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5.異世界追放

訳あって追放された四人の冒険者。

彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。

テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、

そんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話

 前回のあらすじ

 酔っぱらいのおじさんを撃退した。


 昔から何に対してもやる気が湧かなかった。

 勉強も運動もぼちぼち、趣味もまあゲームくらい、でも親にそんなの趣味には入らないとか言われてたな。

 周りはもう進む道を決めてて、俺だけが何も考えずにボーッとしてた。

 きっとそんなんだから、トラックに撥ねられたんだ。


 撥ねられて、死んだはずなのに。


 俺の目に映ったのは見渡す限り草原で、空にドラゴンが舞う、ゲームで見たようなファンタジー世界だった。

「まさか、異世界転生ってやつ⋯⋯?」




 一方その頃ヘンキョウの町のギルドにて


「結局ダンジョンで手に入れたあのお酒は売れなかったですね」

「ま、知る人ぞ知るお宝って感じだったしね、この町じゃ買い手が居ないからってゴッツのやつもう出てっちゃったよ」

「知ってたとしてもヨ、飲んだら狂う酒なんてほとんどのやつが要らねーんだヨ」

「俺ァまた飲みてェけどよ」

「さてはおっさん反省してないね」

「まあまあ、エースゴブリンの素材が結構高く売れたからいいじゃないですか。依頼報酬と合わせて生活にかなり余裕が出来ましたし」

「エースゴブリン、あなたの勇姿は忘れないよ」

「忘れないヨ」

「そういや、あいつとの報酬山分けの話はどうしたんだァ?」

「あぁ、ゴッツの知り合いが買い取ってくれるかもらしいから、次会ったときにその金で酒飲もうって約束したよ」

「ハハッ、いいじゃねェか」

「もし売らなかったり金持って逃げるつもりだったら、とっ捕まえて酒奢らせるヨ」

「信用してあげてくださいよ」

「糸目であの喋り方は信用出来ないでしょ」

「ひどい」

「まあけどなんだかんだいい奴だったし、また会えるといいな」


 その頃のゴッツ・オーキニ


 ヘンキョウの町、田舎やけどなんだかんだ過ごしやすくて良かったわ。

 にしてもやっと見つけた『廻魔酒』のダンジョン、ごっつ迷うわ変な奴らに絡まれるわで散々やったな⋯⋯。

 でもまぁ、なんだかんだあいつらと話しとるの絶妙に小気味よくて楽しかったわ、一緒に飲みたいし、またすぐ会えるといいけど。

「ほなまたな、追放者ども」

 そう言って未来のトレジャーハンターキングは明日に向かって駆け出したんや!

 ⋯⋯てか今すれ違った子、護身用の武器も持っとらんかったけど大丈夫やろか。


 「てか受付のお姉さん、このギルドカード鑑定したら盾って出たんだけど」

「あらあら、間違えてその辺に置いてあった盾に印刷しちゃってたみたい、ま、そのままでも問題なく使えるからよろしくねえ」

「ちなみにこれから生活用品を買い込むのでアイテムボックスには入れられませんよ」

「小脇に抱えるの継続かあ」


 そんなしょうもない話をしているとギルドの入口からおぼつかない足取りの青年が入ってきており、二、三歩ほど歩くと倒れ込んだ。


「だ、大丈夫ですか!?」

「おな、かすいた⋯⋯」

「お腹空いてるのか、今はエースゴブリンの肉しかないけど、良かったら食べて」

「生肉はやめてあげてください」

「あらあら、軽食持ってくるわねー」


「もぐもぐぐ、ガツガツツ」

「あんまり急いで食べると喉詰まっちゃうわよー?じゃあ後は、若い子同士の方が話しやすいと思うからお願いね、オイハナちゃん」

「はーい」

「んぐっ、ご馳走様でした。めっちゃ美味しかったです!」

「良かった、元気出たみたいですね」

「キミ、この辺じゃ見かけない服だねー、遠くから来た人?」

「武器も持たずに冒険は危ないと思いますが⋯⋯」

「え、えっと⋯⋯。信じられないかもしれないんですけど、よく聞いてくださいね⋯⋯俺、異世界転生してきたんです」

「異世界?転生?あなたは何を言って⋯⋯」

「あーわかるわかる、異世界転生ね」

「分かるんだ」


 とりあえずギルドのすみっこで話を聞くことにした。


「私はオイハナ・アマザ、今をときめく追放系美少女冒険者だよ」

「初耳、僕はユーシ・サウザコンド、この人達と一緒に追放者どものパーティーを組んでいます、他の二人は今買出し中ですね」

「ちなみに他の二人は酒カスとヨ妖精だよ」

「パーティー!追放!酒カス!ヨ妖精!すげー!本当にファンタジー世界に転生したんスね俺!」

「パーティーはともかく追放と酒カスとヨ妖精にはときめかない方がいいと思います」

「私にはときめいていいよ」

「ごほん、そもそも異世界転生って何なんですか?」

「はい!まず俺のいた世界はこことは違う世界で、なんとトラックに轢かれたことでこの世界に」

「いやー、ベタだねー。ちなみに異世界転生とは死んだ魂が巡り、記憶を持ったまま別の世界に新しく生まれ変わること!しかし君の話を聞いたところ、死んだ時そのままでここに来たんだろう?つまりそれは異世界転移なのだよ!」

