27.
「えマジで分かるっす、自分3DS版でやってたんですけど…!」
対話に花咲かせていた頃、唸り声が二人の鼓膜を揺らす
「うう…ぐぁ…」
「あ゛っ!み、三田さん忘れてた…!」
「…お前とは仲良くやれそうやし、こいつは逃がしたる…わ…」
刹那、ミチルの直感が危険の警鐘を鳴らす。
聞こえたのは足音、吸音パッドを着けた特有の、耳にタコが出来るほど聞いたあの音。
「乙倉ひな、目ぇ瞑りや。」
「え?」
「フラッシュ!!!」
投げ込まれる、拳一個分の鉄塊。
それは優に180デシベル以上の音を出し。
網膜に焼き付く光を出す…
エネアド生徒会の十八番、閃光手榴弾。
「んぎゃっ」
「………」
「うぅ…」
三者三様の反応、即時に一人の小さな影が突入を成す。
「ホステージロケーテッド、たーげっと…あぇ。」
「ん?うわ、ウナ…」
現れたのはBチーム、Cチームの人員でもなく、防護盾を持った小柄な少女。
「なんで、居るの。」
「いぃやそれお前や。」
「んがー!めっ、目が…!」
椅子から転げ落ちるひなを横目に、二人は相対する。
「なんや相変わらずの見た目やん?元気しとったかカス。」
「………」
過去、二年前。
幾度となく出会い、時に共闘し時に対立した旧知の関係。
「も、もしもし…あに、あの…ブルーオンブルーしちゃった…」
エネアド生徒会及びヘリオポリス九柱神、その創造神『アトゥム』の名を担う女である。
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「…ちょ足場作ってぇや。」
「分かったです、じゃ鉱石掘っといてくださいっす。」
「へへっ任せときや!」
時刻は1855、冷えていく砂漠を背に一行は例の生徒会室へ戻っていた。
「…あの二人、ずっとゲームしてるけどいいの?」
「いんじゃない?あたしは知らね。」
「クルミ…あんたいい加減過ぎる、直したほうが…」
「へいへい。」
キノヤクアカデミー科学部、その技術を集め制作された人口昼夜サイクル。
その下で猫塚ミチルは乙倉ひなと共にゲームをしている、というのが現状。
「まぁ、取り敢えず拘束…は出来たし、ミチルの案件は一旦終わりだ。」
「wow…1day、で終わる任務…」
「お疲れ様、椿芽…と、ふゆ。」
後処理の人員は既に手配済み、残すは休息に尽きる、その証左が佐都の表情に出ていた。
「うぅ…もう運転したく、ないです…」
「まそう言うな、これからも頼むぞ?」
回顧する記憶は荒れも荒れ、アトゥムの人員を捜索する為に払った精神的代償は致命的だった。
「人轢いたの、二度目です…」
「はは…ぁー疲れた、風呂行こう風呂。」
「何?学舎に浴場があるとでも?」
「アンサーはイエスだぜちっこいの、ほらよっ。」
王へ投げ渡されたアカデミーの地図にははっきりと、大小含め13つもの浴場があった。
「ちょっと説明すると長くなるんだが…掘削抗から湯水が出ててな。」
砂漠に温泉、本来であれば奇跡だがありえない事が立て続けに起こる、それがキノヤク超深度掘削抗なのだ。




