15.警戒心追放
訳あって追放された四人の冒険者。
彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。
テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、
そんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話
前回のあらすじ
ユーシは無事パチカスにならなかった。
俺は魔王軍第二部隊隊長、名は1番。先日、私を拾い育ててくださった魔王様が魔王軍過激派の手により追放された。
人間との全面抗争を企み、その計画の障壁となる魔王様を陥れた過激派を許しはしない。
だがそれ以外の魔王様が追放された理由、そしてこの世界に追放などというものが流行った元凶を私は突き止めた。まずはその原因を討ち、それから魔王様を救いに行くのだ。
そしてその原因とは―――。
「お前だぁ!オイハナ・アマザァ!」
「おわー今回の変人枠だ」
「変人に慣れないでください」
「それで、美少女追放者である私に何の用かねぇ少年?」
「手短に言うと貴様を殺しに来た」
「手っ短ぁ」
「理由が必要か?追放のスキルを得たのは貴様だろう」
「うぉーハイパー理解タイム、整いました」
「急に何まじで」
「あんたが私を殺したい理由は身近な人が流行りの追放で追放されたから!そんでもって流行った理由が私のスキルにあると思ってるから!」
「そうだ、さっきからそう言ってるだろ」
「言ってねえよおボケ」
「口下手すぎないですかこの人」
「つーか追放流行るのスキル覚醒するより前なんだけど!そこんとこどーなんすかねえ!」
「ふむ、波は目に見える範囲でしか生まれないと言うのか?」
「うぉーハイパー理解タイ」
「ストップストップ、もういいですから」
結局果たし状と決戦場の地図だけ渡して帰った。
「結局口下手の子果たし状と地図だけ渡して帰っちゃったね」
「明日の夜決戦、ですか……行くんですか?」
「ユーシくんなら行くの?」
「行きませんけど」
「そーゆーこった、行くわけないっしょー!」
三日後
「最近自分も追放してくださいってあのストーカーがうるさくてぇw」
「そういや我も最近後ろから視線を感じることがあってヨw」
ピンポーン
「お、俺が頼んだ名酒詰め合わせが届いたかァ?」
「いやいや私のユーコちゃん用コスプレセットだよ多分」
「なに頼んでんだあんたら、はーい今行きまーす」
「ドアガチャリ、決戦の日から二日経ったのだがいつ来るんだ、追加の果たし状を渡しておくぞ」
「迷惑果たし状でしたー」
「誰だヨこいつ?」
「おとつい話した果たし状の人ですよ」
「あー口下手のヨ」
「オイハナ・アマザ、なぜ来ないんだ、地図も渡しておいただろう」
「殺しますって言われて行くわけないよね」
「お前に騎士の誇りは無いのか!」
「ないよ、追放者風情にそんな高貴なの求めないでもろて」
「ふむ断るか、だがもう手は打ってある。お前ら宛の荷物を勝手に受け取り近所の子供にくれてやったのだ」
「ガキに酒をァ?!」
「子供に際どいコスプレを!?」
「まあ子供にはまだ早いと処分されてたがな、どうだ?憎いだろう」
憎い50% 憎くないヨ25% むしろ感謝します25%
「よく分からないが半数は憎いようだな、では決戦の地で我らは待つ、さらだば」
「あぁ、戦う口実を作りたかったんですね」
「口下手なのか言葉足らずなのか変人なのか分かんねェなあいつァ」
「全部だろヨ」
「てか次の集合場所ダンジョンらしいですよ、行くんですか?」
「まあ憎いとかを置いといてもこれ以上付き纏われたら面倒だからね、はぁ……行くかあ」
「二度強烈なストーカーを見てきた奴だ、考えただけで目が死んでるヨ」
追放者どもはそこそこの準備とそれなりのおやつを持ってダンジョンに向かった。
「ここがあの男のハウスね」
「ハウスじゃねェだろァ」
「てかなんかここ見覚えありません?」
「いやー知らねーヨ」
追放者どもは特になんも警戒もせず踏み入った。
「よく来たな、追放者ども」
「よく来てやったよ追放者どもが」
「まあまず手始めにくらうといい、『ダークスピア』」
「即ブッ放しますねおい」
「へへん!そんなトロイ魔法当たるわけがないでしょ!」
ドシャアッ!クズレダダダダダ!!!
