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「俺が実際に使える神秘は六つ、そのうち一つが元々持ってたもんや。」
「複数持ちは珍しいなんて騒ぎじゃないねぇ、いつか君の体を解剖したいものだよ。」
「外部嘱託式の神秘、それも死人からの預かりものとはな。」
神秘について知見のある者の会話は全て小難しい、もっと噛み砕く事は出来ないのか。
「元々のは…これや。」
エレベーターが降下する、その浮遊感と共に、ミチルは消えた。
「何でこんなんが出来るかは知らん、生まれつきやし。」
消えた、というよりは、その姿が空間に溶けた。
「透明化…えーそれあたしが欲しいんだけど。」
「ま、狙撃にはうってつけやな。」
「おお、じゃ俺の読みは当たってた訳だ。」
「ぁー…ちょいちゃうな、正体はこれや。」
三田の読み、それは瞬間移動ではなく透明化と判断した事だが、その真相はミチルの持つプレーヤーにある。
「これ、元はアキちゃんのやつなんやけど…ḫmnw。」
曲を選び、掛ける。
イヤホンを着け、また消える。
しかし今度は、存在感、気配、実在そのものが消えていた。
「…非実在と実在を切り替える…量子力学が絡んどるからよう知らん。」
一行の死角に居たミチル、移動したのではなく、元から居たように見える。
「ふぅン…解説が必要かな?」
「やめておけ雨眠、お前が話すとややこしくなる…」
「んまぁ、要はこのプレーヤー使うと瞬間移動と無敵になるってことや。」
「は?!チーターじゃん!」
ひなとのゲーム三昧で培ったクルミの知識が重大性を指摘する。
「いいやちゃう、ずっと無敵な訳あるか。」
プレーヤーに登録されているプレイリスト、その第一曲目である『INVISIBLE』総再生時間3分と11秒。
それが、量子的透明化の持続時間。
「で、次は…着いたみたいやな。」
数刻続く減速、巡航速度を2000〜3000km/hとしている当磁気エレベーターにおいて、加速と減速は命。
「ん?何か一層に用あんのミチル先輩。」
「ちょいな、気になっとんねんどうなっとるか。」
扉が開く、飛び込む光景は広大な、鬱蒼とするほどツタの生い茂る洞窟。
「確か…なんやっけ、ここで何採れるんやっけ?」
「レアメタルだ、タングステンとモリブデン…掘削部はこれでウハウハっていう訳だわな。」
呟く佐都の視線、その先には召集が掛けられても尚掘削を続ける生徒が居た。
「おーい!お前ら早めに来いよ!」
「あい!」
「んぁい!」
「…どうだ、ミチル。」
間の抜けた返事、タオルを首に巻きドリルを手にする彼女らは齢16にも満たないはずなのに、歴戦の風格を漂わせていた。
「……まぁ、ええんちゃう。」




