1.即席の契約印
書いててこれだ!ってなりました。
やっぱり愛だよぉ~
あれから数週間が経った
……私はハメられていた。
──ドクン、ドクン。
というのも相変わらず一定の重低音が響く世界は、時折リズムが激しい時は運動か何かしている時であろうことはわかった、揺れるのも分かった、それでも居心地のいい揺り籠だったんだが、いつの間にか身動き一つ取れない強固な監獄へと変貌していた。
お婆に閉じ込められた時と酷似しているが、こんな時にお婆の顔がよぎるなんてなぁ、、、
しかしこの状況を整理すると人間の言葉を借りるなら臨月。柔らかい壁の向こうから聞こえてくる日常会話からそういう時期らしいという事だ。
宙に浮いてぐるぐる動き回れると思っていた時もあったが今では身体は丸まった姿勢のまま、先日のように手足を突っ張る隙間すらほとんどなく、頭なぞ骨盤という名の狭いゲートに固定されてしまい、動かすことすらままならなかった。朧気に身体から体力と魔力が無くなり動けなくなった時の悔しさが思い出される。あの時の悔しさは忘れられぬ。。。
だからこそであろう、そんな手足も動かせない不自由な中で、自身の五感(感覚)はかつてないほど研ぎ澄まされていた。身体が動かぬのであれば精神統一を行い五感も、その果ての第六感までも鍛え抜くだけよぉ。その努力も身になり最近では、あの求肥を弄ぶような不遜な手つきの主たちの「名前」や「性別」まで、母体を透過する声が完全に識別できるようになっていた。
「ねえ、ミックス! いま、ここが膨らんだよ!」
「っ!?~〜」
驚いたミックスはにこやかに笑いながら母体の主と姉のステフを交互に見た。実に賑やかに騒ぎながら、お尻のあたりをせっせと撫で回してくる、それは近所の子供ども──ステフとミックスという人間の小娘二人。
もう一人の今か今かと待ち構えて痺れを切らしたのが。
「おい、お前ら交代しろよ。次は俺、このアガー様の番だろ」
その横から、少しぶっきらぼうだが、期待に満ちた声を割り込ませてくるのが、アガーという男のガキだ。
(ステフに、ミックス、そしてアガーか。覚えたぞ……)
この飽きる程繰り返された中で、内心で鼻を鳴らした。
毎日毎日、この私に謁見を申し入れて(正確には母親の腹だが)群がりおってからに。悪魔の五本指たる私を、まるで近所のマスコットあるいは愛でる家畜か何かのように扱いおる。
なにより、アガーの徐々に男らしく硬くなってきた手や、ステフとミックスの小さく柔らかな指先が、外壁(お腹)を通じて交互に優しく撫でてくるたびに、彼の「悪魔族の血」が大人しくなっていくのも事実だ。
老若男女の人間が触れてくる温もりは、人間としての自覚への推進力となって身体に馴染むのを感じていた。目覚めた時には身体どころか心までもが、悪魔として生まれるのではなく人間として生まれる、、、果たして私は私なのだろうか……
思考のさなか優しく背中を撫でられつつ妙に落ち着いた時、不意に静かな外側から少女……ステフの驚いているであろう声が聞こえてきた。
「また〜?、アガーが触ってたら静かになっちゃった!」
「なんでだよ!?俺様のとき、元気はどこに行っちゃうんだよー?ちゃんと元気に出てこいよなー?!」
外側からアガーの少し焦ったような、それでいて愛おしげな圧が伝わってくる。
(ふん。アガーと言ったな。この私に指図するとは、愚かだが良い度胸だ。……よし、特別に最近編み出した技のお披露目をしてやろう)
頭を固定されているのを利用しバランスをとりながら僅かに残された可動域を使って、アガーの手のひらがある一点に向けて、小さな踵をグッと押し当てた。これ以上ない、渾身の足跡──いや、未来の魔王からの「即席の契約印だ」
──びにょーん。
勢いはつかないが、お腹の皮をブニーんと微かに押し出された確かな主張を成し遂げた。
「うおっ!? なんかきた! っっすげぇ、足の形ぃ?!」
「いいなー! アガーばっかりずるい!」
壁の向こうで、アガーの興奮した大きな声と、周囲の嫉妬混じりの黄色い歓声飛び交った
彼らは一緒になって、その突き出された小さな足の膨らみ、、、小さな壊れ物を恐る恐る扱うように三人で破顔しながら包み込んだ。慈愛のエネルギーが熱となり伝わるほどに、皮膚を通じて私の魂にダイレクトに流れ込んでいる。
(ホント調子が狂うな、本当に……。だが、まぁいいだろう)
ここから一気にと決めたいのですが、認定日と活動しないとダメぽなのでいったん空きまーす。ごっめーん
足跡と即席 かけてみたんだけれど、どうにょろ?




