22.
「ごぉえ…!あ、あのガキ…自爆しおった…!」
砂漠に横たわる男、大量の血が爆炎でガラス化した砂に撒かれている。
「くそくそくそ…!!!ふざけんな!」
「………おい。」
「っ…はぁ?嘘やろ?」
眼前で見下ろしてくる、あの赤髪。
血肉の爛れた醜い姿は瞬きの内に幼さを残すあの顔へ治り…
「もう…もう、人間ちゃう普通に。」
「お前が言うか?猫塚ミチル…!」
構える焦げたマチェット二振り、日照りがミチルに影を落とす。
「…كيليḫmnwっ…」
チョーカーの上にイヌの首輪を被せんとする男、が無論許可される訳なく…
「それがてめぇの神秘か?あぁ?詠唱と…媒介物か、必要なのは。」
「神秘…?何言うてんねんカス…!これは、これは…!」
遠方より飛来する黒い物体、変容したミチルの脚が砂に埋まり、伸縮を繰り返して家屋から投擲したのだ。
「…アキちゃん、準備しとって。」
瞬時、姿を消すミチル。
が、三田の視界は捉えていた。
「すん…すんすん…なるほど、透明化ね。」
目を瞑り、嗅覚に集中を割き自ずと浮かぶ血の匂い。
「いいや…嗅ぐまでもねぇな。」
砂に沈み続く足跡は三田を円周で回ろうとしていた。
「はー…殺さねぇよう手加減すんのだるいな…」
僅かに訪れる静寂、次の瞬きに映る情景は刹那。
仕掛けも呼応も一瞬、しかし相違点一つ。
「は?」
「バカがっ…」
背後に現れたのミチルは攻撃する事なく消失、と思えば
「単純やわ、お前。」
死角からの殴打、視野角外からの蹴り入れ。
現れては消え、消えては現れる。
神出鬼没の化身を前に、三田は無傷で立ち尽くす
「無限っ…体力っちゅー訳かい…っ…」
明らかな物理法則の超越、原因と移動によって生じる因果関係の崩壊。
刹那に背中、刹那に足元へ出現するミチルは、対応不能。
「なら、こすい手使うで。」
先に見せた肉体の変容で膨張した腕の筋肉が三田の首もとい頚椎を絞め上げる。
「っぐ…」
「はよ死ねや…!」
「ひ…な…いい、辞めろ。」
「はぁ?ひな?」
腕を組み、絞首を意に介さず明後日の方向に向かって警鐘を鳴らす。
無尽蔵の再生は酸素を保証しない、脳細胞の再生は医学的にも否定済み。
そんな中、三田が取った行動は警告。
「お前の仲間が、やってくれ…る…」
遠方の爆音、瞬間に約850m/sで飛来する12.7mmの弾丸。
絞首する腕、その部位が丸ごと吹っ飛ぶ。




