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思い付き  作者: Blue_lobster
二章
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25.

「まずっ…―――!」


最も強く叩き付けられるその瞬間。


回転が、停止する。


「う…ぐぁ…」


「なんやっ…?!」


浮かぶ困惑、横たわる赤髪。


状況から考察し、辿り着いた結論は…


「へっ…へへ…はははっ!お前ガス欠か!」


勝利、歓喜、好敵手の打倒に尽きていた。


「雑魚がッ!俺に手出すからこうなん…ねんっ!」


「がっ…!」


脇腹に一発、再生し終えた脚での蹴り。


「ははははっぁー…俺の!勝ちや!」


「お前の負け!お仲間もぶっ殺して…やる…」


興奮状態の脳が弾き出した結果は長く続かなかった、元々の冷静さか、或いは他の要因か。


ミチルの中に渦巻いていた情動は、霞のように消え失せた。


「…何が楽しいんやろ。」


「俺は…まだ…」


足首を掴むこの赤髪も、吹き荒れる砂埃も、全てがつまらない。


「お前、エネアドの情報吐けや。」


げし、げし。

綺麗で美麗で、夕焼けを閉じ込めたような髪を踏み締める。


「ことわ゛っ―――!」


「ええって、はよせぇや。」


何故先はこの者に本気を出していたのか、激昂していたのか、分からない。


心拍は収まった、ミチルは既に500m付近に居る狙撃手、隠れ家に居るであろう伏兵の存在を気にしていた。


「そないな顔すんなよ、ほら立てぇや。」


「ふーっ…ふーっ…!がうっ…!!」


あれほど恐れていた噛み付きも、今や取るに足らない子供のお遊び。


「いいよ、もう、殺さんからはよどっかいってくれ。」


「まだだ…まだ…俺はやれ…る…」


項垂れる三田は、誰がどう見ても重傷だった。

鼻血を垂れ流し、四肢はボロボロ。


「ッ三田さ―――!!」


飛び出た一人の女子は目撃する、虫の息の者へ肩を貸す、無傷のミチルを。


「…乙倉ひな、お前の事はようけ知っとるよ。」


「三田さんを離せ!早く!」


「スターライトエアラインCEO乙倉健二の一人娘、意固地で絶対にヘルメットを外さない、やろ?」


突かれる図星、というよりは並べられる事実。

親の名前、親の職業、自身の人格、何故眼前の男が知っているのか、それは些細な事。


「…っそ、そういうあなたは、猫塚…ミチル。」


「…家行こか、狙撃手の目ぎらぎらで話しづらいわ。」


互いの素性は割れている、実力差は決定的。


なれば、相手に従うのみ。

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