13.ハロウィン追放
訳あって追放された四人の冒険者。
彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。
テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、
そんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話
前回のあらすじ
ひったくりから盾を取り返した。
とかどうでもよくてハロウィンですよハロウィン!
ちょうど13話で不吉な数字!雰囲気ありますよ!
「せめてあらすじ紹介してくれませんか」
「どこ見て喋ってんの」
「そんなことよりハロウィンだし菓子くれヨ、トリックオアトリートヨ」
「シシャエル、そういうのって子供がやるから可愛いんですよ」
「トリックオアトリートのモンスター側は黙ってなさい」
「トリックオアトリートにモンスター入ってないだろヨ」
「そんなに欲しいなら菓子くらいやるよァ」
「いいのかヨ!おっさんの癖に太っ腹だヨ!ユーシとオイハナもこの心を見習うといいんだヨ」
「ぐぬぬ、まさかコウルのおっさんがこういうイベントに乗っかるタイプとは……てか何あげんの?」
「酒チョコ、チョコ抜きだァ」
「酒」
その時、追放者どもの後ろから人影が現れた。
「良かったらキャンディでもあげましょうかヨ、妖精さん」
「いいのかヨ!ありがとヨー!……てかキャンディクソでかヨ、もぐもぐヨー」
「えっとあなたは?」
「あら、自己紹介が遅れてしまいましたね。私はロウィーノ、この町にハロウィンの催しで訪れた聖職者ですヨ……あ、すみません、妖精さんに勝手にお菓子をあげてしまってヨ」
「この人もヨヨヨヨうるさいな……シシャエルのストーカーかなんかかな (全然いいんですヨ!ありがとうございますヨ!)」
「本音と建前逆ですよ、てかシシャエルにストーカーなんて」
「そうなんですヨ……お恥ずかしながら先日シシャエルさんに一目惚れしてしまって……ヨ」
「なんて」
「なるほど!だからヨ使いが未熟だったんだ!」
「ヨ使いって何ですか」
「こいつァクセの強ェストーカーに一度会ってるからな、ストーカー嗅覚が発達したんだろァ」
「なんだヨー、我の可愛さに気づく奴がいるなんて、素晴らしい限りなんだヨ!」
「あぁ……あんなに大きなアメを食べ終わってもちもちになったシシャエルさんも可愛らしい♡……ヨ」
「取ってつけたようなヨ」
「それよりどうする?あの人聖職者らしいし、シシャエルの正体バレたらまずいよ」
「まだモンスターって決まった訳じゃないですよ」
「そうだヨ、モンスター操れたり話せたりして聖なる光がちょっと苦手でとびきり可愛いだけだヨ」
「まあほぼ確かァ」
「あと昨日めちゃくちゃ野良犬に吠えられたヨ」
「知らんがな」
「まあいいや、面倒ごとになっても面倒くさいですしバレない方針で行きましょう」
「あのー、良かったらシシャエルさんちょっと抱っこしていいですかヨ?」
「いいすよ、なんかこいつの体温生きてるか分かんないくらいほんのり冷たいですが」
「抱かれてやるヨ」
「危機感無っ」
「うーん、ひやひやもちもちで可愛いですヨー♡」
「ヨヨヨ、もっと褒めるんだヨ」
「なんであいつは死が目の前にあるかもしれないのにあんなに呑気なんです?」
「まーゆーてバレるかバレないか、そしてバレた後死ぬか死なないかの三択だからね」
「三択だから生き残る方が多いね良かったじゃないんですよ」
「シシャエルさん抱っこありがとうございましたヨ♡。それであなたがモンスターというのは本当ですか?」
「どうやら二択のようですよ」
「ど、どうしてバレたヨ!ひそひそ声で作戦会議してたのにヨ!」
「俺たちァ話す声でけェからな」
「まあ主に私たちのセリフだけで話を回す作品柄だしコソコソ話は難しいよね」
「何を言ってるんですかこの人は」
「あのー……大丈夫ですヨ?聖職者なので一目見た時から分かってましたし、それにシシャエルさんを消す気もありません。ヨ」
「良かったヨー、死ぬかと思ったヨ」
「これで一択になったね」
「択じゃないんですよ選ばれてんですよ」
「それでシシャエルさん、あらためて聞きますね。あなたは人に牙を剥くモンスターですか?それとも人と共に生きる妖精さんですか?」
「お、真剣な顔だ。シシャエルの命運を分ける択はまだ続くね!」
「仲間の不幸で喜ぶなよ」
「わ、我は……確かにモンスターだヨ。でも!妖精でもあるんだヨ!」
「……その心は?」
「どちらもシシャエルでむぐぁっ」
「お前じゃないですから座ってろ」
「我は元はゾンビフェアリーだったんだヨ、その頃は冒険者相手に悪戯したり、物をくすねたりしててヨ」
「今もしてますよね、追放理由ですよね」
「そんなダラケた生活をしてたある日、花畑で我にそっくりの妖精に出会ったんだヨ」
「それが、今あなたが体を借りている妖精さんなんですね」
