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第九話……宿屋での喧嘩

「ギャァァァ!」


 ゴブリンの断末魔。

 俺はこれでもかというくらい耳にした。


 俺が何をしているかと言うと、ひたすらゴブリンを狩っているのだ。

 何故かと言うと、いま逗留している町の依頼ということもある。


 だが、もっと大きい部分は、彼等魔物の核である魔石を摂取すると、何故か俺がパワーアップすることが判明したのだ。

 アンデッドとは違い、普通の魔物は死しても魔石は壊れない。

 よって、魔物の息の根を止めた後、俺は魔物の躯から魔石を取り出し、次々に口にしていったのだ。


【システム通知】……動力の8%向上が認められました。

 脳を補佐するコンピューターもご機嫌だ。


 かくいう俺が最も魔石の存在を、とても気に入っている。

 目指せ、この世界最強といった具合なのだ。



「気味が悪いポコね~」


「魔石は売ればお金になるのじゃがのう」


 連れの2人は、俺が魔石を食うのを気持ちが悪いという目で見ている。

 まぁ、傍から見れば、まるで怪物の血に塗れた石炭を美味しそうにたべているかのようだったろう。



「よいしょっと」


 魔石を食べ終わった後に、俺はゴブリン達の耳を削いでいく。

 討伐した証明の為だ。


 町のお役所に提出すれば、1匹当たりの討伐で銀貨5枚が貰える。

 俺たちにとって、それはまあまあの稼ぎと言ったところだった。



「かえるぞ~」


「はいポコ」

「わかったぞよ」


 夕日が沈むころ。

 俺は2人を連れ、町に戻った。


 町の大きな門をくぐり、少し大きめの宿屋に向かう。

 この大きめの宿屋は一階が食事の出来る大きめのスペースで、二階が宿泊所といった形式だった。


 一階は喧騒としている。

 酒を片手に料理を楽しむ男女が多いのだ。

 特に、冒険者と名乗るなんでも屋が多くたむろしていた。



「羊の肉と粥をそれぞれ三人分くれ。あとはエールを一杯」


「まいどあり!」


 俺たちはテーブルにつき食事をとる。

 食事代は前金だ。

 青銅貨を革袋から取り出し店員に支払う。

 昼は冷えたパンしか食べていなかったので、温かい粥と肉は最高のご馳走だった。



「おい! タヌキが混ざってやがるぞ!」


 食事をとっていると、ガラの悪そうな酔客がポコに絡んできた。


「俺の連れに何すんだ!?」


 俺も疲れて気が立っている。

 乱暴に相手の胸倉を掴んだら、喧嘩を買った形となってしまった。



「てめえ、表に出やがれ!」


 相手は三人連れだった。

 まぁまぁガタイが良い男たちだった。

 多分、人数による強気さも手伝ったのだろう。


 こっちも三人とはいえ、俺以外は女とタヌキ。

 結局、喧嘩は三対一の形となった。



「がふっ!?」

「「げげ……」」


 とりあえず、俺は一人目の男の顎を拳で撃ち抜くと、男はガクッと膝を地面についた。

 男は膝が笑って立ち上がれない。

 漫画ではよく、倒れてもすぐ立ち上がり、再び殴り合うという形式がよくあるが、脳を揺さぶられた人間の生理反応としてはこれが正しいと思う。



「チキショウ! 覚えてやがれ!」


 倒れた男は、二人の男に肩を担がれ逃げていった。

 パワードスーツで強化されていない人間としては、多分こんなもんだろう……。


「ざまあ見ろポコ!」

「一昨日きやがれ!」


 うわ~、こっちの連れの口撃が厳しい。

 なんだか正義の味方の連れに相応しくないぞ。


 ……そう思い、宿に帰ろうとしたところ、


「あんた良いパンチしてんじゃないか?」


 顔に古傷がある男が、俺にそう声を掛けてきたのだった。




□□□□□


「……まぁ、一杯やれよ」


「ありがとう」


 俺は古傷のある男に酒に誘われ、宿の一階にいる。

 多くの客が寝静まり、ほかに客はぽつりぽつりとしか残っていない。

 魔女もポコも既に二階で寝ている。



「……で、話ってなんだ?」


 俺はそう言い、木で出来たジョッキで葡萄酒を呷る。


「あんた、闘技場ってのに、興味はないか?」


「闘技場?」


「……ああ、あんたみたいな腕自慢が集う場所さ」


「そんなものに何の利益がある?」


「利益か? ふふふ。こんな話に興味がないか? 優勝賞品はなんでも切れる宝剣らしい」


「宝剣だと?」


 俺は考えた。

 この宝剣、探している聖剣と同じなんじゃないだろうか?

 しかし、魔女はいまだに何とも言ってこない。

 ……だがこれは、調べておく必要はありそうだと感じたのだった。



「面白そうだろ?」


「……ああ、そこまでつれてって貰えるのか?」


「もちろん。馬車に乗せていってやるよ」


 ……なんでこいつはこんなに親切なんだ?

 気になったので聞いてみると、闘技場は客がお金を掛けることができるらしい。

 それで、俺を出場させて、俺に賭けたいというのがこの男の魂胆だったのだ。

 ちなみにこの男の名前はライアンというらしい。


 俺はその後。

 このライアンと楽しく朝まで飲み明かしてしまったのだった。




□□□□□


 翌日。

 陽はかなり高い位置まで登っている。


「しかしお前、武器はナイフだけか?」


 ライアンは不満げだ。

 確かに俺の武器はナイフだけだ。

 防具の皮鎧もすでにズタボロになっている。



「ああ、なんか問題あるか?」


「大ありだろう? 闘技場の戦士にそんなみすぼらしいやつはいないぞ。これじゃあ勝てる相手にも勝てねぇぞ。まずは武器と防具を揃えよう!」


「まぁ良いけど、俺はあんまり金持ってないぞ」


「いいさ、先行投資ってやつだ!」


 どうやらライアンが、俺に武器と防具を買ってくれるらしかった。

 うん、タダなら買ってもらうとしようか。


 俺たちはまず、町にある武器屋へと向かったのであった。


☆★☆


お読みいただき有難うございます。

お気に召しましたら、ブックマークやご採点をいただけると大変嬉しいです。

誤字脱字報告も大変感謝です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 装備は大事ですよね( ˘ω˘ )
[一言] マネージャーができましたか。
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