にしとけでしたか?自分に返ってきたようで何よりです」


 二人を担ぎ三十一階を抜けて三十階へと戻って来る。


 三十階まで戻って来ると他のウォーカー達も戻ったのか何処かですれ違ったのかかなり数が減っており休憩場は広々としていた。


 木の木陰に二人を寝かせソールはたき火の準備を始め少し考える。


(怪我は治っていますが……この二人って起きるんでしょうか?かなり消耗してますし……かと言ってこのまま背負って地上に戻るのは現実的ではないですし)


 そんな事を考えて休憩していると少し離れた所からソールの名前を呼び小走りで向かってくる者がいた。


 それは少し前に別れたフォビッツだった。


「ソール。生きてたか」


「はい。フォビッツさんもご無事な様子で」


「正直……危なかったな。死んだ奴が多いのか見た事も無い魔物が多くて二十九階から急いで避難してきた……その二人は?」


 倒れている二人にフォビッツが目を向けたのでソールは三十二階で救難信号を受信し助けにいったと伝えた。


「なるほどな。装備とか奪って殺す奴もいるが……ソールは真面目だな。だが嫌いじゃない」


「ウォーカーはウォーカーに親切にしとけって習いましたので。それと関係あるかは分かりませんが三十階で従国士の方々が蟹と戦って何人かやられたのでそれが関係あるのかもしれません」


「あーたぶんそれだ。迷宮に新種が現れるいつか分からないからな。早いときは数日で出始める。それでその二人をソールはどうするんだ?回復はしてあるがけっこう弱ってるよな?」


「はい。魔力もほぼ尽きてますから割と危ないですね」


 どうしようかとソールが悩んでいるとフォビッツが寝ている二人の体を調べる。すると鎧の下からステイルランクのブレスレットが顔をだしフォビッツを驚かした。


「ステイルランクが全滅か。半分超えると一気に魔物強さが上がるな……よし。ソール私達は一度上に戻ろうと思うがお前も着いて来るか?その二人を助けてふっかければけっこうな額をもらえるとおもう。だから私も上手い話に乗っかかりたい」


 一人背負ってもらえるならかなり楽になりソールも戦いやすしせっかく助かった命を無駄に散らすのもどうかと思うのでソールは分かりましたと頷いた。


 フォビッツはよっしゃとガッツポーズをした後に仲間を呼んでくるから待てってくれと言って走って行きすぐに仲間であろう四人を連れてきた。



 四人の全員が女性で一人はアーチャーの様な姿でもう一人は盾にメイス。もう一人は司祭の様な姿で最後の一人は学者の様なような姿をしていた。


「まぁ自己紹介とかしてもいいがその二人が死んだら話にならないから先に戻ろう。ウォル。頼んだ」


 分かったといってウォルと呼ばれた小柄な女性が返事をすると手の平から少し大きなコンパスを取り出し術式を描き始める。


 それが完成するとソール達全員を光りが包み込んだ。


「フォビッツさんこれは?」


「ん?ソールはシーカーを知らないのか。シーカーは迷宮に嫌われた職だ。その特殊な魔術を使うと迷宮は人を吐き出す」


 光が止むとソール達の体は黒穴に飲み込まれ、次に目にした光景は迷宮の外だった。


 ソールはとても驚いているとフォビッツが素早く動き兵士達に倒れた者達がいると伝えるとすぐに治療院に運び込まれていった。


「よし。これで助かったら金をせびれるな。ソールは何処に泊まってるんだ?」


 宿の名前までは覚えていなかったが宿の店主のながラッツだと伝えるとフォビッツは泊まった事のある宿だった事だったので、あの二人が起きたら伝えに行くと言って慌ただしく去って行った。


 仮に騙された所で二人は助かったのだから別にいいかと考えてソールは借りている宿に戻った。その体は本人が思っている以上に消耗していた様でシャワーも浴びづにベッドに倒れ込んだ。

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