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Taboo(タブー)  作者: ゼルダ
第2章【Behind the smile】
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第17夜


王都はローマの中にある。街に入ったところで、2人は一度バイクを下りた。王都は街の中心部に位置し、近づくほど細い小路が増えてくる。

さらに猫の街との異名を持つほど、ローマには猫が多い。ただでさえ細く迷路のように入くんでいるこの街の道ばたでいつ猫が飛び出してくるか分かったものではないし、それは人間でも同じ事がいえる。出会い頭の事故がローマでは多いのだ。後ろにサーシャを乗せた状態で走るのは危険と判断し、バイクを停める場所を探していると路上駐車中の車の中から見覚えのあるものを発見する。


「こないだ送ってもらった人の車、ですよね」

「ああ、ビスのと同じ車種だ」


仮にビスの車だとして、一体何をしているのだろう、今日は日曜で舞台公演は書き入れ時のはずである。

人違いではないかと疑ったが、一応近づいてのぞいて見るとやはり車内にはビスの姿がある。アレックス達に気がついたビスが運転席の窓を下げた。


「奇遇だなお二人さん、なんだよ仲良くデートか」


軽快に笑った第一声がこれである。その後静かに「誤解だ」と言うアレックスの言葉が彼の耳に届いたは定かではない。そんなことよりも、ビスがこんなところで何をしているのかの方が気になる。何故ならビスは猫が大の苦手だからだ。どういうわけか彼は猫に必ず嫌われ、遭遇すると威嚇や攻撃を受けるのは当たり前、本人も自分は犬派であると満を持している。


「ビスこそ、ローマなんかで何をーー」


言いかけたアレックスの背中に大きな影が入る。振り返るまでもなく、背後に表れた人物が誰なのかは大方予想がつく。「ナイトリーさん」とサーシャが先に声をかける。やはり、の3文字が頭に浮かぶ。影の正体はナイトリーであった。だが予想していたとはいえサーシャの言葉にアレックスの口からは思わずヒギガエルのような低いしゃがれ声が漏れる。


「今『ゲッ』って言ったろ」

「言ってません」アレックスがくるりと振り返りナイトリーの言葉を否定する。


いや、言ったけど。思ったビスだがとりあえずのところは黙っておく。「耳腐ってるんじゃないですかー」アレックスが負けじと言い返すがナイトリーは余裕の表情である。いつもなら叱り声か平手が飛ぶ所だが、不気味に笑うその顔にアレックスは身震いした。態度からして、何か企んでいるのは火を見るより明らかだった。


「せっかくプレゼントを用意してやったというのに」


勿体つけたようにナイトリーが懐から封筒を取り出す。人をいたぶるのが、好きなドSのナイトリーがプレゼントなど嫌な予感しかしなかった。何も知らないサーシャだけがプレゼントの言葉に顔を輝かせている。


「プレゼントだって? 呪いの手紙の間違いだろ」

「現に呪われてるやつに言われとうないわ」

「呪いの手紙なんて悪趣味で古い手使いやがって、この老いぼーー」


さすがのナイトリーもアレックスの言葉を遮って手が出る。その顔は笑顔だが、こめかみにはうっすら脈が浮いていた。


「プレゼントぐらい黙って受けとれのんか、お前は」


久々にとんだ握りこぶしの制裁に、アレックスは頭をさすりながら受けとった封筒の中身を確認する。中には鍵と書類が1枚。書類には「機密図書取扱許可証」と記され、下方にはナイトリーのサインがある。


「その書類は役に立つだろう、鍵はサーシャに」


鍵がアレックスの手からサーシャの手に操られるようにひとりでに移る。封筒から出したらサーシャの手元にいくよう仕掛けがされていたようだ。


「この坂を登った所の銀行の貸し金庫の鍵だ、なに心配はいらない、私が権力を使い金庫の所有者は彼女の名義にしてある」ナイトリーが高らかに笑う。


存在しない名義で王都に貸し金庫を作るとは、確かに権力を使ったのだろう。さすが腐っても国の大役人なだけある。ビスとアレックスが何かを失ったような目で見つめるこの男はそれだけ権力があるのだ。


「コンナノガ国ノ代表格」

「行ク末ガ心配ダ」


ぶつぶつと棒読みの不満が口々に漏れる。日頃から彼の被害に合っている2人は、ナイトリーが権力のある人間だと改めて思い知らされ軽い絶望感を味わっていた。








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