「そうなんだ」
「そうなんですね」
「そォなのかァ」
「五七五やめろヨ」
「でも我が見た時にはだいぶ弱っててヨー、可哀想だったし延命ついでに体を借りたんだヨ」
「弱ってる隙に体を奪うモンスターだ」
「さすがに回復してそうならすぐに返すつもりだったヨ」
「ま、その後すぐにハレムと出会って幼なじみになって、色々あって追放されて今に至るって訳ヨ」
「あぁ元パーティメンバーの幼なじみね、すっかり忘れてた」
「てか結局返してないじゃないですか体」
「なるほど、心温まるお話ありがとうございましたヨ」
「ほんとにかァ?」
「結局、この体は返せずじまいで冷たくなっちまったんだけヨ……だからこいつの分まで、我は妖精として生きなきゃなって思ってるヨ!これが我の答えだヨ!」
「……そうですか、ではあなたはその子の為にも可愛らしく生き続けてあげて下さい……ヨ」
「いやー、イイハナシダッタナー」
「……感動的な空気をぶち壊すようですみませんが、妖精は基本的に体がひんやりしてるんですよね。なのでその子まだ生きてるかと」
「とっとと体返しなさい、その体追放」
「嫌だ!我この体気に入ってるから返したくないヨー!もう十年はこの体なんだし権利はほぼ我だヨー!」
「本性あらわしたね」
「生き汚ェ」
「その事でひとつ、さっき抱っこさせていただいた時、シシャエルさんとは別の声が聞こえたんですヨ」
「つまりもう一度その声を聞けばシシャエルをこの体から追放するかどうか決められると。あっシシャエル逃げた」
「では失礼して、くんかくんかくんかくんか」
「そして鬼のようなスピードで捕らえましたね。うわめっちゃ嗅いでる」
「そういやストーカーだったなァ」
「聖職者がモンスター吸ってキマってる絵面やべー」
「はーい、あらかた終わりましたヨ」
「それでどうでした?やっぱり中の子は嫌がって」
「まずは鼻先に甘い香りが広がり、その次は少しだけ酸味のある香りがアクセントに」
「そっちじゃないです」
「ああそっち、中の子はこう言っていましたヨ。『ヨヨヨヨヨ、ヨヨヨヨヨヨヨ、ヨヨヨヨヨ』と」
「ヨむな」
「元がヨ妖精だったんだ」
「翻訳プリーズァ」
「分かりました。ではどうぞヨ」
『シシャエルくんは、モンスターに襲われて弱ってた僕を乗っ取ることで助けてくれたんです。その時思ったんですよね、外の世界は怖いと』
「えぇ」
「内側から語りかける声としてはだいぶ語ってる」
『なのでこのまま魂だけ引きこもって中から君たちのろくでもない日常を見届けようと思います。なのでシシャエルくんはこのまま僕の体を借り続けてください』
「まあなんか良かったね、シシャエル」
「体を貸してるってところに若干の強かさを感じますね」
『あと僕の可愛さをおいてハーレムを作ったハレムはぶん殴っといてくださいね』
「強かァ」
「とりあえず、元の体の妖精さんも良いと言ってますしヨ、シシャエルさんは人に害を与えないモンスターとして協会に報告しておきますねヨ」
「仲間の私物を売っぱらって追放!」
「仲間のアイテムボックスに盗品を隠す!」
「武勇伝武勇伝、武勇」
「ここぞとばかりに我のうっかりポイントを話すなヨ」
「黙ァ」
「でも可愛いですしヨ」
「可愛い無罪もやめてね」
「まあまあ、今日はハロウィーンですヨ、お祭り気分で楽しみましょう」
「たしかに、じゃあシシャエルトリックオアトリートね」
「なんで我、てかお菓子持ってないヨ?」
「じゃあトリックな!本性追放!」
「ぎゃあああああああああ」
「……何したんです?」
「いやー、話聞いてた時からゾンビフェアリー状態のシシャエル見てみたくって、スキルで出来るかなーと思ったら出来た。あとハロウィンだし仮装代わりにもなるかなーって」
「いいじゃないですかヨ!元の体もそっくりの可愛らしいお姿と言ってましたし可愛さが二倍でアへへへへ」
「うわあ」
「つゥかそっくりってのもあいつの事だしァ……」
白い煙が消え視界が開けると、そこに居たのはいつもの見た目のヨ妖精とガリガリでおどろおどろしい見た目のゾンビフェアリーだった。
「ほらなァ」
「イテテ、アレ?ナンデカワイラシイワレノスガタガメノマエニ?」
「ヨヨヨヨヨヨヨヨヨ!!! (外の世界嫌だぁぁぁぁ!!!)」
「かわいそうに」
「……そこのゾンビフェアリーさん、あなたに窃盗や妖精に乗り移るなどの罪がかかっていますので……ぶち消しますねヨ?」
「可愛くない極刑だ」
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
その後追放効果が切れるまでゾンビフェアリーのシシャエルは追いかけ続けられた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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