19.
「…クルミ、お腹大丈夫?」
「え?ちょっと空いてるかな…」
「違う、撃たれた所だってば…」
1322、Bチーム車内にて、王を挟み2人の少女が後部座席で言の葉を交わす。
「もーまんたい、あたしは元気ぴんぴんだよっ」
「はぁ…ほんっとに調子良いんだから…」
「………」
そう、王を挟み。
「なにゆえ余が」
「てかさ!あたしに何かくれたのあんただろ?ちっちゃいくせにやるなぁ…おーよしよし…」
犬猫を撫でるように頭へ触れられる王、が逆鱗には接触していない。
「ぁーもう…あの、ごめんなさい不躾で…」
「良い、ただの戯れだ、それに幼童と来た。」
あくまでこれは遊び、道化の翻弄に怒り狂う王は居ない。
「…クルミ。」
「ん?何よ、どったの。」
自動運転に任せ、眠りこける椿芽の横、背で語る男一人。
「腹の件、悪かった、謝る。」
「へぇ…あんたそんなキャラだったっけ?」
「俺も謝る時は謝る。」
「あそう、別に恨んでる訳でもないしー?貸し1ね。」
不器用ながら、謝意を伝える。
それは行為自体に意味は無い。
が意思には重大な意味が在る。
「…全く、子供同士の仲違いとは直ぐに和解するとはこの事だな。」
___________________
同時刻、Aチームの車内。
「………」
「………」
気まずさ、というよりは何も言う事が無い情景。
__________________
再び同時刻、Cチーム。
「…なぁふゆ、この曲何なんだ?」
「えっ」
「いや、やめろとは言ってないぞ?ただ…お前いつもこんなのを聴いてるのか?」
車内には重いリバーブ、不気味な工業サウンドを織り交ぜた電子音楽が流れていた。
「はい…あっでも、他のも聴きますよ…?UK drillとか…」
カーラジオのプレイリストが切り替えられ、極太のベースライン、速いテンポの英語ラップが鳴り響く。
「…後で聴力検査な。」
「ふえっ?」




