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思い付き  作者: Blue_lobster
一章
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24/82

24.

「貴様らの解釈が何かは知らんが、一言で表すのなら可能性であろうよ。」


「可能性?神秘って秘匿された情報のリソースじゃないのー…?」


「賽に例えてみよ、貴様らは全ての行動に成功、失敗、その他の面が備えられている。」


再三繰り返される閃光の後、六面のサイコロがその姿を見せる。


「出る目を予測出来る者は居ない。」


王の手中からこぼれ落ちるかのようにサイコロが落ちる…


空を舞い、軽い音を立てて3の目が出る。


「しかし干渉を及ぼす事で如何様にも目は弄れる。」


何度もサイコロが転げ落ちる、しかし出る目は全てが3を示していた。


「賽は不変の法則、目は現実が処理する結果、振る者は貴様らだ。」


場において、同じ大剣の主であるリーヴィアのみがその存在を感じ取っていた。


豪勢な飾りが付けられ、刀身に刻まれた"magician"の字を王の背後に隠す空力剣の存在を…


「抽象的だな、もう少し分かりやすく言え。」


「そう、それだ。」


「…なに?」


「言うも難し、行うも難し、それが神秘の本質である。」


誰もそれを理解出来ない、誰もそれを説明出来ない…


だからこそ成立している神秘は、如何様にも解釈が出来る。


「まぁ、よくわからないけど、あんまり深く考えないほうがいい…ってことかな?」


「それで良い、あの白衣の女ならば少しは理解出来るかもしれんがな。」


「講義はもういい、その情報は今回の任務に役立つのか?」


これまでにかなりの遠回りをしてきた一行、得られた聖遺物喰らいの情報はほぼゼロである。


「そうだよー…元々それが目的なんだからー…」


「でも…あの女の子が戻ってくるまで、待つしかないんじゃないかな。」


時刻は既に昼過ぎ、雄大な橙色の陽光がヴェネツィアを照らしていた。


執務室には静寂が流れ、リーヴィアが行う大剣の整備音や菓子を齧る音だけが立つ。


「入るよ〜」


そんな中、扉の奥で一つの声が響く。


「ゔぇっぷ」


「お話は済んだよ〜とっても可愛らしい子だね〜」


声の主はイナであり、その横には床に突っ伏している意気消沈のひまりが居た。


「ふっ…なんだそのみすぼらしい姿は…まるで飢える子犬だな。」


「なに笑ってるんだよ!ひどい目にあったんだぞ…」


王へ吠えるひまりを横目に、一つの薄汚れたハンカチが机上に置かれる。


「…これは、なにかな?」


「この子が持ってたハンカチ、唯一の手掛かりってとこかな〜?」


黒色の粘ついた汚れが蠢き、南西へ向かう。


「まさか…聖遺物喰らいか!?」


「察しが良いねリーヴィアちゃん!んーでも、ちょっと違うかな。」


「あたしとこのチビが出くわした時、手に付いたのがきしょくて拭いたんだよ、だからそれは…」


「聖遺物喰らい…今回の任務における対象、それの肉片、だな?」


しかし、それは肉片と言うには余りにも異形であった。


「手掛かり…って、どういうことー…?」


「ふふーん、見ててね…」


イナは懐から古風な拳銃を取り出し、ハンカチに銃口を向け…


「えいっ」


射撃を行う、すると直後に汚れが二方向へ飛び散る。


しかし、壁へ衝突した泥のような肉体は再度結合する為床を這う。


「こ、これは…?」


「修復だろう、再生とも言えるがな。」


「当たりだよ〜、このお肉はね、大きいお肉に引き寄せられる性質を持ってるんだ〜」


誰かが息を呑む、誰かが飛び散った方角を確認する。


「つまり…さっき飛び散った方向に聖遺物喰らいは居る、ってこと!」


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