11.武器屋追放
訳あって追放された四人の冒険者。
彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。
テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、
これはそんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話である。
前回のあらすじ
訳あって追放された四人の追放者ども、オイハナ、ユーシ、シシャエル、コウル、
彼らは一度敗北した因縁の相手レッドドラゴンに再び挑み、覚醒したスキル『追放』と仲間との連携で勝利するのであった。
「勝ったっていうか歯磨き粉で漂白しただけですけどね」
「何を言っているんだヨ」
「わかんない」
「歯磨き粉の蓋にこびりついたカスを追放したらドラゴンが白くなっていた。私また何かやっちまいましたか?」
「お黙り」
「ぶん殴るぞァ」
「いやー!にしてもさっきまで殺そうとしてきた相手な訳だけども、可愛いねホワイトドラゴン!」
「ホワイトドラゴンは人間に友好的ですからね。まあ色だけで体格はさっきのままなのですけれど」
「まあいいじゃんヨ!こいつも我らと仲良くしたいって言ってるしヨ!」
「ホワホワ!」
「もはや当然のようにモンスターと会話してんなこの妖精、隠す努力をしなさい。あと鳴き声かわいっ」
「そもそも我が可愛すぎる妖精だからモンスター側が寄り添ってるのであって決して我がモンスターだなんて」
「まあいいや、ギルドに報告しなきゃですし帰りましょ」
「おゥ、それはいいけどよォ」
「なんですかコウルさん」
「ユーシてめェさっきから腰抜けてんだろァ、そういうのは自分が動けるようになってから言えやァ」
「さっき死にかけたんですからあと五時間は腰抜けてますよ、誰かおぶってってください」
「情けねェことをよくも堂々と……」
「さすがは千年に一人のザコ勇者、面構えが違うねぇ」
「へへへへへ」
「おーい、ホワドラが町まで乗せてってくれるらしいヨー」
「まじ!?ホワイトドラゴンって飛ぶのすごい得意なんでしょ!一度乗ってみたいと思ってたんだよね私!」
「昔は国と国の移動に、海を渡ることもあったらしいですよ、最近はめっぽう数が少なくなってしまったらしいですけど……って聞いてない」
「ホワドラー!全員乗ったしオーケーだヨー!」
「空からの景色を肴に酒飲むかァ」
「おー飛び始めたー………そういやねぇねぇユーシ君、この子色だけが変わったって言ってたよね」
「はい、なので角や翼の形はそのままですね……んでもってレッドドラゴンは飛ぶのが得意ではありません、ね……」
「つまりは、飛ぶのが苦手だけど自認は得意な状態で突っ走ってるってわけねーおろろろろろ」
「突っ走るじゃなくて突っ飛んでるんですよちょっとまってこれやば」
「めちゃくちゃ揺れらァオロロロロロロ」
「なんっでこういう時に限って我は後ろなんだヨ!助けてユーシあああああ!!!」
「僕はしがみついてなきゃ余裕で死ぬんだよまじでやばいやばい体幹いいやつはいいですよねああああ」
地獄の空の旅は三十分続いた
「おげげ……。山の奥に、山よりデッケードラゴンが見える……。気持ち悪くて幻覚が見え始めたみたい、じゃあねおろろろろ」
「だから!さっきから我にかかってぎゃああ」
なんやかんやでギルドに到着。
「え?この子、近頃話題のドラゴンじゃないんですか?」
「あらあらそうなのよ、最近噂になってるのは山より大きいドラゴンさんらしいわよ?」
「へー、さっき幻覚で見たドラゴンもそんくらいデカかったよ」
「じゃあ幻覚じゃなかったんでしょうに」
「あんなのが現実とは思いたくない、私たちなんて二捻りでやられるよ」
