誘拐
新展開の始まりです。
楽しんで下さい。
初夏の日射しが心地よい昼下がり
真由美は洗濯物を取り込みそれを畳んでいた。
夫の政則の下着や一人息子の翼の服などを畳みながら今年小学校に入学したばかりの
翼の成長に伴い服のサイズが小さくなってゆく。
昨日の夜
翼が近所のサッカー教室に通いたい…と
打ち明けたとき。
真由美は幸せを噛み締めた。
真由美と政則は結婚して十五年になる。
中々授からない愛の結晶を手に入れるべく
不妊治療に踏み切った。
そしてやっとの思いで授かった翼が、サッカー教室に通いたいと打ち明けたのだ。
嬉しくない筈がない。
洗濯機をフルに使わなければならないほど、泥んこになって帰って来ると
想像するだけで
嬉しくなってくる。
そんな…至福の時間を過ごす真由美を現実の世界に
引き戻す様に…
固定電話がなった。
プルルル…プルルル…
誰だろう?こんな時間に?『ハイハイ…今出ますよ…』と電話に向かい独り言を呟きながら受話器に手を伸ばした。
受話器を手に取り…
『はい…小野でございます。』
受話器の向こうからボイスチェンジャーで声色を変えた相手が…
『お宅の息子さんを預かった。返して欲しければ
二億用意しろ!
わかっているな!
くれぐれも警察には通報するな!
通報すれば…息子の命は無い!
そして…二度と会うことも無い!』
ボイスチェンジャーを通した無機質な声に真由美は
呆然とした。
真由美が声も出せないでいると
『また後で連絡する』との言葉を残して電話は切られた。
呆然と立ち尽くし耳に当てた受話器からは
ツーツーツーとの音しか聞こえ無かった。
次回の展開は
コロリと変わり
悪魔堂の面々が登場します。




