20.
「お、見えてきた、あれだよあれ。」
防弾の窓ガラス越し、クルミが指差すは衛星写真通りの家屋。
「Aチームは先に着いたみたいだね、ほら起きて椿芽ちゃん。」
「…Good evening.」
目標より250m地点、狙撃に適した岩陰にBチームは潜む。
「おっしゃ、人に絶対撃っちゃダメなの使うぞ〜!」
「…通信は俺がやる、椿芽はウォーミングアップを。」
「i understand、この距離なら充分だ。」
腰丈程はあろう機械の箱が置かれ、中よりアンテナの棒が伸びていく。
そして…
「あーあー、ノックノック?」
「…ふふ、who's there?」
「ジョークをしてる場合じゃないよ、Aチームは既に目標へ到着してるんだからさ。」
ノイズ混じりに響くは一と雨眠、2つの声。
「よぉし、狙撃地点かくほー!」
「はいはい、スポッターは任せて。」
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同時刻。
目標家屋、玄関。
「俺が突っ込む、邪魔すんなよ。」
「…はいです、あの…ほんとに良いんですね?」
「ああ、ヤバいと思ったら『コレ』起動しろ。」
赤髪の背、腹にはプラスチック爆弾、ひなに渡されたのは片手程の起爆装置。
「気にすんな、俺は爆薬筒食らったことあんだぞ?」
満面の笑みで語るには些か芳しくない語句を残し、三田は鍵の掛かっていない扉を開ける。
「…じゃ、いってくるわ。」
視界に映る生活感の塊、狭苦しいキッチンにはフライパン2つ、どれも汚れている。
ソファは破れ、シーリングファンはその役目を終えていた。
妙に小綺麗なポータブルオーディオプレーヤーへ目を移した瞬間、声が掛けられる。
「何してんねん。」
「っ…!」
振り返るが、誰も居ない。
「何してんねんって、ここ人の家やぞ。」
「…お前、ミチルか?」
質問はリビングに反響すること無く霧散した。
少しの物音が鳴り、ポテトチップスの袋が眼前で浮かぶ。
「うええっ…すげぇ…っじゃねぇ、俺は国際機関テットだ、お前に…」
「名乗れって言ってへんわカス、まず靴脱げや。」
袋の歪みから人間の指が現れ、掌、手首、腕…
最終的に、一人の男が現れた。
「………悪い。」
「テットとか言うたな、何用で何様や?」
ソファへ腰を落とす男、悪態とは正にこの事である。
「ああ、じゃ本題に入るぞ。」
「言うてみい。」
赤髪は立ったまま、土足のまま言の葉を紡ぐ。
「…お前の拘束だ。」
瞬時、プレーヤーを手に取った男が消え…
「あそう。」
語句と共に、背後から殴り掛かる。




