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38話 ”英雄”それは謎多き人物である

そして私たちは波乱の行幸を経て帝都に戻ってきた。


その時はまさにパレードという言葉が似合うくらい賑やかなものだった。いやー凄い。


モニカってこんなに人気あったんだ。ちゃんと帝国の広告塔として機能しているようだ。


私はモニカの評価を少しあげ王宮、まあ正式名称は『ガルトリア帝国皇帝執務居城』何だけど長いから私たちは”王宮”と呼んでいる。


なんか短くて言いやすいしね。そして王宮に入った。


そして私はいつも仕事で使っている執務室の椅子に腰を下ろす。ああーこの感じ。


いつものとんでもない日常が戻ってくる事を感じさせてくれる。


ネイルは帰って来たばかりで疲れている私に早速大量の書類を置く。


「それでは仕事ですね」


「いやいやいや、ちょっと待って。」


「何です?」


ネイルはお得意のキョトン顔で聞き返す。


「いや、だから!私帰ってきたばかりで疲れているんですけど?」


またしてもネイルはお得意のキョトン顔で聞き返す。


「疲れている?それはおかしな話です?」


「え?」


「だって休暇で旅行に行ったんですよね?」


「あ、確かに、、、」


そして私は沈黙した。


「ではまずこの資料を、」


ネイルが私に渡してきた資料は新しい見習いの名簿だった。そして私はある一人の人物に目が止まった。


『辺境の街”ベルセデス”出身。名前 ソラ 名字不詳。現年齢3歳。備考:現在初級魔法全て、中級魔法一部、習得。性格冷静沈着。仲間意識 高。』


私はこいつを話題に上げる。


「ネイル、何で3歳が”見習い”に正式加入しているんだ?」


「将来性が高いというのが現場の認識です。」


「でも、3歳って、、、」


「では今度会って見ますか?」


「え、まあどっちでもいいかな〜」


「では今度謁見するということで。それにしても入ったばかりでメイ様に会えるなんて、、、なんと羨ましい!」


「え、怖。てかいつも会ってるだろ。」


そして私たちは違う資料に目を移した。


そしてその少年のことは翌日には忘れていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「英雄?」私はネイルの言葉に反応する。


「そうです。来週この王宮に英雄 ”ヨル・グランド”が来月、皇帝と謁見するらしいです。」


「私そしたら英雄初めて見るかも」


「そうですね。私も目視で見たことはありません。」


と言う事で来月に英雄が王宮に来ることになった。そもそも英雄はどのような活躍をしたのか?


その経歴はまさに天才というにふさわしいことを私は後にネイルに書類をもらい確認した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


この世で英雄といえば皆この”ヨル・グランド”を頭に浮かべるだろう。そんな彼の経歴は驚くべきものだ。


まず0歳で魔力の運用を始める。そしてそこから一ヶ月後に彼は全ての魔法を習得する。


そして3歳の頃には体術も魔法も世界トップクラス。


しかし彼に魔法や体術を教えた人物は不明。


そしてこれも公にはなっていないがガルトリア魔法学園に通っているとき魔人を一名撃退。


しかしこの魔人は自然発生したものだと思われる。そして翌年クラスメイトと婚約。そしてさらに翌年、結婚。


そしてその年に魔法学園を予定通り卒業。学園にいたときに二つほど暗殺組織を壊滅。


そして魔人を四名撃退。ちなみに魔人の下位の存在だと思われる魔神とは交戦していない。そして商会を設立。


帝国に英雄だと正式に議会から認められる。そしてその人気はジョン陛下に迫る勢い。


交友関係は財務大臣の息子と親友。その他にも交友関係は広い。しかし親は現在消息不明。


騎士団による調査によると英雄に恨みを持つ人物の反抗だと断言。


犯人は捕まっていない。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「やっぱりいつ見てもこの経歴は凄いな。」


私は執務室でネイルに対して言う。


「そうですね。英雄殿を簡単に表現するとしたら、まさに1000年に一人現れるという勇者みたいですよ。」


「勇者ね、、、」


「それより性格が書かれてなかったけど?」


私はネイルに言うが返答はすぐに帰ってきた。


「性格は穏やかで仲間を傷つける相手には容赦しないと、この報告書が作成された後に聞きました。」


「へえーそんな感じの性格なんだー」


私は少し考える。


「よし、王宮に来たら暗殺しよう」


ネイルは少しだけ驚いた顔をして私に質問する。


「それはなぜですか?」


「ネイルくん。そう言うのは自分で考えるから大切なんだよ」


「いや教えて下さいよ。」


ネイルは少し不機嫌そうな顔をして私に再三聞く。私は少しネイルの圧に飲まれそうになったが強気で対応する。


「ダメと言ったらダメなんだって」


私はそっぽを向く。ネイルは諦めたように私の机にある書類を片付ける。


やっと終わったー、と思ったのも束の間。ネイルが私の机の上に新たな書類を置く。


それは先ほどよりも多かった。


「え、終わったんじゃ、、、」


「はい?追加ですけど?」


ネイルはお得意のキョトン顔で聞き返す。


「な、、、お前教えて貰えなかったからって、」


「私そんなことは言ってないですけど。」


今回はネイルの方が上手だった。


私はネイルにまんまとしてやられた。

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