「ちょっと耐えないでください、にしてもホワドラさんどうしましょ、うちじゃ飼えないですよ」
「やだやだヨ!ちゃんと散歩も餌やりもオイハナがするヨ!」
「うわなんかゲロ臭、てかなんで私、あんたが飼いたいって言ったんでしょうが!」
「じゃあペット枠入れ替えましょうか、シシャエル、今までありがとうございました」
「えっえっえっ」
「あらあら素敵な子、たしか白いドラゴンは縁起がいいんじゃなかったかしら」
「縁起物好きなギルド長が喜びそうだ、お前たちが良ければこのギルドで預かってもいいか?」
「やだヨァッ」
「はいそれはとても素晴らしい考えだと思いますでは後々のことは任せますどうかあと飛ばせる時はお気をつけてぇー!」
「あらあら行っちゃった、じゃあ今日からあなたの名前はホワちゃんね!」
「ホワホワ (人間とは常に責任から逃れ続けるものである)」
後日、ギルドの中庭で飛んだホワちゃんが着地を失敗しギルドは半壊した。
「いやー暇ですなー、武器屋でも行きましょうか」
「唐突だなァ」
「暇なら働いてください」
「てか武器屋くらい二、三話で行っとけヨ」
「まーね、ドラゴン戦でユーシ君の剣は折れ、おっさんの小手は砕け、私の盾は傷一つ無かったわけだし行っとくのもいいかなーって」
「なんか壊れてないやつあるヨ」
「盾に火炎放射防いでましたよね、なんで耐えてるんですか」
「いやまあ私の扱いがいいって言うか?逆に壊した人たちはどういう扱いしてたか気になるんだよねー?」
「うっせェぶん殴ったぞ、つーかてめェも盾雑にぶん投げてただろがァ」
「いだい」
「まあ僕の剣は寿命でしたし、コウルさんの小手もヒビ入ってましたもんね、いい機会だし買い換えに行きましょうか」
「という訳でやってきました、格安武器屋リユースリサイクルです」
「なんだか中古品しか無さそう」
「い、いいんですよ僕らお金無いんですから、それにここの店主とは顔なじみなんです、フフン」
「まーよく剣折りそうな腕だもんなヨ!」
「とりあえず生意気な妖精の骨を折る武器でも探しましょうか」
「ヨ?」
「とりあえず邪魔すんぜェ」
「邪魔すんなら帰りなー……って勇者の坊ちゃんの連れか」
「お久しぶりです店主さん、この人達が新しいパーティメンバーです」
「おお久しぶりだな、にしても坊ちゃん、追放されたって聞いてたけども……仲間ができて良かったじゃあねぇか。それにこいつらも……うんそうだな個性的な面子だな」
「無理して褒めようとしなくて大丈夫ですからね」
「マスター!武器見てっていいっすかー!」
「おういいぜ嬢ちゃん、あんたはどんな武器が欲しいんだ?」
「ぶん投げて追放できそうな鉄クズ!」
「そんなもんここには置いてない、帰りな」
「聞き方が悪いヨ」
「じゃあ追放したくなるレベルで酷い武器!」
「おう、次舐めた口聞いたらここ追放だかんな」
「オイハナあんたちょっと黙っててください。」
「( ᐛ )و」
「うーん、結構品揃え良さそうなんだヨ、我も一個くらい武器持とうかなヨ」
「その中型犬くらいのサイズの体で武器持ち歩く気ですか?」
「杖だヨ杖、それに使わない時はユーシのアイテムボックス入れときゃいいヨ」
「リュックサックくらいの容量しかないの忘れないでくださいね」
「いいのあったヨー、魔杉枝の杖銀貨一枚だったヨ」
「やっす、本当にこれでいいんですか?」
「ああそれはモンスターに効く花粉を撒き散らすってやつだ、まあ実用性は無いから安売りだが」
「へー、ですってよシシャエル」
「ぶぇっくしョん!ぶぇっくしョん!この杖なんか変だヨ!?」
「やっぱりか」
「m9(^д^)」
「喋ってないのにやかましいヨこいつ、まーマスクすればなんとかなるし買おうかなヨ」