「過去一テンションが高い、というかなんでそんな詳しいんですか」

「そりゃ私が異世界転生してるからね、前世でラノベやら漫画を読みまくった知識が活かされた」

「本日二度目の初耳」

「そんな、異世界転生だと思って浮かれていた俺は⋯⋯」

「まだまだ甘ちゃんだね、フフッ」

「何目線なんですか、というかオイハナさんから時折出てくるテンプレやら追放やらの発言は異世界での知識だったんですね」

「そうそう、まあ七歳の頃に異世界転生してそこから二十年も経ってるし、覚えてるのは展開くらいだけどね」

「七歳で異世界転生したんですか」

「七歳で異世界転生系ラノベ読んでたっスか!?」

「まあ読み始めたのは五歳からだけどね、世界救う五歳児だって居るし何も問題ないよ」

「ラノベ読む五歳児も世界救う五歳児と同レベルで珍しいと思いますけど」

「そうなんだ⋯⋯」

「てか、ここ来る前はどんな感じだったの?私七歳までしか生きてないからあんま覚えてないんよ」


 それを聞いて俺は言葉が詰まった。でも、この人達になら打ち明けられるかもしれないーー。

「いや俺なんて毎日ダラダラと無気力に学校行って、将来のこともなんも考えずに過ごしてたら、トラック⋯⋯デカイ車に撥ねられただけっス。きっとダラけてた罰なんスよ」

「へー、でも学校行ってたんでしょ?私小学校二年間しか行ってないよ」

「絶妙に笑えないから辞めてっス、てかこの世界学校ないんスね」

「ありますよ、まあこの辺りは都市に比べると小さいですが」

「つまり⋯⋯?」

「ここじゃ義務教育でもないし外でバチクソに遊びたかったから行ってすらないよ」

「本日三度目の初耳、まあ安心してください、こんなのがうちにはあと二人も居ます」

「ユーシくんも入れない?」

「入れません、まあ何にせよ過去を振り返り続けても進まなければ何も変わりません。良かったらこの世界で新たに踏み出しませんか?パーティーを追放された僕らに、異世界に追放された君を手助けさせてください」

「おお!途中まで勇者らしかったけど追放に絡め始めると途端にうるさくなるね!」

「カッコつけれたと思ってるんですからやめてくださいっ!」


 ははっ、何だこの人たち、見てて面白いな⋯⋯。

 きっとこの人たちはそこまで立派な人じゃないんだろう、でも追放されても明るく前に進んでる。

 俺だって、異世界追放されたんだ。ざまぁ展開なんて無いだろうけど、もう過去を振り返っても意味なんてないんだから、やってみようーー。この人たちと。


「俺の名前はトヨダカケル!しがない異世界追放者ですが、よろしくお願いします!アネゴ、アニキ!」

「アニキって、なんだか照れるしユーシでいいよ」

「私はアネゴ感あるからね、そのままアネゴで頼んだ」

「釈然としない」

「ははっ、やっぱ面白いっスねお二人、じゃあアネゴとユーシ先輩で」

「えっそれどういう意味」

「てかてかトヨダくん!異世界転移名物!チートスキル付与とかないの!?」

「カケルでいいっすよ、あれ、この世界スキルウィンドウとかないんすね」

「すきるうぃんど?は無いけど僕の鑑定である程度分かるかも、おぼろげだけど」

「おぼろげなんスね、とりあえずお願いします。にしてもどうしよう、チートスキルで無双生活とか有り得るかもしれませんスよ!」

「さっきまで暗い顔だったとは思えないほど邪な発想、てかこの世界そんな甘くないと思う」

「そうなんスか」

「見えてきましたよ、おぼろげながら大型自動車第一種運転免許付与という文字が⋯⋯、ん?え?」

「大型トラックの運転免許⋯⋯、マジでなんでですか、てかまだ免許取ったことも無いしそもそも十六歳っスよ俺」

「技術も自動で身につき、法律なんぞやすやすと越えてこそのチートスキルだろ!」

「そもそもこれチートスキルなんスかねこれ、てかこの世界大型トラックあるんスか?」

「大型どころかトラックもないよ」

「ですよねー」

「うーむ、半分くらい何言ってるのか分かんない、というか外がなんだか騒がしいですね」

「あーなんかめちゃくちゃに嫌な予感がしてきたっス」


 外に出ると巨大の鉄の塊とそれに群がる野次馬がたくさん居た。

「やっぱり大型トラックもこっち来てんスね、しかも俺轢いたやつが」

「あれがトラックですか⋯⋯すごく、大きいです⋯⋯」

「あ、野次馬の中にシシャエルとコウルのおっさんが」

「うわぁー!なんだヨこのバカでかいやつ!モンスターかヨ!?」

「どけェてめェら、こんなの俺がぶっ飛ばして⋯⋯」

 そんなことを言っているとこちらのことを見つけたトラックがエンジンをふかして駆け寄り、近くで止まった。そんでもって避けきれなかったシシャエルとコウルは轢かれて吹っ飛んでいった。

「綺麗に飛んでいきましたね⋯⋯」

「まああいつらしぶといし大丈夫っしょ」

「て、てかトラック⋯⋯まさかこれもチートスキルの特典⋯⋯」

 そう思っているとふと、目の前の存在が口を開いた。いや口無いけども。

「いいや、君に付与された免許も、ここに居る私も、私がこの世界の神に頼み生み出してもらったのだ。」

「私の以前の主が不注意で奪ってしまった、君の命を新たな未来で支えるために」

「へーなるほど⋯⋯ってトラックが喋ったぁぁぁぁ!!!!」

ここまで読んでくださりありがとうございます

異世界トラック編、始まります

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