27.
「何が言いたい?返答になっていないぞ思想家。」
「キキ…私は羊として百年生きるより、ライオンとして1日生きるを選ぶのでね…」
複数の足音が、背後の遊歩道から迫る。
「―――我ら国家警備軍所属特務分隊、ならびに…ネオ黒シャツ隊、民意の名において、貴殿らを護衛する。」
立ち並ぶは整列した軍人達、黒衣の軍服を身に纏うその姿は規律を思わせる。
「…何のつもりだ?」
「手助けだ、存分に使え…分隊長!話を。」
「Signorsì!」
V字型の階級章を身に着けた先頭の男が声を張り上げる。
「同士よ、手を。」
「おっおう…ありがと…?」
男は戸惑いを見せるひまりを立たせ、ダンテを見送る。
「軍曹のヴァレリオだ、先の宣誓通り貴殿らを護衛もとい補佐を担う。」
「…要らん、失せろ。」
王の返事は男にとって好ましい物ではなかった、しかし…
「私は命を受けここに居る、貴殿は王命に背く従者を傍に置きたいか?」
男は忠誠心で武装し、反論を返す。
「…良い、余の影にて仕える事を許す、去れ。」
「了解した、…Ordini del caposquadra! Codice B!」
振り返り、高らかに叫ぶ男は部隊と共に踵を返し去っていく。
「おいおい、あんな言い方無いだろ?どうしたんだよ…」
「………」
「…あ!もしかしてあたしと二人っきりのデートがしたかったとか?なんだよ可愛いとこ…まぁんな訳ないか…」
「………往くぞ。」
不愉快を表に出した王の、憤りさえ詰まった声と共に二人は官邸の庭を出る。
「…で、これからどうすんだ?」
「目星は既にある、ここだ。」
先の計測器を王は取り出す、液晶に映し出されるはサン•ジョルジョ•マッジョーレという小島。
「?なんでここ行くんだよ、全部赤色じゃん。」
「それが目星の理由だ、本来濃淡となるはずが全て赤色に塗られている。」
隣の島にはある程度の濃淡が広がっており、見比べると違いは瞭然であった。
「んー…結構歩きそうだな、あれ、河跨ぐけどどうすんのこれ。」
「憂う必要は無い、先の者共が手配するだろう。」
此度は地図を有している二人、その為道に迷う事はなく…
「つか…皆日本語なの凄いな。」
「職務上必要なだけであろう、勤勉である事は良い。」
「…はは。」
道中、談笑まで交わしていた。
「ヒマリよ、余はお前にあの軍兵どもについて是非を問うぞ。」
「え?ぁー…協力してくれるならそれで良いんじゃないの、それに…」
辿り着いたのは海沿い、ヴァポレットと呼ばれる水上バスの乗り場である。
数多の水上バスが立ち並ぶ、がしかしその中で異様な雰囲気を放つ小型船をひまりは指差す。
「専用の船まで用意してもらってるからな…」
乗り込む船体にはネコ科の獣、テットのマークであるライオンが刻まれていた。
「え〜と…これ操縦…ってうわ!」
王が足を船内へ踏み入れた刹那、大きく揺れた船がエンジンを掛ける。
「静まれ、目的地は合っている。」
計測器が指し示すは鐘楼目立つ教会、夜とも昼とも称せない空の下2人は到着を待つ…




