30.
「…謝って戻ってくるんならそれでええわ、でも現実はちゃうやろ。」
謝意に対しての答えは酷く冷めていた。
しかし、4年という歳月を経たのであれば必然である。
「ミチル…!」
「黙っとけや、お前が口出すんは一番ちゃうやろ…逃げた癖に。」
静観を貫いていたウナが痺れを切らす。
「なっ…ミチル!今のは言っちゃいけない線を越えているぞ!」
「事実やろ、お前がぶらついてた頃…皆は殺された。」
現生徒会のメンバーは直面する、前生徒会…つまりオグドアドのメンバーが、事故死ではなく他殺であったことを。
「…ごめん。」
「っやから!!謝って戻ってくる訳ちゃうって言うとるやろ!」
胸ぐらを掴まれても、ただ顔を背けることしか出来ない。
他の者も同様に、ミチルの過去を知らない自分達が口を出してはいけない領域に居ることを知っていた。
「お前らも知ってるやろ、あのアホみたいな穴の事や。」
「っまさか…せ―――」
「殆どはそうや、でもな…何人かは、お前らの親に殺されたとおんなじや。」
総合戦術育成機構U.T.E.A、アカデミーを運営するそのメンバー総数6名は、エネアドメンバーの親である。
ひなの親、乙倉健二が所有するスターライトエアラインなる航空会社を含め、皆何かしら表向きの会社を有している。
元来、組織には陰謀、策略、裏切りが付き物。
「不要、そう判断したんやろうな。」
オグドアドの人員に掘削抗を建設させ、掘らせ、危険地帯に赴かせ…
「結局、俺以外が殺された、別にお前らを責めよう言うてる訳やない。」
掘削抗の恩恵は莫大だった、同時に、それは人の目を眩ませる意味を孕んでいる。
「もう寝るで、昔話はしやん主義や。」
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「………拗れてるな、あいつ。」
「そんな言葉で済ませられる物なの?あの人は…な、何ていうんだろ…」
年端も行かない青年淑女達を神秘に曝露させ、食い潰した大人が自らの親という心境は、計り知れない。
「とにかく、ひなちゃん…その、あなたがミチル唯一の窓口役だから、頼める?」
「…複雑っすけど、分かりました雪代さん、任せてください。」
「僕からも、あいつは今…その、荒んでるから、頼んだよ。」
しかしこの場において、最も芳しくない心境なのはウナ当人。
元は砂漠の放浪者、ヒトと知り合ったが故に歪んだ運命はどこ吹く風。
「…寝るよ、クルミ。」
「うぃっす〜…あ、そうだ明日は掘削抗行くからね〜」
こうして、濃密だったキノヤク出張その初日が終わりを迎える。
校舎に寝床がある事は特に不自然ではない、何せ温泉施設から人工昼夜サイクル、約8000kmもある洞穴がここにはあるのだから。




