37.
「そーっと、そーっといけよ…?!」
「なに、ただ寝ているだけであろうよ。」
歩を進め、それの包帯を剥ぎ取る。
が、顕になったのは寝顔ではなく仏頂面。
「…やぁケテルくん、少し退いてくれるかな?」
背より掛けられる声、その呼び名を使う者はただ一人…
「…ウミ、貴様ここで何を。」
振り返る間もなく袖で退かされる王、ふわりと舞う薬品臭がどこか苦い。
「おい、治療中だぞ何してんだ。」
そして、三田の声に怒気は含まれず、ただ落ち着きが十二分に漂っていた。
「ちょっと良いか?さっきからずっとコソコソしてるチビ共連れてこい。」
「…ほう、無論だ、断る理由は無い。」
全身が包帯の塊となろうが、今の三田は確実に手招きをしていた。
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「………」
「………um.」
「で、何か言う事は?」
正座、クルミと椿芽の二人は額に汗を滲ませる。
「置いてっちゃって、ごめんなさい。」
「私、からも…すみません、でした。」
真っ直ぐな謝意、二人は満身創痍の状態で十時間余り放置された当人に効くだろうかと思慮する。
「…よし!悪かったって言うんならもうキレねぇよ、顔上げろ。」
答えは素早く、快活に返された。
「どっちみち雨眠の治療は受けるしな、湿気はウザかったが…」
「す、すいやせん…」
「I'm so sorry…」
ぺりぺりと脚、下腹、上体、腕と包帯を剥がされていく三田。
傷は深く、血だらけの裸体に白衣の袖が掛けられる。
「はい、いつもの行くよ。」
「おう、頼んだわっ―――」
合成、充填、発射。
雨眠の袖口で鳴り響く機械音と共に、何やら薬剤が投与される。
「なるほど、それがお前の神秘か…三田よ。」
先のミチル戦で見せた、三田の神秘が日を跨ぎ再度発現する。
「今打ち込んだのはアドレナリン剤にATPの元となる栄養素を詰め込んだ生理食塩水、そして…私特製の適応剤だよ。」
「ご丁寧にどうも、後は…俺に任せろ。」
骨、肉、皮下組織、皮膚、その全てが見る見るうちに塞がれ、治癒されていく。
骨は硬く強く、筋肉は記憶まで、皮膚はまるで生まれたばかりのようだ。
「ふぅ…おい、服貸せ。」
それはそうと今の三田は全裸、あの時のように、着ぐるみはここに無い。
「それと…ミチル、何か俺に言う事あるんじゃねぇのか?」




