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魔法使いは知らない世界を旅する  作者: 絵狐
一章 新世界
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十話

 朝起きたらここは知らない世界だったという事になれる頃には数日が立っていた。ソールは身だしなみを整え一階に下りていく。


 割と朝早い時間であったがウォーカー、元の世界で言う冒険者の様な人達の朝も早い様で宿の一階で朝食を取っていた。


「おっソールだ。おはようさん」


「はい。レオルドさん。おはようさんさん太陽さんさん」


「普通に少し曇ってるけどな」


 この宿で知り合ったウォーカー達に軽く挨拶をしてから朝食を頼む為に店主のベスパの所に行くとパンとスープとその他の料理を準備していた。


 ベスパは隻眼で残った眼は何とも言えない表情と供にソールを映していた。


「なんか……あんたみたいな奴が下位のウォーカーと仲良くしてると変な感じなんだよね。昨晩も一緒に飲んでたし」


「奢ってくれるなら喜んで飲みますよ?ベスパさんもお店の売り上げが上がっていいのでは?」


「いや……そうなんだけどね?あんたなら一人でなんでもできるだろうし泊まるのはともかく変な連中と無理に仲良くしなくてもねと思ってね」


 変な連中と言われた下位のウォーカー達が一斉に文句を言い始めるがベスパの残った眼に睨まれるとすぐに静かになる。


「と言うか私からすれば元ウォーカーのベスパさんがそんな事を言う方が意外ですね」


「なにが?」


「一人で何でもできるって思ってる内は何もできてない証拠ですよ?私もウォーカーみたいな仕事を昔はしてましたが本当に一人でできる事なんてたかが知れてますよ?」


 ベスパが何も言い返せないでいると外野のウォーカー達は盛り上がり、そうだそうだ言ってまた睨まれ静かになった。そしてベスパは手を上げてソールに降参を宣言した。


「いや、別に論破しようとか思ってないので謝ってもらわなくてもいいのですが……」


「こっちもそういう気はないし、私も歳とったなーと思っただけだからね。確かにあんたが言うのが正しい。ウォーカーなんて協力できない奴から死んでいくからね」


「歳を取ったって……何を仰いますやら。その眼光から見えます。貴女の牙はまだ抜け落ちてませんよ」


「……ふぅ。あんた何いってんだい」


「そんな感じの事を言っとけば格好いいかと」


 ソールとの会話に疲れたのかベスパはとても大きく深くため息をついた。周りではベスパ相手にソールが買ったと盛り上がり、ソールはソールで微妙に仲良くなったウォーカー達に買ったので朝ご飯奢って下さいと盛り上がる。


 来た頃よりはソールに対する不信感も消えたのか今日の朝飯は私が奢ってやるよと言って決着がついた。


 嬉しそうに残りのご飯を食べるソールにベスパは質問する。


「それで?ソールはウォーカーと似た様な事やってたんだろ?ウォーカーになるのかい?」


 その質問に少し考えてからソールは答える。


「微妙ですね。なった所でそれほど大きなメリットありませんので考え中です。ウォーカーになると依頼は受けられる様になりますが一応は国が管理している仕事と聞きましたので自由があんまり無さそうですし」


「なるほどねー。私がやってた時はそこまで不自由はなかったよ。高位になってくると国から依頼が入るからそれは強制だね。必要な物は国から出してもらえるけど、出た素材とかほとんど持って行かれるし。まぁ……その分依頼料とか高いけどね」


「国が管理してる魔術書とか魔道書が読める訳でもないですし」


「まぁ身分証明にはなるから持っててもいいと思うけどね。素材の買い取りとか迷宮に入ったりする時は楽だよ?」


「協会で話を聞いたらそんな感じの事を言っていたので悩み中なんですよ。素材の買い取りは協会で買い取ってもらうのが楽だったので」


 その言葉通りソールは倒したヘルゲーターの素材や魔物の素材を都市内で様々な場所で売ってみたり取引してみたが安くはあるが相場などを特に気にせず、ある程度のプライバシーは守ってもらえるので協会で売ると判断した。


