26.
「ほら、ちゃんと食っとき、体強くなるで。」
半壊した家屋に入り、食卓に出されたのは簡素な食材に塩を一振しただけの素朴なスープ。
「こ、これは…?」
「安心せぇ、毒なんか入れん…アイントプフっつースープや。」
ぴくりと動く三田を横目にスプーンで一掬い、絶妙な旨味。
「武器人間っぽい…」
「…何か言うたか?」
「いやっ!何でも無いです!」
日照りの下、芋と人参のスープを喰らうひなにミチル、そこに挟んで死にかけの三田。
奇妙極まる光景が広がっていた。
「言うとけど、俺は戻る気ないからな。」
「…!」
「アカデミーが何や大変やとしても、お前ら生徒会が居る限り戻らん。」
「理由は、何ですか。」
問いは沈黙を落とす、食器が皿に当たる音だけが妙にうるさい。
「…あんま詮索すんなや、でどうするんや?」
「逃げ、たいですけど、三田さんと…」
「ミタ言うんかこいつ、悪いけど無理や。」
口調、声色、態度、そのどれを取ってもひなにとって、眼前の男は拒絶的に見えている。
「どっちか一人は残っとらんと、尋問出来ん。」
「でも、今すぐ治療しない本当に死…」
「でもちゃう、どっちか一人残れ言うてんねん。」
「…時間稼ぎ良いですか。」
「ええよ。」
かくして、たった1回のやり取りで決死の時間稼ぎが始まる。
「何のゲームが好きですか、色々パッケージ落ちてたんで。」
「…テラリアとウォーフレーム。」
「な、何の曲が好きですか。」
「洋楽。」
「…天気、良いですね?」
「砂漠やからな。」
かくして、決死の時間稼ぎが終わる。
「こ、こうなったら…ライジングストームで鍛えた突撃を…!」
水や食料を備えたバックパック、しかしひなが取り出したるは…
「ば、ばんざ―――!」
日本刀だった。
天に掲げ、振り下ろさんとしたその時。
「ちょっと待て、ライジングストーム知っとるんかお前。」
「え?」
「なんや分かっとるやん、楽しいよなあれ。」
抵抗するでも防ぐでもなく、ミチルは笑みを溢した。
「そっそうっすよね!自分中一の頃からやってました!」
「お、なら先輩やんけ、好きな武器何?」
かくして、ゲーム仲間トークが始まった。
固有名詞は殆どゲームタイトルです。




