G-28 聖人の話
エクストラスキル。
その力には大きく分けて二つ存在する。
一つは潜在能力で覚醒するモノ、もうひとつは汚染の力によるもの。
終焉の汚染が始まるまではエクストラスキルを持つものは少なく、真の強者のみが振るうことを許された力であった。
そんな世界の中、一人の男がいた。
彼は戦いにエクストラスキルを用いず、神性も持たない元人間の身でたった一人、神をその手で切った。
曰く、聖人。
曰く、剣聖。
曰く、【神の剣】。
その男の名は、
レイ「げほっ!!」
レイのせき込む音で、ゼルの回想は止まる。
レイはうつろな目で逢魔たちを見ている。
逢魔「おい無事か。」
レイ「・・・・・・平気、だよ。」
明らかに無理をした顔で、布団から立ち上がろうとする。
しかし、脱力した腕では立ち上がれずまた布団に戻ってしまう。
逢魔「ったく、無理なんだったら寝てろ。なんで無理しようとすんだよ。」
レイ「・・・・・・ないで。」
レイの手が逢魔の服を掴む。
レイ「おいてかないで・・・、一人に・・・、しないで。」
少女の切実な願い。
それを、逢魔は鼻で笑った。
逢魔「はっ、バカかお前。・・・・・・一回しか言わないからよく聞いとけ。いや聞くな。・・・・・・・・・あ~、お前はもう仲間だ、だから置いてったりしねぇよ。」
初めて、逢魔の優し気な顔を見た。
いや、こちらが彼の本性なのかもしれない。
レイは笑顔を返した後、再び眠りについた。
今度は顔色も良く、安らかな寝顔だ。
ゼル「・・・・・・、ほんと不器用っつうかなんつうか。めんどくせえなお前って。ずっとそっちで接しとけばいいのによ。」
逢魔「うるせぇよ・・・・・・、俺は心優しい英雄にはならねぇよ。・・・・・・なれねぇし、俺は血に塗れた英雄がお似合いだよ。」
逢魔はふてくされて横になる。
眠りはしない。
また、あの悪夢を見るのが恐ろしいから。
ゼルは何も言わずすっと逢魔の横に鎮座、いや浮遊している。
逢魔「・・・んだよ。」
ゼル「別に・・・、ただ俺にも人に寄り添える気持ちはあったんだなってな。」
逢魔「はっ、違いないな。この世界を作った神様がお前みたいだったらもっと良い世界になってたのかもな。」
ゼルは浮遊したまま外を見た。
ゼル「こんな世界にしたのは、俺のせいなんだけどな・・・。」
深いため息をつく。
その言葉は誰にも届かない、懺悔だった。




