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14.パチカス追放

訳あって追放された四人の冒険者。

彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。

テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、

そんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話

 前回のあらすじ

 仲間がモンスターと判明したりハロウィンを楽しんだり女体化したりした。


「うーん、どうしようかな」

「どしたんユーシ、クエスト一覧なんて見て唸ってヨ、腹でも痛いのかヨ?」

「どのクエスト受けるか悩んでるに決まってるでしょ、腹痛なのは昨日飲みすぎと食いすぎでお腹壊したオイハナとコウルさんです」

「でも最近草むしりとかキノコ狩りしかしてないし飽きたヨ、もっとモンスター討伐とかヨー」

「しょうがないでしょ、僕らのパーティー強さにムラがありすぎるんですから。スキルや魔法の調子が悪いやら二日酔いやら弱いやらで」

「最後だけ安定して弱いだろヨ、ザコユーシ」

「ぐぬぬ、もう少し楽にお金が稼げる方法とかないかなー……って言ったら冒険者辞めて堅実に働くのがいいんだろうけど」

「ふふふ、どうしてもってなら我が楽に稼げる方法教えてやるヨ!あ、ギルドの中だとアレだし目的の場所に着いたら教えるヨ」


「最近疲れてるから思考能力が落ちてホイホイ着いてきてしまった自分も悪いとは思います、一応聞きますけどここは?」

「賭博場だけどヨ」

「堅実とは真反対のとこだよ、違法ですよ違法」

「でも我はよく来てるヨー、何故なら妖精に人間の法は通用しないからヨー」

「そんなんだから追放されたんですよ」

「いいから一回だけでもやってみろヨー、我のお小遣いから出してやるからヨ」

「そういう問題じゃ、そもそもゲームでの駆け引きなんて分かりませんしうわちからつよい」

「ユーシが弱いだけだろヨ、それに今は一人で遊べる筐体もあってヨ、ほらこれとか」

「一応聞きますがどんなゲームです?」

「パチパチボタンをおして水で満たされた画面の中のピンに輪っかを通すゲーム、パチだヨ、のめり込んで戻れなくなったやつはパチカスと呼ばれてるヨ」

「へー子供の頃こういうゲームしたなーじゃないよ、のめり込んでる奴いるじゃないですか」

「ったく、まあ入ってきて何もせず帰るのは気まずいので銀貨一枚だけやりますね、そもそもこういうのは入らずお金だけ吸われる仕組みで」


 十分後。

 キュインキュインピコンピコンドンガラガッシャンペペペペー!

「大当たりした」

「あん時のオイハナみたいな光り方してんヨ」

「な、なんか怖くなってきたので帰りましょ!?これどうするんですか!?」

「何故か皆さんあちらに行かれるヨ」

「なんですかそれ!」


「おかえりー!お、今日の食材はだいぶ豪勢だねー、よーし!腕によりとかをかけちゃうぞー!」

「何混入させる気だヨ」

「二人とも体調良くなったんですね」

「にしても珍しいなァ、ユーシがこんな買い込むなんてァ」

「それはパチ」

「あはは、臨時収入がありまして、それに備蓄とかもしなきゃですしあははあは」


「死ぬほど食ったー」

「死ぬほど飲んだァー」

「「つーわけで寝ます」」

「あいつら学習とかしないタイプだ」

「それよりパチで勝った金って言わなくていいんだヨ?」

「言う訳ないでしょギャンブルで得た金なんて恥ずかしい」

「別にいいだろヨー金は増えてるし、まあ我が言ったらぶん殴られそうだけどヨ」

「いいですか、あんなギャンブルで稼いだって何の得にもならないんです、とにかく僕はもうやりませんから!」

「じゃあ我がやってきてあげるヨ」

「明日のご飯抜きにしますよ?」

 その夜。

(でも、僕があの後も続けてたらもっと当たり続けてお金を増やせたんだろうか……ヨ)

(人の夢に出てきてセリフ捏造するな)


 翌日!

