7.屋台追放
訳あって追放された四人の冒険者。
彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。
テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、
そんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話
前回のあらすじ
一ヶ月ものニート生活を終え、ついに働く決意をした追放者どもであった。
「前から思ってたんですけどあらすじじゃなくてただのオチのネタバレじゃないですか?」
「うーん、いざ依頼を受けよう!ってなっても微妙な依頼しかないなー」
「雑草むしりとか掃除とかじゃ物足りないって感じだヨ」
「酒飲むだけの依頼とか無ェかな」
「こいつら初依頼が高給だったばかりに感覚が麻痺してやがる⋯⋯いや別に追放される前から冒険者でしたよね」
「ぃよしっ!こうなったら自分達で稼ぐしかないね!」
「その細い体じゃ見世物にもならないと思うヨ」
「よしテメーは後でミンチだ。まあ美少女冒険者オイハナちゃんが本気を出せば人間のひとりやふたり⋯⋯じゃなくて、私達はこれからお弁当の屋台を出します!」
「冒険はいずこへ」
「まー私料理スキル持ってて得意だし、冒険中の食事は超重要!こりゃ爆売れ爆モテ爆追放間違いなし!」
「じゃあなんでこの一ヶ月料理しなかったんだヨ」
「洗い物めんどくさいから⋯⋯」
「そんなもんユーシにやらせとけば良かったのにヨ」
「全方向を舐め腐ってる発言が飛び出たなオイ、まあ一回やってみたらいいんじゃないですか?あとちゃんと営業の許可取ってくださいね?」
「はーい、じゃあシシャエルとコウルのおっさんはおつかいお願いね」
「前回から何も学んでないのかこの人は」
「おお、ちゃんと買ってこられるとは」
「前もどっか行っただけでちゃんと買えてたんだヨ!」
「コウルのおっさんも買ってこれるとは、料理酒とかおつまみ系とかならちゃんと出来るんだね」
「ハッ、酒に関することならちゃんと出来んだぜ、すげェだろ」
「わーすごーい」
「さすがコウルさんー」
「いや褒められることじゃねえんだヨドゴバキボカァッ!」
「ふゥ、久々に体動かしたぜェ」
「いいザマだシシャエル、私の体が貧乳寸銅体型とか言った罰だ!」
「そこまで言ってなかったですよね」
「てか腹減ったから早く作れやァ」
「まずは試食からお願いしますよ」
「はいよー、てか試食、今日の夕飯で出しちゃうねー」
「「「はーい」」」
一時間後
「へいお待ち、カレーとからあげとラーメン」
「お弁当として出すんですよね」
「うん、そうだよ」
「からあげはともかく他はどうやって詰めるんですか」
「やっべ食べたいもの作ってたから何も考えてなかった」
「ダメだこの人」
「まあもう腹ぺこだし食べヨーヨ、てかガキの好きな物TOP3みてーなラインナップ」
「酒には合わなさそうだがァ、まあ食ってやるかァ」
「「「「いただきまーす」」」」
「「「⋯⋯」」」
「どう?前のパーティーじゃ他の料理役居たからあんま披露できなかったけど、自信あるんだよねー」
(((めちゃくちゃ美味いな⋯⋯)))
(どうしよう、あんまり美味しくないか激マズで騒ぐ展開かと思っていたのに⋯⋯いや失礼とは思いますけどこの人に関しては信頼が、てか美味い)
(こんな味濃そうなの三つも食い切れるわけないと思ってたのにヨ、余計なクドさとか無くて食べる手が止まらないヨ⋯⋯)
(酒の飲みすぎで舌おかしくなってるし、飯なんてどれ食っても一緒だろと思ってたけどよォ、こいつァ割と美味ェな、それに酒も進む)
