23.
「がっちゃ!ヒット!」
「次!早く装填して。」
「あいあいさー!」
音の正体は対物ライフル、クルミの言う『絶対人に向けて撃っちゃダメなやつ』である。
「距離430,さっきより風が強い、0.2milだけ右に調整して。」
「すぅー…ふー…」
「まだ、ミラージュ無し、発射。」
続く二撃目、16の乙女が撃つにしては巨大過ぎるライフルが男を狙撃する。
「…命中。」
「っしゃおら!」
「ハ!神秘対人類科学か、良い余興だ。」
その距離実に400m強、有効射程距離とは言え遠方も遠方。
「ちょ、え、えぇ…」
「どうしたの…って、え…」
間の抜けた声を漏らす二人、単眼鏡で見た景色は正にアンデッド、と言うべきか。
「生きてるんだけど…?え、なんで?」
「意味分かんない…取り敢えず狙撃ポイント移すよ。」
足早に砂岩を渡り、去っていく二つの背を王は見送る、そして…
「あそこまで歪んだ神秘とは思わなんだ、どれ…弓兵に余の恩寵をくれてやるとするか。」
天より引き抜かれるは空力剣ベート、魔術師の大アルカナを担う三つの宝物のうち一つ。
「何をするつもりだ?」
「案ずるな友軍撃ちの幼童、ただ風を添えてやるだけのことよ。」
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血肉の飛び散る砂漠、砂を巻き込み吹いてくる風、痛いまでに熱を提供する日照り。
その全てが、ミチルの嫌気を増幅させていた。
「…تومو ḫmnw。」
飛び散る血肉が戻り、男の肢体に接着されていく。
ミチル当人の神秘は一つ、しかし彼に遺された神秘は自身のを含め八つ。
それぞれ故人の名を呼び、故人の遺品を媒介して顕現する。
「もういい。」
彼自身の神秘はエネアド生徒会前身、オグドアド加入直後に得た透明化。
完全な透明化ではなく、足跡や臭跡、熱源は残るもの。
「もう、いい。」
そして、彼の神秘は特異性を有す。
「…スミさん、トモさん、借りる。」
進化する、その一点においてミチルの後に続く者無し。
「Heh. Hauhet.」
ヘフ、ハウヘト、オグドアド八柱神においては無限を冠する神格。
今日に至っては、それが肉体の可能性という点で発現する。
「…ガチで殺しに行くからな、お前も本気で来いや。」
「へっ…おうよ。」
無尽蔵の回復対肉体変容、怪物同士の第二戦が始まる。




