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魔法使いは知らない世界を旅する  作者: 絵狐
二章 迷宮都市
29/48

29話


 宿の主人と供に宿の中に入ると一階は丘都市のベスパの宿と同じ様に飲み食いをする様な場所になっており様々なウォーカーが酒を飲み肉を食い盛り上がっていた。


 ただ全員の実力は高く知り合いのゴルディーランクウォーカーのレオルドかそれ以上に感じた。ソールを眼で追うものいれば気にした様子もない者とウォーカーにも様々も様々だった。


 宿の受付に行くとふくよかな女性が立っており話を聞くと主人とその女性のと数人の従業員でこの宿を回しているとの事だった。


「魔術師さんは何日泊まるんだ?」


「まずは二十日ほどお願いできますか?延長はすると思いますが迷宮都市は初めてなのでまずは様子見という感じです。つまらなければ何処か別の所に行こうと思いますので」


「地位や名誉や金を求めて来る奴は多いが……面白いかつまらないでこの宿に泊まった奴は初めてだな。名前は?俺はラッツだ」


「これは度丁寧にソールです。旅の魔術師もどきですね」


「もどきって何だよとは思うがまぁいいか。二十日なら一日百セルンもらってるから二千セルンになるがいいか?最近も値切ってきた奴がいたがお前さんは値切るなよ」


「安い方がありがたいですが、ラッツさんにも生活があるので値切りませんよ」


 ソールは偽装アイテムバッグの中から二千セルンを取り出しラッツに渡した。


 この時間は少し余裕があっる様なので受付でゆっくりしていた奥さんにラッツは頼みソールを部屋まで案内させた。


 礼を行ってソールは着いていくとベスパの宿に比べても大きくお金もかかっているようで廊下などもとても広く手入れが整っていた。


 ソールが借りた部屋は三階だった。部屋の鍵を受け取り中に奥さんと一緒に入るが一人にしてはとても広く料理ができる様にコンロなども備わっていた。


「おもった以上に広いですね」


「私達の自慢の宿って言うのもあるんだけど、ウォーカーが迷宮に潜ると長い人で何年もいるからね部屋が狭いと少し不便だったりするんだよ。後は色んな人がいるから自分でご飯をつくって食べたい人もいたりするからね」


「なるほど。気をつける事って何かありますか?」


「そうだねー。死なないことかね。迷宮に行くと帰って来ない人も多いから……そればっかりは仕方ないとはいえ慣れる事じゃないし顔なじみになったお客さんに会えなくなるのは悲しいからね。後は片付けてくれてた方が嬉しいかね」


「そうですか。ありがとうございます」


「ソールさんだっけ?迷宮に潜るなとは言わないけど無茶はしないようにね。後は……下の食堂は基本的に灯りがついてれば誰かいるから何か食べたい時は声をかけるといいよ」


 宿屋の奥さんはそう言ってゆっくりと扉を閉めて下へと降りて行った。


 ソールは借りた部屋に鍵をかけてローブを脱ぎ椅子に腰掛ける。部屋の中はとても広くもう少し狭くても問題いないなと思わせた。


 他の部屋や設備などを確認するが水や灯りといった物の使い方はベスパの宿と同じ様な使い方だったので問題は無さそうだった。


 トイレとお風呂も別になっており一日百セルン払ったかいがあったと思わせる物だった。


 下に行って夕食も考えたが肉体には何も問題はなかったが心が面倒くさいという想いに支配されたのでソールはお風呂に入り長旅の汚れと疲れを癒やしてからその日は早めの休息を取った。


 防音の効果がしっかりしている様で下の喧騒が聞こえたり蛙の鳴き声に起こされる事無く気持ちの良い朝を迎えた。


 眠い眼をこすりながらベッドから這い出てシャワーを浴びてから朝食を取る為に一階へと向かう。


 一階へと降りるとウォーカーが準備を終え迷宮に向かう途中だったり、いかない者は情報交換をしたり雑談をしたりと様々だった。そんな人達の横を抜けて受付の横にあるカウンターに行くと明かりがついていたので適当に朝食を頼む。


