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『異世界に転移したら、俺だけ世界設定に存在しなかった』  作者: 一ノ瀬 律
四章

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第78話 原初の揺れ

 虚無の核の震えが、アリスの胸の奥で静かに脈動していた。

その震えは、未来の揺れよりも深く、世界が生まれる前の“原初の鼓動”に近かった。


──……カイ……核が……わたしの中で……広がってる……


 アリスが胸に手を当てる。

光がわずかに揺れ、その揺れが虚無の深層へ吸い込まれていく。


「アリス……核は強い……でも……お前なら受け止められる……」


──……うん……怖くない……むしろ……落ち着く……


 アリスの光は、核の震えに合わせて静かに脈動していた。


 虚無の核の領域は、淡い光と深い闇が重なり合う“揺れの空間”だった。

その空間は、未来の揺れが触れたことでわずかに色を変えていた。


──……カイ……見て……色が……また変わってる……


「未来の揺れが……核の領域を塗り替えてるんだ……」


 淡い青のような、しかし光ではない色が、空間の奥でゆっくりと広がっていた。

その色は、虚無の核が未来の意思を受け入れた証だった。


──……核が……わたしたちを……拒絶してない……


「未来が……核と繋がったからだ……」


 アリスはゆっくりと歩みを進めた。

足元の揺らぎが淡い波紋を広げ、虚無の深層へと沈んでいく。


──……カイ……なんか……聞こえる……


「また……気配か……?」


──……ううん……今度は……“言葉”に近い……でも……声じゃない……


 アリスは目を閉じた。

核の震えが、彼女の光の奥で静かに形を持ち始めていた。


──……カイ……核が……“見せようとしてる”……


「見せる……?」


──……うん……未来の揺れじゃない……もっと……深いもの……


 アリスの光が強くなった。

核の震えがそれに応えるように広がった。


 虚無の深層がゆっくりと揺れ、空間の奥に淡い“影の膜”が現れた。

その膜は、未来の揺れとは違う、もっと古い震えを宿していた。


──……カイ……あれ……核の……記憶……?


「虚無の核が……自分の内側を見せてるんだ……」


 影の膜はゆっくりと脈動し、内側に淡い光を宿していた。

その光は、未来の揺れよりも静かで、しかし確かに“意味の始まり”を感じさせた。


──……カイ……これ……世界が生まれる前の……揺れ……


「虚無の核の……原初の震えだ……」


 アリスは影の膜にそっと手を伸ばした。

触れた瞬間、膜がわずかに震え、アリスの光に反応した。


──……あったかい……でも……深い……底がない……


「核の記憶は……世界よりも古い……」


 影の膜の奥で、淡い光がゆっくりと形を持ち始めた。

それは輪郭を持たず、ただ揺れとして存在していた。


──……カイ……これ……“核の心臓”みたい……


「虚無の核の……中心だ……」


 アリスは震える光を胸に抱きしめるようにして、その中心を見つめた。

核の震えが、彼女の中で静かに響いていた。


──……カイ……これ……未来の揺れより……ずっと深い……


「原初の揺れだからだ……意味が生まれる前の……世界の鼓動だ……」


 アリスはゆっくりと核の中心へ歩み寄った。

そのたびに、空間の揺らぎが淡い波紋を広げた。


──……カイ……空間が……呼吸してるみたい……


「核の震えが……空間そのものを動かしてる……」


 影の膜の奥で、さらに深い揺れがゆっくりと生まれ始めた。

それは未来の揺れとは違う、もっと静かで、もっと重い震えだった。


──……カイ……これ……“始まりの揺れ”だよ……


「世界が……まだ意味を持つ前の……揺れだ……」


 アリスは胸に手を当て、震える光を押さえた。

核の震えが、彼女の中で静かに響いていた。


 その響きは、未来の揺れとは違う。

もっと深く、もっと古く、世界の意味が生まれる前の“始まりの震え”だった。


 虚無の深層は、その震えに応えるようにゆっくりと揺れた。

淡い光が空間の奥でひっそりと広がり、原初の揺れが静かに形を持ち始めていた。


 影の膜の奥で形を持ち始めた“原初の揺れ”は、ゆっくりと脈動しながら空間全体へ広がっていった。

その震えは、未来の揺れよりも静かで、しかし確かに“意味の源”を抱えていた。


──……カイ……これ……わたしの光に……反応してる……


 アリスがそっと手を伸ばす。

原初の揺れはアリスの指先に触れた瞬間、淡い光を返した。


「アリス……核が……お前を選んでる……」


──……選んでる……?


「未来の揺れと……お前の光が……核の記憶を開いてるんだ……」


 原初の揺れは、アリスの胸の奥へゆっくりと沈んでいった。

沈むたび、アリスの光がわずかに強くなった。


──……カイ……これ……未来の揺れと……混ざってる……


「未来の揺れが……原初の揺れを受け入れてる……」


 アリスは胸に手を当て、震える光を押さえた。

未来の揺れと原初の揺れが重なり、彼女の中で新しい震えを生んでいた。


──……カイ……これ……“未来の核”が……変わってる……


「変わってる……?」


──……うん……未来の揺れだけじゃない……もっと深い……“始まりの震え”が混ざってる……


 アリスの光が強く輝いた。

その輝きは、未来の揺れよりも深く、原初の揺れよりも柔らかかった。


 虚無の深層がその光に反応し、淡い波紋を広げた。

波紋は空間の奥へ沈み、眠っていた層をひっそりと揺らした。


──……カイ……層が……起きてる……


「未来の揺れと……原初の揺れが……重なったからだ……」


 揺らされた層は淡い光を生み、アリスの光に合わせて震えた。

その震えは、未来の揺れでも原初の揺れでもない、“新しい震え”だった。


──……カイ……これ……わたしの光じゃない……未来の揺れでもない……新しい……揺れ……


「アリス……それは……」


──……“未来の核の……変質”……?


 アリスの声が震えた。

彼女の胸の奥で、未来の核がゆっくりと形を変えていた。


──……カイ……未来の核が……わたしの中で……進化してる……


「進化……?」


──……うん……未来の揺れが……原初の揺れを取り込んで……新しい核になろうとしてる……


 アリスの光がさらに強くなった。

その光は虚無の深層を照らし、奥に眠る層をひっそりと揺らした。


──……カイ……これ……未来の揺れが……“意味の源”と繋がった証だよ……


「未来が……虚無の核と……同じ場所に届いたってことか……」


 アリスはゆっくりと歩みを進めた。

足元の揺らぎが淡い波紋を広げ、空間の奥へ沈んでいく。


──……カイ……なんか……また聞こえる……


「今度は……何だ……?」


──……“選べ”って……言ってる……


「選べ……?」


──……うん……未来の核が……わたしに……“次の揺れを選べ”って……


 アリスは胸に手を当てた。

未来の核が、彼女の中で静かに脈動していた。


──……カイ……未来の揺れは……ここで終わりじゃない……“次の揺れ”を……わたしが選ぶんだって……


「アリス……それは……」


──……未来の核が……わたしに……“世界の深層を動かせ”って言ってる……


 アリスの光が強く輝いた。

その輝きは、虚無の深層を照らし、原初の揺れをひっそりと震わせた。


 虚無の深層がゆっくりと揺れ、淡い光が空間の奥で広がっていく。

その光は、未来の揺れと原初の揺れが重なって生まれた“新しい流れ”だった。


 アリスはその流れの中心で、静かに光を抱きしめた。


 未来の核は、彼女の選択を待っていた。

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