47.
「あれ、そういやふゆは?あいつどこいった?」
「へーい…それが、こっち来てみな。」
チェックポイント78のプレーンな坑道、日光の一つ届かない環境でも黒眼鏡を止めない一。
そこには、車内で床に就いたふゆの姿が。
「…寝てるな。」
「な?寝てるだろ?」
「ふぅン…ノンレム睡眠だねぇ…」
「微睡みに伏しているな。」
「えっなになに…うっわ寝てんじゃんふゆ。」
「…何しても起きないからふゆちゃん放置してるの、お説教はまだ終わってないよクルミ。」
「なんやさっきから寝てる寝てるうっさいねん…うわ寝とる。」
「寝てるっす!」
「hm…she's sleeping…」
「あぁ?何だよ面白いもんでも…寝てるだけじゃねぇか。」
「…先生、通信設備の設置が…まだ寝てるのか、こいつ。」
「あはは…寝ちゃってるね。」
車窓に張り付く十人十色、中のふゆからしたら恐怖以外の感情は無いだろう。
「…なんか、デジャヴだな。」
「ふぅン…記憶における類似性認知メカニズムの誤作動だねぇ…」
耳に漏れる呼気、先程から常に佐都へ抱き着いている雨眠は、横目で書類を見やる。
「そこの君、素人質問で恐縮だけど…これ、本気かい?」
「はい!どうですか私の案は!」
目を輝かせ問いに言葉を返したのは『新科学部』部長。
「ミニ核ランチャーで超高強度岩盤を爆破し続ける…少し、指摘を?」
「どうぞ!はぁ…テットの科学部室長サマに指摘を貰えるなんて…!」
「除染作業や流れ込む瓦礫、地中の圧力により岩盤が押し戻されると思うのだけど?」
「ふふん…かもん!『掘削部』部長!」
バカげた核掘削法、それを認可したのは。
「…ごめんなさい、でもこれしか良いのが無くて…」
責任者でもあり、作戦総本部の人員であり。
世話役の、雪代だった。
「除染については、先生の神秘で行けるかどうか…」
「え?俺?」
「…無理なの?」
不思議と、雨眠は肯定も否定もせず考え込んでいた。
科学はいずれもバカげた思惑から始まる。
地球だって、数千年前は象が持ち上げている思われていた。
「けーてるくぅん…?おぅい…けてるくぅん…?」
「…このような愚策に、余の神秘を使えと?」
「ん、なに?どうにか出来そうなの?」
選択は三つ。
確率を操作する、収束剣。
風を操作する、空力剣。
正負を操作する、正負剣。
「…断る、そも今の余に剣を振る神秘も、機嫌も無い。」
問題は、どれも所有者がこの世全ての王であること。
王は臣民を命ず、逆は絶対にあってはならない。
「しょうがないねぇ…ミニ核掘削は興味があるし、全裸になるよ。」
「一肌脱ぐ、であろうよ。」
囁きが耳に伝う、明けられる雨眠の秘密、及び神秘は…
「こしょこしょ…ぽしょぽしょ…」
「ほう…なるほど、良い。」
時間を掛けず、琴線に触れた。
「気が変わった、神秘の流れもだ、協力してやる。」