 出てきたパンとシチューの様な物と肉をミンチにして焼いたミンチ焼きを持って席に着き静かに朝食を取り街へと出かけた。


 先にガスケットの工房に行っても良かったが朝も早い時間でアイテムバッグの中がいっぱいなのもあったのでソールは迷宮やウォーカー協会がある街の西側に向かう事にする。


 町の中央に行き西側の方向に入ると分かりやすいぐらいに武装した人も多く剣を持った人、盾を持った人、弓を持った人、杖を持った人、見た事もない武器のような物を持った様々な人がいた。


 そんな道を進んで行くと見つけられないのが無理なぐらい立派な建物があり、そこが迷宮都市のウォーカー協会だった。


 迷宮都市では迷宮を調べるのが主な目的だったので依頼などは受ける事は考えずに建物の案内に従って素材の買い取りに場所へと向かった。


 丘都市のウォーカー協会より人は多く建物も立派だったが素材の買い取り場はあまり広くなくこぢんまりとしていた。


 そこにいた人に話しかけ素材を売りたいと話すと大変喜ばれた。


「ありがとうございますありがとうございます。迷宮では魔物素材が出ないので本当にここは暇……しかも皆さん鍛冶屋や商人に売りに行くのでここで売ってくれないんですよ……迷宮で出たアイテムの買い取りはこことは別なので……」


「色々あるんですね。ではすみませんが買い取りお願い出来ますか?多いと思いますが」


「分かりました。ここの職員は暇なんでどんと来てください」


 眼鏡をかけた職員が怪しく眼鏡を光らせたお全くウォーカーがいない場所にアイテムバッグに詰め込んだ素材を取り出す。


 久しぶりに持ち込まれた大量の素材に職員はおおぉーと歓喜の声を上げる。


「これで全部ですね。多少は安くてもいいので買い取りお願いします」


「カミカゼヤンマの羽に顎と……お?珍しいロイヤルワンダーの顎もある……魔術師さんはもしかして中位ランクの方ですか?今いった素材は嘆きの谷によくいる魔物なんですが」


「内緒です。諸事情で谷に行く事があったのでその時に倒した魔物が多いですね」


「なるほど……ヘルゲーターの素材もあるから……丘都市から嘆きの谷に入ってこちらに抜けてきた感じですか?」


「分かるのも凄いですね」


「魔物と言えども生き物ですからある程度ですけど生息域は決まっていますからね。何処にでもいると言えばいますけどゲーター種は特に丘都市付近に多いですからね。この辺だとハウンド系が多いんですよ」


 なるほどとソールが感心していると素材を調べながら分けていく職員の手が止まり一つの素材を手に取ってしげしげと眺める。


「これって……ケインペルエスの尻尾ですよね?この辺にはいないのに珍しいですね」


「蛙の村近くの川に現れたので倒して欲しいと言われたので討伐しました。珍しいんですか?」


「はい。河口付近によくいる魔物です。海水で真水でも住めるんですが……海でも暮らせるほど固いんですよね。これを倒せたとなると……魔術師さんはステイルランクと見ました!とテンション高めで言いましたが嘆きの谷戦えるイコールゴルディーランク上なんですけどね」


 なるほどーとソールが感心しているとそのケインペルエスの尻尾は持っておいた方が良いといって返却された。


「この辺にはあまりない素材です。それを使えば沼地とか水辺を歩くときに少し歩きやすい長靴をつくってもらえるので持っておいた方がいいですよ。買うと普通に高いので作ってもらった方が安く済むんですよ」


「分かりました。ありがとうございます」


 礼をいってその尻尾を受け取りソールはまたアイテムバッグの中に仕舞った。素材を調べるのにはまだじかんがかかりそうだったのでその眼鏡の職員さんに迷宮の事を聞く。


 迷宮都市には三つの迷宮がある出てくる魔物がそこまで強くなく回復薬といった消耗品やアイテムがよく出る土砂の迷宮。そこそこ深く難易度も高いが杖や魔導具などがよく出る魔夜の迷宮。ここ何十年踏破した者はいないがアイテムや装備といった物の高価な物がよく出る死者の迷宮の三つだ。