「商人に魔物の素材を持ち込んだら買い叩かれてどのパーティーが倒したか聞かれるわな。有能なら指名依頼とか出すだろうし。武具系のほうは?」


「そっちでもいいんですが……逆に作るのに全身全霊で素材がよいと金に糸目をつけないので……あとはまぁ私の装備が気になる様でそっちを追求してくるのが困るので」


「あんたの装備はこっちの方じゃ見かけない物だし物珍しいんだろ。だったらウォーカーになるしかないんじゃないのかい?」


「国からお国の為に死んでこいとか言われた困るのでパスですね」


「それは従国士の仕事だ。ウォーカーなんて流れ者も多いから国には仕えてるって感じにはなるけど余所の国でもできる仕事だからね。私も若い時に隣の国でウォーカーになってこっちで仕事して居着いた感じだし」


「地図に載ってましたね。ロナセア大陸でしたっけ?木と森の国なんですよね?それはそうと従国士ってなんですのん?」


「それで合ってるよ。従国士ってのは国に命をかける組織の事だね。国の為なら命を投げる事もいとわない連中の事でナイト・パラディン・ロイヤルガード・クルセイダー・ルーンランサー・ドラゴンライダー・インペリアルイージスの七人を筆頭とした軍だね最低でも強さはウォーカーでいうミスティスからだ」


「六兄弟とか七英雄とか八王子みたいな感じっぽいですね。この都市にいるんですか?」


「いないね。基本は王城都市にいるけど倒せない魔物とか出たら辺境にも行く事もあるよ」


「その辺ってウォーカーに依頼だして倒すのでは?ミスティスとかオルティアはとても強いと聞きますが?」


「そうなんだけどオルティアは簡単には連絡取れないって聞くし、ミスティスって言っても倒せないのはいるし自分の命の方が大事だからね」


「なるほど強さが同じなら相打ち覚悟で国から死んでこいと言われる従国士の方が強いと」


「そういうこった。まぁ連中は装備も整ってるしね……言ってて思ったけどミスティスやオルティアランクも余裕で装備も整ってるわ」


 なるほどと言いながらスープを飲むソールを見てベスパは思いだしたかの様に朝飯を食べるウォーカーに質問する。


「そういやあんたら二~三日前にクイーンゲーターが出たとか言ってたけどどうなったんだい?」


「本当かどうか分からないので先に調査隊を送ったみたいで今日には戻って来るらしいですよ。ただスブランの土砂崩れの原因はクイーンが原因くさい様で確認が取れしだい討伐隊を組むって話です」


「なるほどね……よかったね。ソール。クイーンを討伐するのに今のブルトンの戦力じゃ少し心許ないからもしかしたら国から従国士が派遣されるかもよ」


 笑いながらそう話すベスパにソールも笑いながら答える。


「大丈夫ですよ。そのクイーンとか言うのは私が倒しましたからね。こう群れで襲ってくるクイーンゲーターをちぎっては投げちぎっては投げホイヤーっと倒しましたので」


 スープを飲み終わり変なポーズで立ち上がるソールはウォーカー達に受けた様で笑い声や拍手がおこった。


「ソールが言うなら間違い無いな」


「そうだな。朝から面白い話も聞けたしまた今晩にでも奢ってやるよ」


「あざっす」


 ベスパも何か言おうとしたが……ウォーカー連中と楽しそうに話しているソールを見て色々と諦めた。そして掃除のじゃまだからと食べ終わった連中を宿から追い出す。


(でも実際ソールの強さってどんなもんなんだろうね?ヘルゲーターからトルマ姉妹を守ったて言うからそこそこには強いとは思うけど……でも普通に気配はおえるし……)


 そんな宿屋の主の心配を余所にまだまだ歩き慣れない街中をソールは進んで街の中央にある小さな噴水がある公園のベンチに腰掛けヘルゲーターの素材等を売って手に入れた初級魔術書を読み始める。


 その本を購入した日から夜に宿で何度も魔術を発動させようとしているが雷系等に属する魔術以外は全く使用す事ができなかった。


 自分のやり方が悪いのだろうと何度も読み返し宙に魔力で術式を書くが反応する事はなかった。


 それに比べ魔導の方は導具があるからなのか火が出る物に魔力を流せば炎が現れ、水が出る物に魔力を流せば水が出た。


(術式は合ってるのに魔術が発動しない……流す魔力の多い少ないが原因ではないですし難しいですね)


