50.
「…結果が出た、これが海図だ。」
半刻程経ち、機械と柊人の算出した空洞が紙に乗せられ一行の目に入る。
「海の深度は数百メートル…以外と、だな。」
「…なぁ先生、海ってことは『アレ』使えってみてもいいんじゃないか?」
「ああ、確かに…取り合ってみるか。」
通信機へ手を伸ばす佐都、電報を飛ばすは高取のPMC。
「犬っころ、『アレ』ってなんだ、あ?」
「驚かないでくださいよ〜三田さん?実はこのアカデミー戦艦持ってるんです。」
砂漠のど真ん中に位置し、これまでに海域探査の一つやってこなかったキノヤクアカデミー。
が、それを管轄するU.T.E.Aは、過去にテットから戦艦の提供を受けていた。
「戦艦『下野』、進水は初めてですけどスペックは保証出来ます。」
「やっと、あのデカブツが水に触れられるって訳だ。」
呟き、柊人は手慣れた様子で武装を準備する。
「はぅあ!ちょっと待って!海戦ってことはセーラー服?!ゆき―――」
「…クルミ、何回言わせるの。」
「ご、ごめんなさい。」
戯れもそこそこに、歩み寄る小さな影一つ。
「除染とやらが済んだぞたわけ共、貴様らの王に礼を言え。」
「hm? thank you.」
一令に従ったのは椿芽のみ、が王は機嫌を悪くすることなくただ歩を進める。
「そして、これは追加…おまけの下賜だ、受け取る事を許す。」
「は?」
「what the…!」
言い切る前に、一行を巨大な影が覆う。
それは、鉄塊というにはあまりに大きく。
「此は戦艦下野に非ず、今より此は『תיבה』と称す。」
「のわー?!戦艦が落ちてくるっす!」
慌てふためくひな。
「んな訳あるかい、どうせ止めてくれるやろ。」
「確かに!!!」
そして直ぐに落ち着く。
なんとも忙しい女である。
「なに、順序を飛ばしただけに過ぎん…サト、電報を見るがいい。」
「はぁ…?!」
通信機には輸送開始、中途完了、完了の通知が映し出されている。
そして、甲板からは…
「こんにちわぁせんせい…約束のもの、運んできましたぁ…」
「あっ…!お、『お花観察部』!!」
「はい…部長と来ました…」
悠然とした声が覗いていた。
「ぷかぷか浮かんでて楽しかったですよぉ…」
「…小さいの、あいつら降ろせるか。」
「無論、余に出来んことはない。」
ふわり、ふわり。
風に乗せられるかの如く鷹揚の女二人が地に、実際には地下7000km超の地に降りる。
「長旅だったね…部長…」
「ねぇー…」
「…はぁ、とにかく好都合だ、整備して問題なかったら第八層に突っ込むぞ。」
『お花観察部』の二人は手を繋ぎ辺りを散策し、消えていった。
「ねぇ先生!あれ言っていいっすか!」
「…あれって何だ。」
「勿論…出航だ!っです!」
小さな艦長、乙倉ひなの号令が戦艦を動かす。
実際には、空力剣が作用しているのだが。
次、長編です。




