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思い付き  作者: Blue_lobster
二章
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88/100

42.

「…エジプト神話における、あらゆる存在の起源か。」


「そうや、勿論オグドアドにもおったで。」


名字を持たず、下の名前ですら預かりもの。


それが、オグドアドにおけるヌン、スズという男だった。


「人間としてのヌンはスズちゃん、やけど…物体としてのヌンを求めたんや。」


神秘濃度の高い場では、ありえない事が必然となる。


それは伝承にも当てはまり、実際に砂漠神であるセト、その化身である動物が敵意を持ち掘削の阻害をしている。


「あいつら、スズちゃんを殺した。」


「そのバディのライちゃんもや。」


「ちょ、ちょっと待った、今誰ちゃんって?」


呼び止めるクルミ、その真意は聞き覚えにあった。


「小麦川(こむぎがわ)ライ、ナウネト担当の女や。」


「…先生、『アレ』じゃない?」


「確かに、『アレ』かもな。」


その正体は正に、所謂学校の七不思議というものの一つ。


『ロッカーのライちゃん』に由来する。


「旧生徒会室…ま勝手にそう呼んでるだけ。」


一行が訪れたのは、備品は古くそれでも清掃の行き届いた一室。


「ほら、あれだよあれ…午前7時から午後の9時までにノックをすると会話が出来るロッカー…!」


指差す先には大きい用具入れ、がたりと揺れたのは気のせいか。


「…あれが、ライちゃんとどう関係あんねん。」


「ちょっと見ててな、今分かるからさ〜…」


数回のノック、直後にくぐもった短い悲鳴が聞こえる。


「ひゃうっ…だ、だれ…?!」


「………ぁ」


たった一つの声、それでもミチルは、旧友の存在を確信した。


「こいつがライちゃん、何をしても出てこなくて一回プラズマカッター使ってみたんだけど…」


「―――ライちゃん!」


「なに…っ…また知らない人…!?」


「ちゃうって!俺や!猫塚ミチル!」


戸を開けようと藻掻く、しかしどうにも堅く閉ざされているらしい。


「み、ミチルくん…?!ぃや、そんな訳ない、怪物さんだ…!」


「ぁー…そうそう、ミチル先輩?こいつあたし達の事怪物って言うんだよ、何してもな。」


呆れ顔を示すクルミ、彼女達(エネアド生徒会)が入学してきた頃から在ったこのロッカーは中に人が居る、はず。


「誰が怪物や!開けて顔見りゃええやろって…!」


「だめっ…だめなの、怪物さんはそうやって騙すの…!」


「…いいからはよ開けろや!!あぁ?!!」


「ひゃうっ…!?」


ロッカーを蹴り飛ばし、暴行を加えるミチル。


一行は傍観に現を抜かしていた。


「そ、そもそも、ミチルくんは関西弁じゃないもん…!」


「………」


「残念でした、怪物さん…ばーか、ばーか…」


その煽りが、逆鱗を撫でくり回した。


「…クルミ、ジャベリン(対戦車ロケット)持ってこい。」


「あいあいさー」


「ふぇ?」

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