 そんな事を考えながら一般的な魔術師なら魔力が枯渇しそうな程に消費した所で一つ気がついた事がある。


 それは魔力を込めた量によって書かれた魔術文字は長く留まり強度もそれなりにあるという事だった。


 試しに字ではなく魔力を込めて剣の絵を描くと宙に描かれた剣となった。


(これ絶対に動かせる方法があるはずですね……初級魔術書には書かれていませんが書かれた術に少しでも触れられるなら武器として使う人もいるでしょうし)


 火や水といった物はでないのでその辺りはいったん置いておき新たに発見した可能性の方から探ることにする。


 剣を描いては消し盾を描いたりしては消すと言う事を何度も繰り返し繰り返し行うと、ようやくゆっくりとだが剣が動き盾にゴチンとぶつかった。


(おっ?動いた)


 その動いた時の状況をソールはすぐに思い出す。


 その剣と盾を描いた時に考えていた事は剣の攻撃を盾で受けると言うイメージをしていた事だった。


 そして一つの仮説を立てる。魔術の文字を書く時にその動きをイメージして描けば動くのではないかと。


 そして物は試しに剣に剣士の動きをイメージさせて剣を描くと先ほどの遅い動きとは違い、落ちて来た葉っぱを簡単に真っ二つにする動きを見せた。


「なるほど……これは面白いですね。発動の手間さえ潰してしまえばできる事の幅はかなり広がりますが……発動まで遅い」


 何度も何度も試行錯誤し剣だけではなく蝶や鳥といった物や犬や猫といった物を魔術? で作り試しているとある事が分かった。


 魔導に関しては書き込まれた物を導具を等して発動するので発動までが本当に速く、発動速度は魔導・魔法・魔術の並びになった。


 まだソール自身が魔術、魔導供に初心者という事もあり明確な事は分からなかったが、威力殲滅力供に、魔導より魔術の方が圧倒的に上で学んだ時間がもし同じなら魔法よりも魔術が上の様に思えた。


 (う~ん……詠唱よりするより更に遅いので戦闘になると魔術は使えないと思うんですが……でもこの世界で生き残っているので詠唱破棄の様に簡略化する方法もあると思うんですよね?魔物とか強いですし)


 そんな事を考えながら魔術に没頭し公園で様々な物を魔術で生み出して遊んでいると太陽はいつの間にか真上に登り、近くにはソールが作った魔術を追いかけて遊ぶ子供達であふれていた。


 そんな事にも気づかずに初級魔術書の本を読み返し魔術の練習をしていると読んでいた本に影がかかり名前を呼ばれる。


「あのー……ソールさん。何をしているのでしょう?」


 ソールが顔を上げるとディアナと同じ制服をきたウォーカー協会の職員が立っていてその人物とは面識があった。


「ロトナさん。おはようございます。少し曇っていますがいい天気ですね。どうしましたか?」


 朝は少し曇っていたが今は普通によい天気だったのでロトナと呼ばれた職員は晴れていますよとソールに告げた。


 ソールがウォーカー協会にヘルゲーターの素材などを売りに行った際に対応してもらった職員がロトナだった。


「ソールさん。名前覚えていてくれたのですか?」


「それを言い出したらロトナさんも私の名前を覚えているのでは?」


「ソールさんは目立ちますので」


 自身の服装などをチェックしてからソールはなるほどと一人納得し、ロトナの名を覚えてい事を、学生時代のクラスメイトに大人になってからあって覚えていなかったら泣かれたのでできるだけ知り合った人は覚えておくようにしておくと答えた。


「なるほど……まぁでもあまり話さない人だとどちら様?とはなりますよね。それでソールさんは何をしていたのですか?」


 その質問にこのまま一人で悩んでいても進まないとソールは考えた。ウォーカー協会の職員なら何か知ってるだろうと思い、実演を伴いながら発動しない魔術について質問した。


 ロトナから見ても発動する条件は整っていたようで不思議に思いながら考え一つの答えにたどり着く。


「ソールさん。もしかしたらスキルが邪魔していて発動しないのかも知れません」

次回の更新も明日の朝になると思います。

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