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魔法使いは知らない世界を旅する  作者: 絵狐
二章 迷宮都市
30/48

30話


 ウォーカー協会を出て一度街の中央に戻りそこから南の商業区に向かってソールは歩みを進める。


 商業区もウォーカー協会や迷宮がある地区よりも更に活気があるようで本当に様々な人達が物を見たり買ったりしていた。


 ガスケットと同じドワテラ族。元の世界にもいた獣人の様な人に背に羽が生えた人。耳は長いがエルフとは違い耳が植物の葉の用で髪が緑色をした者など。本当に様々な人達がいた。


 先ほどの買い取りで懐はかなり潤っていたので見慣れない物が売っている店がソールは気になって仕方なかったが……ガスケットとも約束があるので先にその店を探す事にする。


 人の多い通りを歩いていくと思ったより早くその工房は見つかった。


 その工房はとても繁盛している様で歴戦と言っても差し支えのない装備をそしたウォーカー達で中は賑わっていた。


 その人の多さに入るのが嫌になりもう一度確認するがインバーツ工房と書かれており何度見直してもそれはかわる事は無かった。


(まぁ……少し見ただけで薪割り丸の異常性に気がついてましたし魔導車とかも直していたので……なのある鍛冶師とは思っていましたが思った通りですね)


 鍛冶師なので奥にあるであろう工房でガスケットは仕事をしているのだろうとソールは思ったので近くにいた少し目の鋭い店員に話しかける。


「お忙しい所すみません。私はソールと言います。ガスケット・インバーツさんはいますか?もしかしたら何か聞いているかもしれません」


 ソールの服装などをチェックした後にその店員は少しきつめにソールに質問する。


「お客様。ウォーカーランクはどの程度でしょう?」


「はい。シバルランクですね」


「でしたらお帰りください。ここは高位のウォーカーが来る工房です。貴方のレベルなら他店でも十分ですですので無理にこの工房に来てもらわなくても大丈夫です。ソールさんと言いましたか?親方からは何も聞いていません」


 不機嫌そうに言われたので無理に相手をする必要もないのでソールは分かりましたと言って工房を出た。


(インバーツさんが嘘をつくような感じではないと思いましたが……まぁいいでしょう。素材は熊に殴られたと思って諦めましょう。剣を盗まれなかっただけでも良しですし)


 元よりガスケットに預けた素材は捨てる物も多かったのと元の世界でも冒険者になりたての頃に似た様な手口でアイテムなどを取られた事が何度もあったのでソールは人は見かけによらないなと笑いその場を離れた。


 気分をすぐに入れ替え商業区をうろつくとこぢんまりとしているが店の前で売られている物は丁寧に手入れがされ綺麗に並べられている工房を発見したのでソールは店の中に入った。


 店の中には武具も売ってはいたがどちらかと言えば道具の類いが多く他に来ていたウォーカー達もそれが目当てだったようだった。


 使い方は分からない物も多かったが迷宮探索に役立つ物があればいいなと考えていると後ろから話しかけられる。


「そこの凄まじいローブきた姉ちゃん。この店に何の用や」


 そう言われて辺りをキョロキョロするが近くにローブを着た者は自分だけだったのでゆっくりと振り返る。そこにはたぶんだがドワテラ族の女性と思われる小さな女性いた。毛は固そうで手には手袋をしていたので分からなかったが方には硬質化した石の様な物が見えた。


「始めて迷宮に挑むので便利な物があれば買っていこうかと思いまして」


「ほーなるほどな。ウチの店に目をつけるって事はええ眼してるな。というかその装備で迷宮が始めてとかどっかのボンボンか?」


「はい。世間知らずのボンボンですね」


「自分の事を知ってる奴は迷宮で長生きできる奴や。それで?何処の迷宮に行く気や?」


「まずは土砂の迷宮に行こうと思っています。余力があれば魔夜や死者も考えていますが、聞いた話を踏まえて始めて挑戦する様な迷宮ではないと考えました」


「姉ちゃんみたいな奴は死者の迷宮に行きたがる奴も多いが違うんやな」


「はい。確かに会いたい人はいますが……あった所で怖いと言うのもありますので」


 ドワテラ族の女性はしばらくソールを眺めた後に一人で何か納得した様に頷いた。


「よっしゃ。今は暇やからいるもん見繕ったるわ。予算は?」


 明らかに店の中に人もいるので暇じゃないだろうとソールは思ったが多少はぼったくられてもいりそうな物を纏めてもらった方が早いし楽だと考え、五千セルンほど余裕があると伝えた。


 金持ってるなと少し驚かれたが金の使い方がわかっとるな!と褒められた後に店内の物を集めたり倉庫に潜って物を用意し始めた。


「姉ちゃん。魔力は多いか?」


「人並み以上には」


「魔術師っぽいけど力あるか?」


「魔導車ならひっくり返せます」


「得意な系等の魔術は」


「雷です」


 他の客が物を買う時は奥にいた従業員に任せ、ソールと話をしながら集め続けた。


 そしてようやくアイテムが集まるとソールに説明する。


「とりあえずは消耗品が多めやな。回復はもちろんうあが異常状態とかにしてくる奴も多いからな毒と麻痺が土砂の迷宮には多い。後は結界の魔導具やなこれが一番高くて思い。迷宮は安全地帯なんかないから自分で作らなあかん。休憩する時はこれを突き刺して魔力を流すんや」


