46.
「俺がさっきから着けてるこのチョーカー、これがキリちゃんのや。」
「んでこれがスミちゃんの。」
チョーカーに、イヌの首輪。
いずれも首を絞め、抑する為の装飾。
「これで俺は体を幾らでも変形出来る、スミちゃんの使えば何も食わんでも生きてけるんや。」
「うん?じゃあ何であの家に食べ物が?」
先日のミチル制圧戦、最後の切り札として投入されたウナ及びAチームは、生活感の塊を確かに見ていた。
「ウナ…お前知っとるやろ、こないなもんずっと付けられるかいな。」
「まぁ…確かに、ワンちゃんみたいだもんね。」
あの日あの坑道で、片足と片腕を失ったミチル。
それを補填しているのが、肉体変形なのだ。
今こうして立っているのも、旧友のおかげ。
「…最後や、お前らに協力する理由。」
チョーカーと首の間に挟んでいた何かの破片が取り出される。
「これはライちゃんのや、スズちゃんのは見つからんかった。」
それは、正にマクガフィン、原初の水を担当する者が遺したとある鍵、その破片。
「扉なら何でも開けれる不思議な鍵…そう呼んどった。」
「…ミチル先輩、それと協力する理由の関連は?」
「さっき言わなかったか?ヌン…つまり、スズちゃんは多分生きとんねん。」
「えっ」
回収したライの遺品は使い物にならず、スズの遺品は見つからず。
分かっているのは、鍵は二つで一つ、それでようやく動作すること。
「あの坑道でな、俺はそう確信しとる。」
「へぇ…あ、そういうこと?!」
何でも開けれる不思議な鍵、それが例のロッカーに通用するならば…
「あれがライちゃんやなくとも、スズちゃんが坑道に居なくとも、やる価値はあるねん。」
「…ようやく見つけた手掛かり、って訳か?」
「うっさいねんカス、先生気取りは黙っとけや。」
「………当たり、強くない?」
暇を持て余した末に三田が腕を使わずに腕立て伏せをし始めた頃。
エレベーターは減速し、操作盤が7908kmを指す。
「お、着いた着いた、雪代ちゃんはいるーかなー…」
「ここに来るんも久しぶりやな、…あの頃以来や。」
現時刻1430、一行はチェックポイント77に現着。
そして、先着者達が顔を覗かせる。
「…先生。」
「あ!!ミチル…!さん?先輩?」
「hi there…みんな。」
見知りのエネアド生徒会、それに付随してアカデミー生徒。
それぞれがヘルメットを被り役職を示して、14ある部活のうち『お花観察部』を除いた全ての部長が集まっていた。
「おう、乙倉ひな…お前先行っとるなら言えや。」
「すみません!何せ召集掛かってたもんで…」
お辞儀をするひな、その頭にはやはりヘルメットが被せられていた。
「先生、これ…資料纏めたから一応目通してね。」
「お、ありがとうゆき―――」
「はろー雪代ちゃんー!恋しかった?ねぇ恋しかった?」
「……クルミ、一回こっち来て。」
「え?」
連れ出されるクルミを背に、佐都を含めた部長達が集う。
こうして、通達通り作戦総本部が設立を満了した。




