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思い付き  作者: Blue_lobster
一章
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30/81

30.

刹那か、はたまた永遠か。

ただの島が現実を超越し、此処ではない何処かへ突入する。


全てが在る、熱的生の世界。

未分化の無限が充満する、アイン・ソフの領域。


描写は禁制である、去れ。


___________________


「…ぅ…ふぅ…」


人の身であるひまりには、それを理解する事は叶わない。


というより、彼女はそれを望んでいない。


「よく分からんが止まってる…今が好機…!」


目前の敵は静止している、まるで魂を抜かれたように。


剣士にとってこれ以上の僥倖成し、例えそれが罠だとして、先の憂いを払う言葉が構えを鋭く研ぐ


「このままで良いんだな?お前も何か止まってるけど…!」


王の顔は、見えない。


「対象捕捉、火力支援、始め。」


どこからか聞こえる声と共に、その場で書物を抱えながら天を仰ぐ狂者へ砲火が浴びせられる。


「二班装填、一班へ交代。」


「えっはっなに!?」


「対象の液状化を確認、一班打ち方やめ、二班は…」


「待て、榴弾は使うな、まだ仲間が近くに居る。」


声の主が掃射で立った煙から現れる、いつぞやの分隊長だ。


「三班は同士を、一班二班は待機。」


「ん?んん…あ!ヴァレ…誰だっけ?」


「偽名だ、覚えなくていい、状況は?」


未だ王は硬直したまま、しかし狂者はというと、先の砲火により液状化しその身を崩壊させていた。


「えっと、そこのチビが何か言って、それからずっとこれだ、あたしもよく分からん!」


「了解、これから我々は液状化するあの対象に対し超低温相変化剤を噴霧する榴弾を射撃する、避難を。」


仰々しい文字の羅列、それは銃器に詳しくないひまりですらその危険性を感知する。


「は!?それ多分ヤバい兵器だろ!?チビがまだ近くに居るんだぞ?!」


「クライオ弾、装填完了。」


制止も虚しく、冷たい装弾の音が響く。


「…あれはテットの管理下オブジェクトだ、人権は無い。」


「てめっ…!」


あいつよりまずはお前から、そう言わんばかりにひまりは刀を向ける。


「門にして鍵…」


「…っ!Sparare!(撃て!)


「万象の接点たりうる無よ、此処と彼処の座を入れ替えたまえ…」


焦点の合っていない目だった、語らう内容は一辺倒に狂気。


その場に居た誰もが想った、危機を感じた。


「我が半身たりうる皇帝よ、祈念に応えたまえ…」


状況は最悪、一瞬にして周囲数mを凍結させる榴弾が意識を取り戻し始めた狂人へ牙を向く。


「ッチビぃっ…!!!」


40mm規格の榴弾、現代兵器を前に、平安の世から伝わる技は通るか、はたまた瓦解するか。


「"穿"ッ!」


初代の鬼人とまで称された膂力でのみ成し得た明朝の四本目は、振り下ろされる。


「Textus apocryphi respondent.」


僅か刹那、囁き声と共にひまりはどこからか現れた泥へ呑み込まれる。


同時に…


「リーヴィアちゃんッ!!」


「イナ!!」


こちらの陣営もまた、片方が泥に呑まれていた。


「ぐわっ…」


世界は一変、先に居た教会とは打って変わっての黄金宮殿。


「わわっ…」


世界は一変、先の悪趣味な宮殿とは打って変わっての人集り。


「Textus apocryphus finivit respondere.」


再度、囁きが脳に伝う。



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