「おーい大丈夫かー?さっきから黙々と食べ続けてるけど、まさかそんなに気に入ってもらえるとは、それなら私の事めちゃくちゃ褒めてもいいんだよー?おうおう、ほらほら」
(((でもなんか素直に褒めるのは嫌だな⋯⋯)))
「いや正直に褒めるのが一番、結構美味しいですよ?お店出せるレベルかもしれないですね」
「だから店出すんだって」
「まー正直めっちゃ美味いヨ」
「いいと思うぜェ、おかわりくれやァ」
「この二人が素直に褒める日が来るとは、ほらほらーユーシ君も素直になりなよー」
「だからさっきから結構美味しいって⋯⋯ぐぬぬ、めちゃくちゃ、美味しいです⋯⋯」
「堕ちたな」
「堕ちたヨ」
「やかましい、でも本当にすごいですよ、こんな特技があるなら言ってくれたら良かったのに」
「いやーそれがねー、なんか以前に比べて美味くなってるんだよ、全然作ってないはずなのに、怖い」
「いやなんでだヨ」
それから特に好評だったからあげをメインに、お弁当計画が始動した。
二日後
「ヨシ!ギルド前に屋台設営完了!」
「早い、一ヶ月間ダラダラしてただけの人達とは思えないですね」
「ま、行動力だけはありますからね、エッヘン」
「その行動力をもう少し早く使ってくれればいいのに」
「てかヨ、開店前なのに客並びすぎじゃねーかヨ?」
「ふっふっふ、昨日営業許可貰う前にギルドで試食配りまくったからね、あと田舎のクチコミパワー」
「めっちゃダイレクトマーケティング、てかそんなに在庫無いですよ?どうするんですか⋯⋯ってまさかここで調理を」
「その通り、ここで揚げれば出来たてを届けられるという訳よ。まあすぐに食材なくなると思うし、エスゴブの肉と楽しみに取っておいた酒を調理に使われたくなかったら買い出し頑張ってね二人とも」
「やめるんだヨ!こっそり冷凍保存しておいたエースゴブリンさんの肉は使わないでくれヨ!」
「なんでバレてんだァ?ったく仕方ねェなァ」
「いつの間に僕のアイテムボックスに入れてるんですか二人とも、最近若干重いとは思ってましたけど⋯⋯あとエスゴブのお肉は高級食材なのでほんとにやめて」
「はいはい、まあ何とかなると信じてお店の開店スタートしましょうか」
「てか屋台の名前どうすんだヨ」
「うーんまあ追放者どもの⋯⋯」
「その流れで行くとどっかしらと被るんで違う方向でお願いします」
「じゃあオイハナ・アマザのキューティーお弁当屋で」
「では皆さん!オイハナ・アマザのからあげ弁当屋!開店いたしまーす!」
「なんでぇ?」
「やっぱりヘンキョウの町はのどかでいいっスねー」
「そうだな主、まあ一昨日に来たばかりだが」
「お黙りっス」
「それにしても、のどかと言うには少々騒がしくはないか?」
「ほんとだ⋯⋯ちょっと話聞いてくるからここで大人しく待ってるっスよ、この人混みで一ヶ月前みたいな暴走したらシャレにならないッスからまじで」
「できるだけ起こさないようにはしよう」
「絶対!絶対すんなよ!」
「あのー、ちょっといいっスか?いったいこの騒ぎは⋯⋯」
「お、最近有名な兄ちゃんじゃねえか、あんたもあの弁当買いに来たのか?」
「弁当⋯⋯?それでこんな騒ぎに?一体誰が」
「確か飲んだくれのコウルが居る追放者どもってパーティだな」
「あーそれなら納得っスね、また何か問題起こして面白おかしく騒いでたらこんな騒動に⋯⋯」
「いや?単純に美味いからだと思うが」
「え?」
「うわぁぁあ!忙しすぎる!なんでこんなに客来てるんだよぉぉお!!!」
「お前が宣伝したからだヨ!てかもう市場に肉ねーヨ!?」
「しゃあねえ、入荷するまではお前の肉を削いで提供する」
「普通に閉店するという考えは無いのか、というか噂だと町民全員が来てるらしいですよ!?」
