39話 ”魔大陸”それは魔境である
「ああああああああああああああー!!」
私は王宮のメイドたちの食堂で悲痛の叫び声を上げた。食堂にいる皆の視線が私に集中する。
私は椅子から倒れ落ちる。
「メイ様、どうしたのですか?」
一人メイドが近寄ってくる。そしてネイルが近づいてくる。
「どうしたのですかメイ様!くっ、やはり目覚めのキスを、、、」
「やめろ!」
私は勢いよく起き上がりネイルは制止する。そして一人のメイドが私に声をかける。
「どうしたのですか?メイ様。」
「あ、いや口内炎が少し痛くて、、、」
その瞬間食堂の空気が一瞬で冷めたものになった。それを表現するにはこの言葉が相応しいだろう。
”場が白ける”とはまさにこの事だ。皆自分の食事に戻る。
私自身も大げさに反応し過ぎたと反省している。この一人の少女以外は。
「メイ様大丈夫ですか!?」
「だからネイル、大丈夫だって」
私はネイルは落ち着かせる。
「そうですか。では今日も張り切って仕事をしましょう。」
「いや、それはいやだ、」
「空蝉、」
「わかったー!!。それはやめろ!!」
私は顔を赤くして叫ぶ。食堂の視線が私に集まる。このままでは私の二つなが空蝉になってしまう。
その事だけは避けたいので私は今日も執務室に脚を運ぶ。
「これが計画です。」
ネイルが広げた書類は英雄暗殺計画の計画書だった。なぜ私たちが英雄を暗殺しようとするのか?
それはもちろん単純だ。
英雄についての報告書によると彼は自分が他人より圧倒的に強いという自覚がないらしい。
周囲からは規格外だと言われるが彼は自身のことを常識人だと思っているそうだ。
それは謙虚という生ぬるいものでは無い。
強者ほど自分が特別な存在だと気付けにくい。そう言うものなのだ。
そしてこの英雄みたいに『世のため人のため〜』みたいな感じで力を使う奴のことを私は気に入らない。
こう言うのが一番たちが悪い。簡単に民衆を味方にしてしまうからだ。
しかし今回の暗殺計画は英雄を殺すことが目標ではない。
今回の目標を達成できなかった場合、暗殺という選択肢を使うだけだ。
あと一週間。英雄がやってくる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
黒いコートを着た少年は山小屋で呟く。
「はあ、今回も失敗か」
彼は誰もいない山小屋でため息を吐く。その溜息は深くて長い。
「このズレは新しい。私が見てきた中でも初めてだ。姉さんは失敗したのか?」
彼は少し考える素振りを見せる。
「否、それも姉さんの想定内。しかしまさか英雄が今、交わるとは、、、」
彼は黒いコートを翻す。
「これは想定外だろう。なぜなら本来英雄との接触は、、、」
彼は窓の月を見る。
「いやこれは今回、ついに初めて成功する兆候か?」
彼は驚きの顔をする。
「まさか遂に成功するのか、、、!」
そして彼の体から赤黒い魔力が流れ出す。
「私の時間も、もう長くない。前回姉さんが乗っていた馬車と少し接触してみたが何も起こらずか、、、」
「もう時間がない」
そう彼にはもう時間がないのだ。
「急がなくては、」
そして彼は一冊の本を開く。その本の内容は全て手書きで書かれていた。
「次の舞台は魔大陸」
彼はその内容を確かめるように力強く言う。
「そして奴らの介入は、、、」
「魔帝が動く!」
そして彼は黒いコートを壁にかけた。
そして彼が窓から見た月は半分かけていた。
時間はもう残されていない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「魔大陸?」私は執務室の椅子に腰をかけその存在を口にした。
「そうです。最近魔大陸で活発な軍事行動を確認しています。」
「ふーん魔大陸でね〜」
私は顎に手を添え考える素振りを見せる。
「で、具体的にどの魔王が活発してるの?」
「いえ、魔王だけではありません、魔帝もです。」
「ま、魔帝も!」
魔帝。それはまさしく最強の存在というに相応しい存在。
魔大陸での文明開花や魔大陸統一など数々の偉業を成し遂げた、人間族では英雄のような存在である。
「な、なんで魔帝が?世界統一みたいな事に関しては興味がなかったはずだけど、、、」
「しかし今現在、魔大陸では軍事演習が活発になっております。」
「マジか、、、」
私は言葉を失った。
まあ世界制覇をするとは決まった訳では無いけどもう魔帝が軍を動かしてやることなんてそれしか残ってない。
これは、、、
「英雄と謁見をした後魔大陸に行ってみようかな?」
「いいですね。私も行ってみたいです。」
「と、言うことで他のメイド長にも魔大陸に行くことについて報告しといて。」
「わかりました」
ネイルは部屋を出る。それにしても魔帝か。
ていうか私たちの目標は大陸制覇なんだからもう少し大陸内に目を向けたい。
まあ今は英雄と魔大陸の事について考えよう。そして私のとこにメイドが来て一つ報告が入る。
「英雄 ”ヨル・グランド”様が到着されました。」
「そうか」
私は席を立つ。そして王宮の廊下を少し駆け足で走る。ネイルも途中から合流する。
私は王宮の門に着く。そこには馬車が2台止まっていた。
私はお辞儀をしその場所に乗っていた人物を歓迎する素振りを見せる。
「お待ちしていました。英雄 ”ヨル・グランド”様」
これで第二章が終わりました!読者の皆様のおかげでここまで続ける事ができした。少しでも面白い、続きが気になると思いましたら、評価、ブックマーク登録をお願いします。