「じゃあ僕に預けといて、後でまとめて払うから」
「お母さんかヨ」
「(* ᐕ)?」
「『コウルのおっさんは何にするの?』とでも言いたげな顔だなウラァ」
「おおオイハナが店の奥からゴロゴロと」
「またぶん殴られただけでしょ、それよりコウルさんないいの見つかりました?」
「これだなァ」
「うわクソデカゴツ盛りハンマー、絶対高いだろヨ」
「そいつは銅貨三枚だぞ」
「( °o°)」
「正気ですか、ボケましたか」
「違う違う、場所を取るくせに重たすぎて誰も買わないから安売りしてんだよ、まあコウル……だっけ?お前さんを見たところ普通に持てそうだし良ければ買ってくれよ」
「いらねーならもはやタダでくれればいいのに!あやべ喋っちゃった(´>ω∂`)」
「どうしてもって言うなら我らが貰っといてやるヨ!」
「よく見りャもう持ってるやつァより弱かったからいらんァ」
「……オイハナ、コウル、あと名前も訳も分からん妖精、この武器屋追放だ」
「とばっちりだァ」
「説明しよう!スキル『追放』は追放と言われると体が勝手に追放されるのだ!うわー」
「我の名はシシャエル!名前だけでも覚えて追放してヨー……」バタン
「……なんか本当にすみません」
「まあなんだ、坊ちゃん大変なとこ行っちゃったな」
「楽しくはあるんですけどね、あ、いつものお願いします、一応シシャエルの杖も」
「まいど、いつもの『ザコでも振れる♡よわよわうすほソード ♡(耐久性能改良版)』 だ。これじゃないとまともに振れないとは大変だなぁ」
「ネーミングもうちょっとマシになりませんか」
「作ったやつに言ってくれ、俺は卸してるだけだ」
「いやでも毎度のごとく正式名称全部言うのは」
「なんだ坊ちゃん、俺の『ザコでも振れる♡よわよわうすほソード♡ (耐久性能改良版)』が聞きたくないとでも」
「ありがとうございましたぁっ!また今度来まぁす!」
「今のは俺が悪かったからちぃと待て、坊ちゃんが来たら話そうと思ってたことがあったんだよ」
「なんですか、もう中年の方の甘々囁きボイスは聴きたくないですよ……ってこれは地図?」
「おう、こないだ知り合いから貰ったんだよ。何せ千年に一度現れる虚弱体質の為に作られた武器が眠ってるんだとよ、坊ちゃんの助けになるかと思ってな」
「あ、ありがとうございます!そうですよね、武器屋の方々はいつも冒険者の事を考えて商売してくれているのに……先ほどの中年発言と仲間の失言を改めてお詫びします。これからもよろしくお願いしますね」
「おうよ、また中年の甘々囁きボイスが聴きたかったらいつでも来な」
「それは遠慮しときます、では」
「おーユーシ君おけぇりー」
「三人とも地面見つめて何してるんですか」
「砂と砂利と土をスキル『追放』と」「我の地魔法で仕分けて遊んでるヨ」
「まだ数分と経ってないのに暇を持て余してる、そんなことにスキルと魔法使うなよ」
「それを俺ァ蹴っ飛ばして終了だァ!」
「最低の大人がヨ」
「私たちの三分を返せ」
「そんなことより、店主さんから地図貰ったんですよ。千年に一度の虚弱体質の為作られたから僕にピッタリだからって」
「つまりは千ザコ用の剣ってことだね」
「まあそういうことでいいですヨ」
「セリフ奪るな」
「じゃあ行くかァ」
「いやまだ新しく買った剣があるんですから行きませんよ勿体ない、これが折れてからですね」
「ところでその剣の名前なんて言うの?」
「……薄い剣。」
「何か危ない言葉を隠そうとした結果別方向の危なさが生まれてしまった顔をしている」
一方その頃、修理を終えドラゴン用の受付を作り終えたギルドは、ホワドラが着地をミスり全壊した。
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