「あっ魔法が岩壁にあたってダンジョンの出入口が塞がれたよ〜?」
「……罠だなこりァ、まんまと嵌められたァ」
「正解だ、口下手で面倒くさい人間を演じたお陰があったというものだな」
「おいおい!スゴいですよリーダー!」
「すっげーデース!」
「おめでとうございます」
「うわ奥からなんかいっぱい出てきたヨ」
「くっそぉ、変人に慣れすぎたせいで変な作戦にハマっちまったよ〜!」
「一見愚かな作戦でも、愚かな獲物を狩るのには適していたというだけだ。それにお前らはまだこれがお遊びの範疇と思っているだろう?」
口下手から放たれた闇魔法がオイハナの頬を軽く切り裂く。
「私は魔王軍第二部隊隊長!名を1番!敬愛する魔王様の為ならどんなことだろうと手を尽くす!そのための礎とな」
「うわぁー!いでぇー!遅れて痛みがやってくるタイプゥ!」
「ちょっと血が出たくらいで泣かないでください、僕なんて肋骨五本くらい折れてますからね?主に仲間からの攻撃で」
「ちょ、まだ喋って」
「アタシは隊員のヒッタクリデース!」
「同じく副隊長ォィ!オイラーだ!」
「吾輩は勇者殺しのキョウダです」
「こないだのひったくりいるヨ」
「ひったくりじゃなくてヒッタクリデース」
「というかこの場に八人も居て話が回ると思いますか!?せめて何人か黙って!」
「オイオイ、じゃあそっちを全員黙らせてやろうかぁ?」
「なんだァ?やるかァ?」
「「「「「「わーわーぺちゃくちゃわーわー」」」」」」
「いでぇ、いでぇよぉ……」
……1番は確信した、こいつらは力で脅そうと屈さない、なんか頭の悪い野生動物みたいなものだと。
あと部下の顔をしてなんか知らない奴が紛れ込んでいることも。
「チッ、こうなれば最終手段だ、『ダークカッター』」
「へへーん、地面に向けて撃っちゃって、錯乱したのかなー?」
「錯乱してたのはさっきのあんただ、もう痛くないんですか?」
「よく聞いてくれた、私は痛みをも追放して――」
ガラガラガラララララララ
1番は魔法で地面を割り、あらかじめ準備しておいた落とし穴で追放者どもを分断したのであった。
「「「「うわぁぁぁぁぁぃぅぇぉぁぁぁぁぁ」」」」
「オイラー、ヒッタクリ、お前らはコウルと妖精を相手しろ。私はオイハナ・アマザを討つ」
「吾輩は何をすればよろしいでしょうか」
「さっきから私たちの仲間面をして何を考えているのかは知らんが、邪魔さえしなければどうでもいい、好きにしろ」
「ではユーシ・サウザコンド、あの男は吾輩が殺してもよろしくて?」
「うん」
「じゃあお前ら、健闘を祈る」
「祈られるデース!」
side オイハナ
「うーんこれはまずいぞ」
「何がどう不味いというんだ?」
「だって私ユーシくんほどではないけど弱いしー?各個撃破なんてされたらひとたまりも無いわけで」
「まあそういう作戦だからな、しねっ」
「ひぇっ!死ぬとこだったじゃん!そんなものフリマしちゃって!(訳、売って手放せ)」
「ほざくな、そもそも殺す気の攻撃だしねっ」
「あぶねっ、てか薄々感じてたけど口下手は演技じゃなかったよね絶対」
「……しねっ」
「あっ図星」
「……てかなんで私を殺そうとすんの!追放流行ったのは私のせいじゃないって言ってんじゃん!」
「しょせん貴様一人の意見だ……それに」
「追放さんもそうだそうだと言ってるもん!」
「誰だよ」
「……納得できる理由が無ければ死ねないのなら教えてやる、追放が流行ったのはお前という存在が生まれる予兆だったんだよ」
「自分の予兆に巻き込まれたのか私は」
「うん」
「遠くない未来、世界を巻き込む追放の渦が巻き起こる、そしてその渦に私の大切な人が巻き込まれる!その未来を私はこの目で見たのだ」
「へー、てかさっき一人の意見で決めるな的なこと言ってなかったっけあんた」
「……うるさい」
「そもそもスキルそのものが常軌を逸しているんだ、自分でも気づいているだろう」
「えー?たかだか歯磨き粉のカスやらハンドルやら尊厳を追放しただけだよー!」
「それらは本来追放する物じゃないだろ。まあいい、仲間ともどもここで散るといい!『ダークカッター』!」
1番の魔法がオイハナに直撃――したかに見えた。
ガキィンッ!
「あぶねっ、いつも小脇に盾を抱えていなけりゃ即死だったー」
防いだか。やはりその盾は――。
「ま、ここに来るまでに割と準備したし、あいつら中々しぶといから大丈夫っしょ」
「……貴様、少しも自分の心配をしないんだな」
「ま、先に死んだら地獄で死ぬほどバカにされそうだから死にたくないね、だから魔王軍最強だろうと何だろうと――追放してやんよ!」
「魔王軍最強は我が魔王様だッ!!!」
「変な地雷を踏んじった、一応カッコつけたんだぞ私!」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
良ければ感想などお待ちしております。
マトモなバトルが始まるといいな。




