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思い付き  作者: Blue_lobster
二章
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94/100

48.

閃光が走り、二つの剣が顕現する。


「収束剣(サメフ)よ、空力剣(ベート)よ、久方ぶりであるな。」


確率操作、そして風の剣。


「やる事はなんだ?余が下賜としてくれてやるとも。」


全ての現象は、初期条件によって成立する。


「除染に、流れ込んでくる岩盤の破壊、せき止めです!お願いします!」


もし、それを操作出来たら。


「では、始めよ。」


あらゆる事象が可能となるだろう。


現時刻1500(3時00分)、キノヤク岩盤超深度掘削抗の、第八層への侵攻が始まる。


「雪代さん!準備お願いします!」


「はいはい、もう出来てるから…」


たった一つの初期条件から甚大な効果をもたらす、王は今、カオス理論の解を得た。


「投下準備ー!『新科学部』了!」


「投下準備、『掘削部』了。」


「投下準備、佐都犬丸、了。」


現地点は深度7908kmのチェックポイント78、起爆は91km離れた箇所。


投下は遠隔にて行われ、想定であれば八発程核融合を起こすミニ水素爆弾を起爆しなければならない。


"投下準備了解、ロック解除"


坑道中に響くノイズ掛かった声、その主は『旧科学部』の部長その人。


"ロック解除完了、起爆準備。"


官僚じみたやり取り、事実これは核爆破、実験などではなく実用目的の。


"起爆準備完了、投下まで…"


エジプト政府にバレれば処刑なんて生温い、外交問題まっしぐらの完全違法核爆破。


"3,2,1…今。"


単一の機械音、ランチャー台から核弾頭が投下された音。


「良い、ヒトの残した世界終焉の戦火、この余が治めてやる。」


嘶く空力剣、気流は核弾頭を覆い、第一波を緩和


叫ぶ収束剣、気流が逃れないよう初期条件を調整


そして、起爆。


「っうわ…!!風が…っ!」


プラズマカッターすら弾く岩盤を何重に隔てようが届く衝撃。


「おお、すげ。」


佐都の感嘆と共に、全てを蒸発させ、全てを吹き飛ばす風が緩和されても尚この坑道に届く。


"周辺岩石のガラス化、及び融解確認。"


「さて、出番だよぉケテルくぅん…」


「良い、お前の神秘、存分に使ってやろう。」


土壌・岩石中の核分裂生成物。

放射化された物質。

微細な放射性粉塵。

地下水に溶け込んだ放射性核種。

爆発によって生成された二次的な放射性物質。


普遍的手段による除染では途方もない時間と労力が掛かる。


が、今この場には王が居る。


「余が存在を許さん、なれば死ね。」


宇宙が許している無数の経路のうち、望ましいものへ極端に偏らせる。


放射性粉塵、エアロゾル、汚染水などの移動経路を制御。


『人間圏へ戻る』『再飛散する』といった望ましくない経路を排除。


残った放射性核種について、安定核種へ向かう崩壊、核反応を選択的に促進。


「凄いです!ガイガーカウンターがめっちゃ静かです!」


新科学部の部長ですら感嘆する超自然的現象。


結果、先の水爆により12mが掘削満了、除染及び瓦礫の雪崩は防がれた。


「ハ!中々どうして気分が良い、今宵は楽しくなるぞ、ウミ。」


「ふぅン…まさか成功するとは思ってなかったねぇ…」

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