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思い付き  作者: Blue_lobster
二章
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98/100

50.3

「戦闘員二百、うち第一波が八十、その後の波は二十人毎に上陸だ。」


「小隊を組め、先導するのは小森柊人、乙倉ひな、高取椿芽だ。」


「分かった。」


「分かったっす!」


「agree.」


ポイントマン(小森柊人)、火力支援(乙倉ひな)、突撃員(高取椿芽)が小隊長に任命され、作戦前夜が幕を明けた。


「殆どの戦力は戦艦に残る、これは敵の戦力増大を防ぐ目的と、帰還用の二つが理由だ。」


「上陸したらとにかく白兵戦だ、椿芽が神秘を使って道を作る。」


「ひなは側面から、柊人の部隊は相手の機関銃を潰してから上陸。」


指揮官、佐都犬丸。

紙を取り、海図を見やり、作戦を練り上げる。


「これが上手く行くと思うなよ、作戦は適宜変更だ。」


そして、それが瓦解する事も予定に入れて。


「交戦規定は無い、味方以外の動くやつから殺せ、動かないのも殺せ。」


上陸の目処が立っていく。


「負傷者について、これ俺からより雨眠の方が良いだろう…雨眠。」


蛍光灯の下、白衣の主が袖を掲げる。


「脳、心臓に多少の外傷が無いなら治せるよぉ…」


「でも、私並びに衛生兵を過信しないでほしいねぇ…神秘にも限界は…ないと言いたいけど、あるから。」


「今回は私も上陸に並ぶよ、背後に回復パックがあると思ってくれたまえ。」


「はいおしまい。」


饒舌は素早く、冗長に終わった。


誰もが内容を呑み込めずにいる中、ひなだけが回復パックというワードで理解を成していた。


「えー…つまり、無理はしてもいいが死ぬな、だ。」


「次に、今回の武装、仮想敵についてだ。」


機関銃六門、側面に高射砲を構える相手に対しどう動くか。


一つの失態で大切な生徒が死ぬ、リスクを背負った決断。


「制式カービンを一人一つ、これは役職問わずだ。」


「相手はこれまでのセト•アニマルじゃない、自分の姿、力を持ったヌンだ。」


「それから、目の前を高速で突っ切る何かが見えたら直ぐに伏せろ。」


今回の作戦…乙倉ひな命名『海の獅子(テット)』。


その中で最も警戒すべき敵、ウィンタージャーニー。


これを対処するのは…


「あのカス列車は俺と」


「俺に任せろ。」


猫塚ミチル、三田小夏、その二人である。


「とにかく、何があっても伏せろ。」


「それから…クルミ、雪代。」


「はっはい!」


「…はい。」


微睡みの中に居たクルミは机の下で雪代に太ももを抓られ飛び起きる。


「役職通り、お前らは狙撃だ。」


「な、何を狙えばいいですのん?」


「…相手の戦艦だ。」


「ふぁ?」


こちらは戦艦で赴く、そして敵はこちらを模倣する。


なれば、敵が戦艦を持つのも無理はない。


「今回お前に渡すのは対物ライフルじゃない、対艦砲だ。」


「いぃや絶対人に向けて撃っちゃ…人じゃないか。」


「そうだ、それから一(はじめ)。」


「ふん、やっと出番かよ。」


黒眼鏡の主が立ち上がる、その姿はどうにも久しく思えた。


「で俺の出番は?まーた影薄なのはごめんだぜ。」


「戦艦の絶対防衛だ、出来るな?」


「フー!いいね!任せろよ!」


______________________


各員が配置、役職に就く中、懸念事項が生まれていた。


「…佐都くん、僕はどうすればいい?」


「…わ、私も。」


「ぁー…ウナは取り敢えず前線として…ふゆ、どうしたい?」


冥界の神、オシリス。

その名を冠し、痛みを失った少女。


「怖いの、やです…」


依田ふゆ、運転の技は優れているもののテットに籍を置く建部には遠く及ばず。


「下野を操縦も出来ないしなぁ…」


「『תיבה(方舟)』である。」


「名前はどうでもいいわ、…とにかく、ふゆは後方支援で…」


口籠り、怯え、結果何も出来ず。


いつも通り守られ後方で友達の英雄譚を眺める。


そこに恐怖と不安はない、されどこれといった愉しみもあらず。


「あのっ」


「…ん?どうした。」


「なっなんか、私にできぅ、出来ることありますか…!」


踏み出す勇気はどこから湧いたのか、心の杯の底すら満たしていない。


しかし、確実に勇気自体は在った。


「といってもなぁ…お前銃も使えないし…」


「………」


「小娘、一つ聞くぞ」


背より声掛けしその者には、不思議と怯えが発露しない。


「技能というものは酷なものだ、努力で解決出来ん事が多過ぎる」


「が、それも王の眼前にて無力に伏す。」


「望みは何だ?逃亡か、負け犬丸出しで突撃するか?ん?」


まくし立てる言葉は刺々しく、意味を見出だせない。


「…操縦出来る人、呼んでください。」


「続けよ。」


「戦艦は一人じゃ操縦出来ません、私は…私は舵を取らない。」


「ふむ、続けよ。」


「せめて、一員になりたいです。」


痛みは過去の開腹激痛で失った、しかし恐怖と不安は消えていない。


「お願いします、あなたの方舟に乗せてください。」


それでも、胸の内、内在にはまだ勇気が一滴だけ残っていた。


「…期待しません、もう何も要りません。」


「良い、許す…欲せ、自を満たせと叫べ。」


ふゆは今、ようやく王の言葉を理解した。


そうでない者(佐都)も居る、されど両者間にのみ分かる事象は確かに在った。


「…私にも!出番が欲しいんですっぅ…!」


依田ふゆ、15歳、被戦闘員。


地下7000kmの怪物救う洞穴で、叫ぶ。

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