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思い付き  作者: Blue_lobster
二章
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97/100

50.2

「よし、まずは武装配備だ。」


「作戦名も考えたいっす!」


かくして始まった第八層突入作戦。


その名前は、まだ未定のまま。


「おい、レーダーが島を検知したぞ。」


「え、うそ、ほんとに?」


「信じられないなら見てみろ、雪代。」


柊人の指し示す海図には盛り上がった地形が一つ、その周囲に小さい点が複数。


「上陸作戦っす!ノルマンディーっす!」


「…偵察機を送ろう、怪物(セト•アニマル)が居たら面倒だ。」


第八層の海、名は『文字通りの地中海』、名付け親はクルミである。


「ふぅ…俺はドローン偵察機を送る、三十分くれ。」


『下降上陸作戦』。

地下空間に存在する海に対し戦艦を降下させ、島への上陸を測るもの。


そして、目標。

これまでとは毛色の違う第八層にて、U.T.E.Aの望む通り原初の水、ヌンの捜索。


及び…


「…ミチル、お前が協力する理由はスズの救出…だが何故第八層突入に?」


「あ?うっさいねん先生気取り、お前に話す言葉は罵倒だけや。」


あの日、失われたオグアドメンバー、『水守スズ(みもりすず)』の救出。


が、事実スズは例の坑道で行方不明、遺品も見つかっていない。


「気になってきました!教えてほしいっす!」


「…もう行くしかないねん。」


「え?」


「自棄や、多分居らんけど、居ったら嬉しいで行くしかないねん。」


「…ぷ、プライベートライアン…」


「何か言うたか。」


「何もっす!」


一か八か、せめて、せめて遺品だけでも回収出来れば。


あのロッカーに閉じ込められた、閉じこもっている小麦川ライを救えるかもしれない。


「まぁ、どっちにしろお前は守ったる、乙倉ひな。」


「…こっ告白ですか?!」


「ちゃうわ!」


一人背を向け偵察機を遠隔で操縦する柊人、しかし次の瞬間には


「なっ?!」


全反応を受け付けず墜落、カメラは人影を捉える。


「ん?どうしたの、柊人くん。」


「これは…俺?」


その影は水のように流動し、人間のように動いていた。


何より、顔、体付き、装備の全てが小森柊人その人を完全に模倣していた。


「雲行きが怪しくなってきた、雪代…新科学部のバカを呼んでこい。」


「え、あ、うん…分かっ、た?」


疑いは実験によって晴れる、この謎の影についてそれが適用されるだろうか。


______________________


「はい!!!何をすればいいですか!!!」


「これ、ちょっと操縦してみろ。」


「おぅわ、何ですかドローンじゃない…のわぁっ?!」


再度、全反応消失からの墜落…とは行かず、まだ偵察機は航行を続けている。


「…!」


「っ柊人くん、あれ…!」


「え?な、何ですか?」


カメラの端、解像度は粗いが確実に新科学部部長その人が映っている。


「…雨眠先生、これ、どう思う?」


「ン?ああどれどれ…」


まだ佐都へ抱き着いている雨眠は空いた手で操縦端末を受け取る。


「模倣型だねぇ…でもここまで精巧なのは稀も稀、おーいケテルくぅん…おいでえ…」


イタリア事変、過去の詩人と皇帝をほぼ完璧に模倣した聖遺物喰らいと相対した王が呼び出される


「ほう、面白い、どうやらこちらの戦力や思考力をも模倣しているらしい。」


「思考力?」


「きっとケテルくんが言いたいのはあれだよ、普通こっち(テット)で対応してる模倣型はaがbを模倣するんだけど…」


「このお水お化けの場合、nullがbを模倣している感じだねぇ…」


お水お化け、a,b,null…つまり、カメラに映る『何か』は、無貌の者が島に来た者を迎え撃つべく顕現した存在ということ。


「俺は拳銃を持ってる、だが新科学部のこいつは持ってない。」


「なるほど!!だから私のは撃ち落とされなかったと!!」


「ふぅン…このままだと、厄介な事になるかもねぇ…」


相手がこちら側の戦力、兵器、思考を模倣するのなら被上陸である仮想敵の方が断然有利。


尚且つ、例えナイフ一本で挑もうが…


「ここ、分かるか?機関銃六門、側面に…多分高射砲がある。」


相手に基本装備があれば死地に赴くだけ。


「…最低限の物資で、ってことか。」


「先生…」


「ふん、柊人…分かってるとも、鉄条網の突破には…」


「違う、こいつが問題だ。」


コンマ一秒よりも短く、かといって見逃せるものではない。


それは、時速600km超の肉列車。


「ウィンタージャーニー…!また出てきおったんか…!」


「ウィンタージャーニー?って何だ、先生。」


「ああ、かくかくしかじかでな。」


島の先、上陸した末の平地塹壕に、その霧は映っていた。


「こっちの戦力を真似る兵に…ミチルが坑道で見た列車、対してこっちは…」


「戦艦に、最低限の物資の強制、神秘も真似てくるんやったらしまいやで。」


神秘の模倣、あってはならない不可侵の禁忌。


「ハ!ありえんな、馬車の積み荷に城を載せるのはいくら神秘であろうと不可能よ。」


「…つまり?」


「あっちが模倣するんにゃキャパオーバーって訳やろ、知らんけど。」


例え神秘濃度の高いここ超深度坑でも、禁忌は破られないようだ。


「…よし、皆を集めろ!作戦会議だ!」


佐都の号令が鳴り、エネアド生徒会、キノヤクアカデミー13の部長、テット職員、そして…ミチルが集結する。

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