表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い付き  作者: Blue_lobster
一章
PR
32/81

32.

「っが…これ、は、いっだい…!」


重い破裂音が立ち、同時にひまりの酷使された肩が限界を迎え幼童の土手っ腹に穴が空く。


「ま、頑張ったほうだろ…」


言い掛け、意識が途絶える。

手には刀ではなく、文明の利器たる拳銃が握られていた。


なぜ?その思考は先に命取りと成りうるとリーヴィアは分かっていた。


「ぜいッ…!!!」


イナから貰い受けた大剣、ひまりが与えた九死に一生のチャンス。


無駄にする訳にはいかない。

例えそれが刹那の出来事であろうと。


「ま、まっだぐ…!余の歌劇になんてものを…!」


剣は直撃、完全に裁断したと身が囁く


しかし、決死の弾丸も剣も効いていない、いいや、多少は効いていた。

数分剣を交えたリーヴィアの違和感が確信に変わる。


"こほん…わ、我が観衆よ!余の劇は未だ序章に過ぎぬ―――"


おかしいのだ、この幼童。

幾ら斬ろうと、幾らねじり潰そうとも死なない。


"ま、まて!席を立つな!やめてくれ!眠るな!"


眼前にて妄言を吐き散らかすこの幼童、先から攻撃は効いているが何処か薄い。


「………」


考えられる点は2つ、1つは何らかの神秘防御、2つはただの投影された影。

後者は実体に触れれる事から否定、では前者か?


「……ヴィア、リーヴィア。」


違う、聖句が綴られたページを貼ろうとも反応が無かった。


では液体化による無力化か?


それも違う、斬れる、触れる。


「リーヴィア?」


「っキアラ…?!」


突如、というには前からずっと話し掛けていたがようやっとリーヴィアの耳にキアラの声が届く


「あのね、まずおち―――」


「―――黙れ、タテベに変われ。」


緊張の糸を張り巡らせていたリーヴィアに、通信機越しのか細い声は伝える。


「リーヴィア、おちついて。」


「断る、後にしろ。」


「…まだ昔の事、気にしてるの?」


嵐の前の静けさか、はたまた絶好の機会か、幼童は今も尚意味の無い言の葉を叫んでいる。


「…は?」


腹の底から湧き出る心外が、声色に詰まっていた


「ねえ、おしえてほしいの。」


「だから後にしろと…!」


「どうしてわたしを避けるの?まえは…ちゃんとおはなしもしてくれたよね。」


自身が戦闘中だというのに、この女は何を言っているのか。

至極単純な疑問と苛立ちが募る。


「とにかくタテベに変われ、状況の把握が最優先だ。」


「…あのこは、ちっちゃい王様の所に行ったよ」


「なに?お前の警備は…」


段取りの悪い会話の背後、リーヴィアは視線を受け取る。


「ッ…!」


"待て、話を済ませるがよい、未練のある者を断頭しても幕引きにならぬ"


振り返ると、そこには気味が悪い程落ち着いた様子の幼童が片手剣を鞘に仕舞っていた。


"同じローマ人であれば分かるはずだ、名を聞こう女史よ。"


「…麗人と呼べ、通り名だ。」


"全く、痴情に耽る者と相対するこちらの身にもなってほしいものだ。"


「…聞いていたか。」


交わす言の葉には敵意が込められていない、リーヴィアはそれを身で理解していた。


「うん、もちろん。」


電話一つ、たったそれだけであれだけの喧騒が戦場から消える。


「わたし…ずっと聞きたかった、どうして、って。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