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ネコを拾ったら魔族になったったオハナシ 〜ネコと一緒のスローライフ〜  作者: とんじる


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24/44

24.カッツ、闘技会に出る

「ギリギリでしたよ。カッツ様、大金貨10枚払ったら私達は明日から何食べていけばいいんですか……」


 店を後にした俺たちは、モイラさんがくれた闘技会の案内を目を皿のようにして見ながら歩いた。下町の細い路地は俺たち以外の人影はない。


 ジョリがブツブツ言うには大金貨10枚あれば、グレイスガルドの中流家庭が住むような家を買えるらしい。ジョリじゃなくてもビビるよ、そりゃ。それにしても、魔導具の材料・制作費と闘技会の優勝賞品と賞金がピッタリだったのは運命だとしか思えない。もう優勝するしかない。


「ところで、闘技会には誰と出るんですか?ネクロス様ですか?」

 

「いや、ネクロスさんは参加できないよ。人族、魔族、魔物に限るって書いてある。」


「魔物も?するってぇと、エル様?」


「改造魔物もダメって書いてあるな……まぁ、エルの性格からして、戦えって言って戦うかなぁ」


「いや、そしたら個人戦に出るしか……あ、カッツ様、個人戦の賞品、魔法武器の引換券らしいです。これじゃ、ダメですね」


「……ジョリ、おまえが出るんだよ」


 沈黙の後、ジョリが困った顔をした。


「全く自信がないのですが……」

  

 再び時間が止まった。……俺もジョリが戦ってる所は見たことないや……。


◇


 翌日、ジョリと冒険者ギルドを再訪する。ギルドでジョリのスキルを見て貰うのだ。長く行商人をやっていたから様々なスキル取得してそうだけど、今の実力を知っておくのは大切なのだ。俺だって調べなきゃ分からなかったし。ガストンさんがたまたま受付の側にいたんで、事情を話すと、奥に通してくれた。ナイラさんが出てきてジョリをみてもらう。


「ほう……中々優秀じゃないか、スキル面ではアンタより恵まれてるねぇ。特殊なスキルは今のところ、発現してないね。でも、この世界を生き抜くには、いいスキルだよ」


 ――ジョリ所持スキル――


初級風魔法、話術Ⅱ、棒術Ⅱ、体術Ⅰ、魔力操作Ⅰ、警戒、逃走


俺が必死になって求めている魔力操作があるのだ。


「これなら、闘技会でも戦えますかね?」


 俺が2人に聞いてみると、スキルだけでは判断できないそうだ。そもそもコボルトの基礎ステータスは低く、相手との相性も重要らしい。俺も黒旗軍との訓練で鍛えられたから随分基礎体力は上がったと思うもんな。今回の闘技会は闘技場所属の選手は出場できないため、どんな相手が出てくるか分からないとのこと。タッグ戦は玉石混合状態なのだそう。


 帰りにガストンさんから呼び止められた。


「カッツ、今回の闘技会、その鉈で参加すんだよな」


「俺に1番相性のいい武器でしたからね。俺には鉈スキルも付いてますし」


「……やっぱり、気づいてなかったか。オマエの鉈、ちょっとしたモンだからな。魔力操作がなくても、鉈がありゃ、いい線行けると思うぞ」


「縁がある武器って言われたことありますけど、そんなものですか?」


「ああ、オマエの意を伝えてるってカンジだな。普通は魔力操作で身体を鉄のように堅くしたり、武器にまで魔力を伝えて斬れないものを斬ったりするのよ。属性持たせた剣なら魔法剣とかな。オマエの鉈は鉈自体が所持者の意を伝える特別製だと思え」


 ガストンさんは面白い話をしてくれた。ある島に住む一族の教えに、物にも魂が宿るという考え方があるそうだ。その一族はありとあらゆるものに神様がいて、ひとつひとつの物にも魂が宿ると信じているんだそうだ。実に日本的な考えである。そして、ガストンさんは、


「他の物は知らねえが、長く愛用している武器に魂が宿るってのは、あると思うぜ。オマエの鉈のようにな。闘技会、気張れよ」


 と、励ましてくれた。イカつい身体してるけど、優しいひとなんだよね。ガストンさんに礼を言って冒険者ギルドを後にした。


◇


 ――闘技会 当日――


 闘技会はグレイスガルドの闘技場で行われた。この街の形もコロッセオのようだけど、その中に小さな闘技場がある。小さいと言っても1万人ほど重要できる。普段は街の兵士の訓練でも使われている。


 タッグ戦は出場チームが少なくて、全8チームで争うことになった。デカい闘技場は正方形の石造りで、降参かチーム全員が場外に出ると負けになる。出場者に1人、やたらと煽ってくる人族がいた。彼の名前はドギー。一昔前のバンドマンのような見事な頭をしている。魔王の島に残してきた鶏より立派なトサカを持っている。


「お、カッツね。俺は、アンタをライバルと決めた。好敵手と書いてライバルね?」


 ありがとうと、礼を言っておいた。トーナメントの組み合わせでは顔を合わせるとしたら、決勝である。彼と新たな因縁ができるのかと思っていたが、彼は1回戦第1試合であっさり負けた。縁は無かったようだった。相手の魔力を込めた蹴りをもろに喰らっていた。担架の上で俺と目が合うと、


「気をつけろ……アイツが優勝候補だ」


 余計な知識をくれた。余計な知識と言ったのは、その優勝候補も次の試合で負けたからだ。


◇


 俺達の1回戦の相手は、ゾイルという男とその飼い犬……飼い魔物のハンウルフだった。魔物を使役するってのは、ある意味ロマンである。実際、ハンウルフはすばしっこく手強かった。ジョリに目配せして、


「フォーメーションBだ!行くぞ!」


 俺は大声で叫んだ。ジョリが棍棒を振り回して前に飛び出す。ゾイルがハンウルフに指示を出した。ハンウルフがジョリに飛びかかっていった瞬間、俺はゾイルとの間合いを一気に詰め、思い切り鉈で殴った。アスマと戦った時に思いっきり鉈で引っ叩かれた。アレをやってあげたのだ。追い打ちをかけるように蹴りを見舞うとゾイルは場外に転がった。ハンウルフは主人がやられたのを見て、やはり場外のゾイルの側に駆け寄っていった。


「それまで!カッツ・ジョリチームの勝ち!」


 俺たちは無事に初戦を突破した。

 

 



 



 


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