 土砂の迷宮は現在は六十階あり始めて迷宮に望む者やちょっとしたアイテムを取りに行ったりする迷宮で比較的安全でランクが低い者が好んで進む。ただ五十階からはいたる所で土砂崩れが起き難易度が跳ね上がる。迷宮を守る守る番人はアスケイプゴーレムだ。


「ボスというか番人はいるんですね」


「いますねー。迷宮も死にたく無いでしょうし見た事は無い見つかったことはないとは聞いた事はありますがいないと言うのは無いですね」


 魔夜の迷宮は現在は86階まであり夜とと名前がつくように迷宮内は非常に暗く灯りを持って入らなければいけない。魔物も強く並のウォーカーでは十階すらたどり着く事はできないが敵の強さは最下まで似た様な強さが続くので十階まで下れる実力があれば最深部までいける事も可能だとは言われていが。デッドリーレイスやジャスティスワイズマンと行った人を惑わす様な者が多く魔術を使う魔物が多いのが特徴だ。


「そこまで暗いと色々と大変そうですね。灯りを持って戦う訳にも行きませんし」


「ステイルランクとかの剣士になってくると気配で分かるとか意味不明な事を言うのであんまり灯りはいらないみたいですよ。兜から灯りが出る物を装備してる人がいたら魔夜の迷宮に行く人です。両手は使えるので便利だとは思うのですが人気は無いですね。迷宮の主はアストラルサイスという鎌を持った者ですね。その鎌は星まで届くとか訳の分からない番人ですね」


 ソールにこの人なかなか面白いなと思わせる職員さんの説明は続き最後は死者の迷宮だ。


 はた迷惑なウォーカーが迷宮で死を選んだ結果生まれた最難関と呼ばれる迷宮だ。もうすぐ三百年になるも踏破されず挑む者に死を与える迷宮だ。出てくる魔物かなりの強さを誇り罠も人間の考えを熟知した造りになっている。


 出てくるアイテムや武具は高価な物が多くクテルも他の迷宮に比べ出やすい傾向にある為に一攫千金を狙う者が後を絶たないが……帰って来ない者も一番多い迷宮でもある。踏破された記憶がほとんど無いので二百階は超えていると言うのが専門家の意見だ。


 だがそれよりも一番重要で人を集める……いや惑わす要因が一つある。


 それは……


 百階を超えると死者に会えると言う事だ。


「え?職員さん。面白いのは性格で十分ですよ?」


「いやいやいやいや。真面目にやっているので別に面白くないですよ!褒めてくれてるならありがとうございますですが……百階を超える時点でかなり迷宮に慣れてるステイルランクかミスティスランクまでいかないと無理なので又聞きした程度なんですけど……死者を見るらしいですよ」


 それは自分の記憶にある死者らしく特に何もするわけでも無く百階以降は度々現れる。


 本当に何かをする訳でも無いが……仲の良い友人にもう一度会いたい。最高の仲間にもう一度会いたい。最愛の人にもう一度会いたいという思いで百階を目指す者もいる。


 ただ高難易度であり敵もかなりの強さを持つ物もいるそんな中で現れ気をそらされてそのまま飲み込まれる人もいる。


 その話が本当かどうかの判断はつかなかったが……ソールにももう一度会いたい友人もいれば最愛の人もいるのでその迷宮に惹かれる人の気持ちはとても良く分かった。


 そのタイミングで素材の換金等も終わったのでソールは職員からお金を受け取った。


「あと、魔術師さん。迷宮に挑まれるなら簡単なものですが協会で地図とかも売っているので買って行かれると便利ですよ」


「分かりました。色々とありがとうございました」


「実はここでも迷宮かた出た物も買い取ったり査定してるので良かったら遊びに来てくださいね!」


 この職員さんも面白いし変に買い取りしてもらう所を探す手間を考えればここでいいなと考えもう一度礼をいい。協会で三つの迷宮の地図や出てくる魔物が乗った本を買い協会を出た。


 そして次に向かうはガスケットの工房だ。そこでお金を受け取ってからまずは土砂の迷宮に挑もうとソールは考えた。

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