「んなバカな、小さい町とはいえ一万人はいるだろ!こうなったらもう閉店しか⋯⋯」
「おお追放者ども!良かったらコカトリスの肉使うか?後でまけてくれよ?」
「某達が狩ってきたオークの肉も使うと良い、大変美味だった礼だ」
「おーい追放者ども!くそでけードラゴンのクソ!こいつが狩れたらお前らにも分けてやるべ!」
「善良な冒険者の応援で退路を絶たれた。あと最後のはしょっぴけ!ここは飲食店だ!」
「どるァ!にしても人手が足んねェけど、どうすんだよオイハナァ」
「アネゴ!先輩!大丈夫っスかー?」
「あっちょうど良いところに人手が」
「へ?」
三時間後
「あぁっ!もう無理!へいてーん!」
「すみませんが夕飯用の販売は無理でーす!またのお越しをお待ちしております!」
「知っぬほど疲れたヨ⋯⋯もうやんねえからヨ」
「これならモンスターぶん殴った方が楽じゃねェか⋯⋯」
「でもまあ、特に問題なく終われて良かったっス」
「私はあまり手伝えなかったが上手くいって良かったよ」
「お前が途中で突っ込んで来なかったらもう少し落ち着いてたんスよ!」
「まあいいや⋯⋯、めちゃくちゃ稼いだし、これからはこれを不定期開催かつ数量限定で売りましょうぐへへへへ」
「冒険者のついでですよね?聞いてます?」
何にせよ天職を見つけたんだ、これからは追放者ども!からあげ屋台編が始まるのであった!
「やあ皆さん、少しいいでしょうか?」
「あ、知らんおっさん、もう閉店しちゃってんだヨね、また今度食わせてやるから今日は」
「ちょい待てやヨ妖精!この人ここの町長でギルド長!偉い人だからどっか行ってなさい!」
「ぐえっ」
「えっと、まずはギルド前で混雑させてしまいすみません⋯⋯あとこれ後で自分達で食べようと思っていたお弁当ですがどうぞ⋯⋯」
「そんなに緊張しなくてもいいんだよ、その事についてはお客さんの暴動も少なく、列も自主的に揃っていたようだからねぇ」
「そ、そうなんですか!良かったです⋯⋯」
「ちょい待ち、その事については⋯⋯?」
「うん、君たちの屋台無許可でしょ、しかもギルド前だし、残念だけど、一応決まりではこれからの出店不可と売上金そう没収だねぇ」
「つまり私たち風に言い直すと⋯⋯?」
「屋台追放だ」
「ノリがいいおっさんだヨ」
「お黙り、てかオイハナさん!昨日許可取ったって⋯⋯ってめちゃくちゃ青ざめてる」
「えと⋯⋯?昨日は許可の書類持ってギルドに来て、ついでにと思ってからあげ配った後に⋯⋯どうしてたっけ」
「あらあら、昨日はその後私とおしゃべりしてそのまま帰ってたわよ?書類は忘れて地面に落ちてたから掃除のおばちゃんが捨ててたわ」
「うーん、私が全部悪いみたいだねあはははは」
その後からあげ弁当を食べたギルド長が感動し、売上金没収だけで済むことになった。「いやまた店出出来る権利より金よこせやジジイ」と言ったら出店も出来なくなった。
追放者ども!からあげ屋台編終了!
「いやー、すっかり一文無しですな」
「主にあんたのせいだからな、これからちゃんとご飯つくってくれなきゃ許しませんから」
「あ、ちゃんと胃袋は握れてた」
「にしても、書類さえ出してれば億万長者だったのにヨー」
「確認したところそもそもお弁当に揚げ物はダメみたいですよ」
「はい論外でしたー、という訳でやはり私たちは冒険者!これからも血と汗握る冒険で稼いでいきましょう!」
「振り出しに戻ってるじゃないですか」
「世間の評価的にはマイナスだヨ」
「まあいィ、戻ってからあげツマミに酒飲もうぜェ」
「「「いや、もうからあげ見るのはこりごりだよぉ」」」
ここまで読んでくださりありがとうございます
たぶん日常回です