「いやー綺麗な朝日、鳥のさえずり、腹痛と吐き気に苦しむ仲間、今日はいい日になりそうですね」

「現実を見るんだヨ」

「見たくないです……はぁ、とりあえず胃腸薬とか買ってくるので待っててくださいね」

「おお!ユーシくんやさしい!」

「それとギルドに顔出しとか色々済ませて三時間後くらいには戻ってきますね、シシャエル頼みましたよ」

「優しくない」

「別に優しくないって訳ではないだろヨ」

「オロロロロァ」


「色々買い込んだけど銀貨一枚だけ余りましたね……いつもはカツカツなのに」

「……」スタスタ

「ってなんで無意識に賭博場の方向かってんだ僕!こわ!」

「一人でブツブツ喋ってる方が怖いと思うけどな?」

「いやいつも騒がしいから一人の時間が少しさみしく感じてしまうだけでいつもは……ってあなた達は!」

「よーユーシくん、久しぶり」

「お久しぶり〜」

「元パーティーメンバーの方!」

「薄情な」

「あっ、つい説明的に話してしまうくせが、すみませんカガミさんツルギさんマガさん」

「まあ名前覚えとるならいいけども」


 この人達は僕の元パーティーメンバー、僕が国から勇者追放を受ける前の仲間だ。

 弱い僕を封印解除の為に護衛していたし、実際かなり強い。

「そーかそーか、話聞いた感じ新パーティーでも楽しくやれてそうで良かったわ」

「そっちこそ、先日大怪我したって聞いたけど、もうだいぶ良くなってそうで良かったです!」

「そうそう!まー力仕事はやっぱまだきついけどなー、リーダーはすぐサボるしー」

「あとそっちの噂はよく聞くよ〜」

「へー、……ちなみに悪い噂ですか」

「うん」

「やっぱりかー」

「まぁまぁ、ユーシくん元気にやっとるみたいで良かったわ、僕らも当分ここで働くことになったからよろしくなぁ」

「いやリーダーはすぐサボるでしょ〜」

「あれ、王都の冒険者じゃなかったですっけ」

「あの王様ユーシくん追放した後に俺らも追放したんだよー、やになっちゃう」

「ま〜追放流行ってるしね〜」

「まだ流行ってるんだ、まあ僕が言うのもなんですけど、新しい生活を始めるのも悪くないものですよ!また機会があったら一緒に冒険しましょうね!また!」

「おう、またな」

「いつでも待ってるからー!」

「じゃ〜ね〜」


 いやー、昔の仲間との再会はいいものですね。彼らは初めての仲間だったし、それに仲も良くて……。

 キュインキュインピコンピコンドンガラガッシャンペペペペー!

「お、隣当たった、こっちはまだ入ってもいないってのに……」

「……って何でしんみりした再会の後にパチ打ってんだ僕は!」

「一人でブツブツ喋ってる方のは怖いと思うぜぇ兄ちゃん」

「誰ですかおじさん!」

「おおかた旧友との再会で昔のことをぼんやり思い出してたら無意識にここに来てたんだろ、これだからパチの魔力は凄まじい。あっここで言う魔力ってのは魔法使う魔力とかじゃなくてな?」

「誰ですかおじさん!」

「いいからいいから、帰ろうとせずもっと打とうぜー?あっ隣の俺の名前はスーパーチ」

「誰ですかおじさん!」

 その時、賭博場の入口が勢いよく開け放たれた。


「警察だ!賭博場の開店は現在違法だー!そしてその事を知って金を賭けることも違法だー!」

「全員逮捕だ〜」

「終わった終わった終わった終わった」

「どうしたんですかおじさん!」

「どうしたもこうしたもない!賭博は違法で俺らも捕まる!」

「たしかに!」

「「終わった終わった終わった終わった」」

「というかあの警官、僕の元パーティーメンバーですね」

「ああ、さっき言ってた旧友の。見逃して貰えんじゃねえか?」

「あなたは離婚した奥さんとお子さんに今の光景を見せられますか?」

「結婚はまだしてねえけど見せられないなぁ」

「そういうことです」

「……ユーシくん?」

「ハイッ、この世で一番弱いと噂されるユーシ・サウザコンドとは僕のことですすすすす」

「……」

「ああ、まだ離婚もしたことねえけど別れた妻にこんなところ見られたらあんな気まずい顔されるんだろうなぁ……」

「……ゆ、ユーシくん。この筐体はまだ法の整備がされてないから……今のうちなら帰っても大丈夫だよー……、あ、お金に困ってるならいつでも言っていいからね……?」

「あっ、はい……」

「あはは、気まずいなあ」

「ツルギ〜、うちのリーダーやっぱり居たよ〜。え、ユーシくんだ」

「えっ」

「アッユーシクンコンチャス……」

「あっ……その、黙っててごめんユーシくん。警察官始めたのはギャンブルにドハマリして抜け出せなくなったうちのリーダーを止めるためでもあるんだ……、なんか、恥ずかしいところ見せてごめん」

「あっこちらこそ……」

「うーん、若者の気まずい空気も、中年から見たら微笑ましいものよ、では私も失礼して」

「あっおじさんはパチカスとかで何回も注意されてますのでもう見逃せないです」

「助けとくれよ、ユーシくん」

「誰ですかおじさん」


 僕は走った。

 気まずさに耐えきれなかったから。

 僕は知った。

 信頼しあえたと思っていた仲間にも隠し事はあって、自分だけがそれを知らなかったって事実を。

 僕は見た。

 ギャンブル中毒になり仲間の信頼を裏切るまで辞められなかった者の目を。

 僕は気づいた。

 このままじゃ僕もパチの快感を忘れられず、いつの間にかあんなパチカスになるまでのめり込んでしまうことの恐怖を。

 そして僕は聞いちゃいなかった。おじさんの名前を。


 でも、僕には殴ってでもそれを止めてくれる仲間がいる。その人を信じて僕はドアを開けた。

「オイハナさん!僕からパチカスを追放してください!」

「うおおおお!追放パンチうおおおおおあああ!!!!!」


「ユーシくん一ミリも動かなくなっちゃったね」

「不意打ちでみぞおちにパンチを滅多打ちしたからなァ」

「明日はユーシが腹痛の番だなヨ」

 その後パチカスを追放された僕は、のめり込むことはなく程よい距離感でパチと付き合うことにするのであった、めでたしめでたし。

 あと元パーティーのリーダーさんは追放されたしおじさんは地下に追放されていかれた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

良ければ感想などお待ちしております。

ちなみにパチンコはしたことないです。

パチンコの感想もお待ちしております。

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