 それはビーチパラソルの様な大きな傘で持ってみると確かに重かった。更に説明を聞くとその下にいる場合は認識阻害が発動するので設置する所を見られていない限りは安全との事だった。


 他にも水を作る水筒や泥や汚れを綺麗にする魔導具等を用意してあった。


「後はこれやな。不意に接近された時に成形弾を打ち出すベルトや。魔術で石とか打ち出すヤツの応用で作られた魔導やな。魔力に応じて威力がかわるからねえちゃん多いって言うとったから使えるやろ」


「弾はどこから入れるんですか?」


「小さい小箱ついとるやろそこに砂とか入れたら勝手に弾作っておいといてくれるヤツや」


 打ち出す時は魔力を込めた手で横のスイッチに触ったら発射やな」


 そう言って試しに何かを小箱に入れるとすぐに弾は作られ少し魔力を込めた手で触るとベルトの正面から弾が発射されまっすぐに飛び壁に当たって落ちた。


「今のは魔力込めてなかったからあんなもんやが。並の魔術師でもゲーターの甲殻ぐらいやったら貫くで」


「分かりました。ありがとうございます」


「後は食料やな。迷宮食って言う高カロリーで食えば元気のでる糞マズイ食いもんやな。不味いが腹も膨れるしちょっとした怪我やったら治るし魔力もちょっと回復する。マズイから非常用でもっといたええわ。収納の魔導具に余裕あるんやたらうまいもん買って言ってもええで」


「美味しい方がいいとは思いますがあれば便利良さそうなのでそれももらいます」


「分かった。糞マズイが返金は受け付けへんで。合計でまぁ四千五百セルンってとこやな」


「分かりました。ありがとうございます」ソールは礼を言って支払い買った物を受け取り少し隠して偽装アイテムバッグが見えない様に物を仕舞った。


「ありがとうやで。死なんだらまたおいでや」元気な店主に見送られ店を後にする。


 そしてまた協会や迷宮がある方角に向かった。


 迷宮の場所はとても分かりやすかった。大きな看板が掲げられそこに方向や名前が書かれていたからだ。


 さらに人も多く例え看板が見えていなくても人の流れについて行けば何処かの迷宮にはいけそうだった。


 土砂の迷宮に向かって歩いているとそこを守っている兵士に声をかけられる。


「そこの魔術師。止まってくれ。この迷宮は初めてだよな?ウォーカーだったらブレスレットを見せてくれ」


 分かりましたと返事をし腕につけているブレスレットを外し兵士に渡す。


「もっと高ランクかと思ったがシバルか。何しに迷宮に?」


「はい。迷宮は初めてなのでどんな物かと知見を広めようと思っています」


「なるほど。一人で潜るんなら浅い階層にしとけよ。土砂の迷宮と言えども下に行けばキツいから攻略を考えているんならパーティーでも組むといい」

「分かりました。ご忠告ありがとうございます」


 ブレスレットを石版の様な物にかざすと少し光りソールの情報が登録される。そしてブレスレットを返してもらいいよいよ迷宮に突入だ。


 人が作った門を通り階段を下るとその途中から先の見えない真っ暗な空間が広がっていた。他のウォーカー達は怯えた様子もなく入って行くのでソールも気にせず入って行く。


 その真っ暗な空間に入ると異世界に転移した時に感じた感覚が体を通り抜けた後に世界が切り替わり大岩に囲まれた洞窟内部の様な場所に出現した。


 ソールはその事にとても驚くが他のウォーカー達は慣れた様で先を急ぎその場を離れた。


 少し移動し自身が現れた場所を見ていると迷宮に入ったウォーカー達の出現ポイントは固定の様でソールが現れた場所から他の人達も現れていた。


 雷の触角で辺りを探れば魔物がいたり戦闘をしたりする人もいるが、この迷宮と呼ばれる不思議空間に興味を持ったのでソールは調べ始める。


 足元にある石を投げたり握り潰したり生えてる草の抜いたり匂いを嗅いだりするがどれも迷宮の外にあるものと変わりなかった。


 そして自身の体を調べるが外と同じ様に好調で体も動くがスキルの影響のせいかやはり雷以外の魔法は発動する事はない。


 雷の触覚の調べられる限界範囲まで魔力の触覚を伸ばすが迷宮の中は想像以上に広い様で端にが分かる事はなかった。ただ土砂の迷宮は最下層までの位置が買った本に書き込まれていたのでこのだだっ広い空間をしらみつぶしに探さなければいけないと言う事はなかった。


 一階から二階にに行く時はどうなっているのだろうと考えソールは地図を見ながらが二階と印が書かれた場所へむかった。


 その道中で知らない魔物が数匹襲ってくるがゲーター種よりも遙かに弱かったので杖で殴りその命を奪った。


 外にいる魔物と同じ様に崩れたが聞いていた様に瓶に入った液体や小石といった物が残された。


 ウォーカーになったばかりか見習いかは分からなかった比較的若い人達が一階で狩りをし収拾していたのでできるだけ邪魔にならない様に二階への入り口に向かう。


 二階の入り口付近では休憩している人も多かったが特に気にせず入り口に近づく。迷宮に入った時と同じで穴がありそこに入ると迷宮に入った時と同じ感覚を味わった。


 二階に着きはしたが一階とほとんど変わらない景色がそこにあった。

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