17.
「っ…くそ。」
「なんか言いました?」
「気にするな、そのまま後方警戒。」
一人が撃たれた、一人が脱落したとて訓練は停止されない。
これは実戦想定の訓練なのだから。
部屋3,4,5。
異様な静けさ。
「ひな、俺は発狂したのかもしれない」
「はい?」
「これまで何人も撃ってきた、仲間も仕方なくだ。」
突き進む毎に、その脚が重くなる。
「だが、さっきのでかなり精神が危うい、先生に伝えてくれ。」
「…了解です、離脱の意図を汲みました、合ってますね?」
「んだよ、覚悟も出来てねぇのに人殺す武器持ちやがって。」
天井裏から声が響き、同時に光が差し込む。
散る木片は反応出来た、が実行するかどうかは別
「はい、2キル目、おらさっさと雨眠んとこ行け」
「………」
天井板を素手で破壊した三田により、小森柊人は脱落する。
「…どうした、撃てよ。」
振り返るその仕草正に鬼の子、自身より背丈も年齢も低いように見えるが、本能で直感する。
「で、でも…っ」
勝てない、絶対に。
眼前の赤髪には。
「でもじゃねぇ、この10秒でお前は何十回も俺を殺せた、俺はその倍殺せる。」
「…っどうなっても知らないっす!」
錯乱した獣は時に予想外の行動を取る、この場合獣はひな、狩人は三田である。
当たれば箇所毎吹き飛ばす散弾が、火花を散らす。
「…ぇ」
吹き飛んだ血肉、横たわる孔だらけの身体。
が、呼吸は続く。
そして、孔は瞬く間に閉じられる。
「なに…どういう…っ」
「はい、3キルめ―――」
「Dodge!」
冷ややかなマチェットの刃が到達する前に、怒号が響き渡る。
視界ゼロ、煙幕弾だ。
「へぇ、なるほどね、あのデカいのが隠れてたって訳か。」
突撃員の椿芽が身を潜める、それが今訓練でエネアドが練った策。
ひなが散弾銃を持っていたのも、全ては策略。
「つまんねぇな、お前ら。」
時に、策は圧倒的な暴の前に敗れる。
二振り目のマチェット、60cmはあろう刀身が投擲される。
「3キル目、デカいのかヘルメットの方か知らねぇけど。」
突き刺さったのは首元の布地、壁に張り付けられ…
「…ごめんなさいっす、椿芽さん。」
「っ…damn…」
乙倉ひなが脱落する。
「お前…お前らの負けだ、さっさと出て…」
眼前、鉄の塊。
「は?」
網膜を焼き尽くす光
顔の痛覚受容体全てを刺激する痛み
閃光弾+催涙榴弾が三田の顔を焼く。




