3.
「…珍しいな、お前が出張任務に充てられるなんて。」
白衣の女、雨眠に話し掛けるはやはりと言うべきか、佐都だった。
「………私から志願したんだよ。」
「へぇ?」
「君があの学校に長期出張していた間私がどれだけ苦しかったか、筆舌に尽くせないねぇ…」
佐都の長期出張、つまり件のアカデミーで教職に就いていた期間の事だ。
「ちょっと待て、じゃあお前俺と一緒なのが良くて付いてきたのか?」
「ん?もちろんさ、というよりそう言ったはずの認識だが…」
「…マジか。」
頭を抱える男に寄り添う女、端から見ればなんてことはない光景。
しかし、両者を知っている者にとっては病的なまでの愛そのものが形を成していると知覚出来るだろう。
「白衣、気を付けろよ。」
「無論だよ、さ抱っこしてくれたまえ。」
問題は、両者の情報が両者同士しか知っていない秘密だということ。
「ダメだ、歩け、それかおんぶだ。」
「泣くよ?」
「お前涙流さないじゃん。」
「ふぅン。」
冷めた、されど途絶えていない仲に聞こえる会話の声が講義室を後にする。
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「…先にお前は首より下を失くしたと言ったな。」
「ん?ああそうだけど。」
「真意を問おう。」
ランドリールーム、換気扇の音が響く静かなる場。
「あー…説明がめんどいんだけどよ、俺ってめっちゃ傷治るの早いんだよ、体質でな。」
「ほう?」
「ま詳しくは雨眠に聞けよ、それか…実戦で見るかだな。」
着替えを済ませる2人は何のわだかまりも感じない、純粋な仲だった。
「うし、俺らは第…なんだったかな。」
「第四だよ、小夏ちゃん。」
その時だった、一つの影がロッカーの背から現れる。
「よう鳥羽、久しぶり。」
「うん久しぶり、…そこの子もね。」
「………」
目配せは短く、目元にクマが残っている鳥羽は書類の束を抱えている。
「キノヤクに行くんでしょ?あそこの子達はいい子だけど、ちょっと生意気だから気を付けてね。」
「あぁ?子供なんてそんなもんだろ。」
「同じくだ、幼童の粗相許さずして何が人か。」
安心したように、その者の盛り上がった側頭部の髪がふわりと浮く。
「じゃ、僕お仕事あるから、頑張ってね〜」
「…第四滑走帯行くぞ、準備は犬っこ…佐都がしてくれる。」
新調した服は着心地が良く、新天地へ赴くにはもってこいだった。
「それまで、少し話すか?」
「おうよ。」




