26話 ”魔神化”それは闇そのものである
「お前、何者だ!」
私は妖艶な美女に聞く。
「それを素直にいうと思う?私に情報を吐かせたいなら私に勝ってからにしなさい!」
彼女が突っ込んできた。すかさずネイルが剣で止める。しかし徐々に押されている。そこで私が援護をする。
え?でしゃばるなって?
バカ言え、勝算があるからするんだよ!
だが戦えない私がどうやって援護をするのか皆、気になるだろう。
それは『魔導具』だ。魔導具とは魔力を帯びておる道具である。魔導具はその魔力を使い魔法を発動させれる。なのでまさに魔力を持っていない人間の為の道具と言えるだろう。
そして私の魔導具は剣。私は剣で相手を斬る。ここ数ヶ月少し剣の訓練をしていたので、まあまあ様になって来ていると思う。
彼女は舌打ちをし、わたしたちと距離を取る。私たちは崩れている辺りを見る。まずい騒ぎになっている。
このままでは私たちの秘密がバレてしまうかも知れない。なので私たちは王宮メイド服ではなく一瞬で一般的なメイド服に変える。
原理の詳細はリンに聞かなければわからない。
しかし私はメイド服じゃなくても良くない?と思ったが言わないことにした。世の中言わないほうが良いことなど沢山ある。
そして私たちは切り込む。しかし魔力がない私は戦力にならない。なので物陰に隠れ戦況を見守ることにした。
ネイルとフレアは連携で攻撃しようとする。
しかしその瞬間あたりが眩い光に包まれた。そして光が止んだ頃には私たちは別空間にいた。
どこかで見覚えがあるような気がするが思い出せない。
そして先ほどまで離れていた、ネイル、フレア、私の3人は固まっていた。そして敵の姿は見えない。
辺りを見回すがどこまでも白い空間は続いているだけだ。そして次の瞬間空間が動く。まるで地震のように振動し立っているのもやっとの状況だ。
そして白い空間がいつの間にか元の空間、現実と変わらないくらいの景色を創り出す。しかしそこは私たちが先ほどまで戦っていた場所とは違うところだった。
そして景色が動く。私たちの目の前を一人の少年が走っている。彼は私たちの事を見えていないようだった。そして私たちも触ることができない。
そして次の瞬間少年に赤黒い魔力が流れ込み体が変異していく。肥大化しそして爆発した。少年はただの肉片となってしまった。そして少年にはもう息がなかった。
そしてどこからか先ほど私たちが戦っていた美女の声が聞こえる。
「私たちは何百年もこのような実験を繰り返してきた。」
しかし口調は先ほどの彼女とは違いどこか知的な雰囲気だった。そしていつの間にか私一人になっていた。
ん?私は何を言っているのだろうか。元々私は一人ではないか。何も焦る必要はないし何も期待する必要もない。
なぜなら元々何もなのだから。
しかし夢ぐらいは何かを望みたかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ネイルは焦っていた。自身の主が一瞬で目の前から消えたのだ。まるでこの場に最初から存在していなかったように。綺麗さっぱりと。
そしてもちろんフレアも驚いた。彼女も辺りを見渡すが誰もいない。彼女たちは目の前で起きている状況を見ていることしかできなかった。
その状況とは毎回5歳くらいの様々な種族の子供が肥大化しては、肉塊となる映像だ。彼女たちはこれをずっと見ている。そして次もいつもと同じだろうと思っていた。
しかしその少年は肥大化はしたが元の姿に戻ったのである。そしてどこからか声が聞こえる。この映像の音声だろうか?
彼女たちは耳を澄ませる。
「実験は・・・」
「しかしまだ・・・」
「だがこれは・・・だ!」
そして美女の声が聞こえる。
「さっそく一人減ったようね。」
「メイ様に何をした。」
ネイルは静かに怒りを燃え上がらせる。
「私は何もしていないわよ。ただ勝手に堕ちただけ。」
「落ちた?」
「そう、堕ちたのよ、彼女は。負けたの。この空間はとある真実に辿り着ける。しかし心に抱える闇が大きければ大きいほど途中で消えてしまうの。」
ネイルには想いたる節があった。
メイの闇について。
そして彼女は声がした方向に走り出す。
「そうよ、あなたが思っている通りに私を殺せばこの空間は崩壊するわ。でも殺せるかしら?」
そしてフレアも駆け出す。二人とも彼女を殺そうと辺りを歩き回るが見つからない。そして彼女が話を続ける。
「私を殺したいなら先に進んだほうがいいわよ。」
ネイルは少し考えた。彼女はとあることを危惧していた。
それは彼女の主に精神的負担がどのくらいかかっているのかだ。もしそれが前回のように言ってしまえばこの空間から脱出できるかも知れない。
しかし得体の知らない力に頼るというのは危険だ。前回はネイルとフレアは大丈夫だったものの今回は攻撃をされるかも知れないし、運が悪ければ死んでしまうかも知れない。
ネイルはそんな危険性を感じていた。そしてそれで悲しむ主を見たくない。
そしてネイルは少しでも早くこの空間を出て主を助けなければならない。彼女は美女の言うことを素直に聞き空間の進行方向へ歩き出した。
なぜ進行方向がわかるのか?
それはわからない。なぜか、わかるのだ。この空間のことなど知らないのに。
「フレア様」
ネイルはフレアに声をかけた。なぜかフレアとネイルはいつの間にか近くにいた。
理屈はわからないが近づいたと言う事実だけを彼女たちは認識した。そして彼女たちは歩き出す。
そして映像もそのまま進んだ。彼女たちはどこまでも続く空間に対して歩いている気がしなかった。




