17話 ”現実”それは残酷である
自称”あの方”はメイと共に虚無の空間へと転移した。周りは全て白い。どこまでも続く広さ。普通の人間なら驚くだろう。
しかし今のメイは全く驚かなかった。無反応である。そして彼女はあの方に対して手を向け魔法を放つ。
「炎の槍」
空中に炎が槍の形をして数本顕現する。そして一直線であの方へと向かう。そして槍はあの方に直撃した。しかしあの方は魔法障壁で防いでいた。
そしてメイはどんどんと炎の槍を顕現する。そしてあの方も魔法陣を展開する。メイは炎の槍、あの方は氷の槍を顕現し、相殺し合う。
激しい音が空間に鳴り響く。そして同じタイミングで魔法の発動が止まり二人は剣を握り切り掛かる。
『ガーン』と厚い音が空間に響く。しかしお互いにまだ様子見というところだ。そしてあの方が仕掛ける。剣に魔法の風属性を加え、メイに切り掛かった。
メイは少し驚いたような顔をし魔法障壁と物理障壁を展開するがその両方を破壊された。あの方の剣がメイに迫る。しかしメイは風魔法を応用した移動方法で一瞬で距離をとった。冷静な対応はしたがメイは驚いた顔をした。そしてあの方が口を開く。
「驚いたか?今のは魔法でも物理攻撃でもなく技巧だからな。魔法と物理攻撃が融合した新しい現象なんだ。これは絶対に防ぐことはできない」
ニヤリと彼は笑う。
技巧は冒険者達が得意としているものであり、発祥も冒険者達の中だ。よく冒険者達に討伐依頼が出る魔物達は物理耐性と魔法耐性が非常に高い。その為に作られた新しい攻撃方法がスキルなのだ。そして防ぐことは不可能であり、その事を知った各国は軍にもスキルを取り入れた。
今は普及をしている真っ最中である。そしてメイはその危険性を感じ取り後ずさるがそこをあの方は逃さなかった。しかしそれは罠だった。
メイは一回見ただけで技巧をどうやって発動できるかわかっていた。そしてメイは剣に氷属性の魔法を纏わせる、そして一閃。あの方の右腕が切れた。しかし痛がるそぶりもしない。あの方が説明する。
「この体は借り物。当然私に疲れもなければ痛みも感じない!」
そしてあの方はメイに技巧で攻撃しようとする、そしてメイは同じく技巧で相殺させる。そしてメイが一気に魔力を解放させる。あの方は驚きの染まった顔をする。
「その魔力お前は本当に人間か?」
そして空間の中にある魔力が一斉にメイに集まった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
彼女達メイドはメイに対する対応より襲撃の対応に手を取られていた。2回目の襲撃があったのだ。前回の際に指揮をしていたメイがいない為対応が遅れてしまったのだ。
組織にメイド達は後宮の奥深くまで攻め込まれていた。しかし戦線はそこで止まっていた。それはリンが珍しく真面目に戦っていたからである。
そしてそこにウェルとフレアが合流しメイド陣営の前線を押し上げていた。しかし今回の襲撃では前回より強者が参加していた為メイド長以外は実力が拮抗していた。また前線は膠着する。
しかし一部は前線が上がり続ける。それはウェルの所だ。どんどんと切り開いていく。しかしそのウェルが足を止めた。
怪物がいたのだ。体は腐りかけており醜い姿になっている大きな化け物だ。
「オオオオオ」
と小さな叫び声をあげている。ウェルはまず怪物の両足を切断するが一瞬で再生した。そして触手のようなものが勢いよくウェルに襲いかかる。しかしウェルはそのすべての触手を切る。
そして自身の魔力を高める。
『魔王流 剣技 ラグナロク』
ウェルが大太刀を静かに振る。その瞬間怪物は縦に真っ二つに切れた。
そして最後
「殺してくれてありがとう。」
それは街のどこにでもいるような少女の声だった。その声を聞いた後にウェルは次の戦場へと駆け出した。
ウェルの心には悲しさと使命感が残った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「この魔力の高まり、もしかして奴か?」
屈強な顔をした男が喋る。
「いや、この赤黒い魔力はあいつだろう。」
しかしメガネをかけた男が異を唱える。
「アイツってなんだい?」
妖艶な美女が質問をする。
「前回話したじゃないか。メイとかいう奴だよ」
メガネをかけた男が呆れたように答える。
「つまりアイツは成功したと」
そして屈強な男が言う。
「そういうことだ。」
メガネをかけた男が肯定する。
「でもいいのかい?演技とはいえあの様な下僕のものにあの方を名乗らせるなんて?」
妖艶な美女が吐き捨てる様に言う。
「でもぉ〜それはあの方も了承してたじゃん?」
10代くらいの少女が言う。
「オデ、ハンタイ」
この中で一番大きい男が反対する。
「うるさいよデク。今は会議中だろう?」
妖艶な美女が言う。
「だが今回の一件で我々はまた崇高な目的に近づいた。」
糸目で目立たぬ男が言う。
「いらっしゃったのですか!?」
メガネの男がびっくりした様子で喋る。
「これは失礼した。」
屈強な顔立ちの男が素直に謝罪する。
「敬語を使いな!」
妖艶な美女が屈強な顔立ちの男を睨む。
「そうそう、ボクも敬語は使うからね〜」
少女が美女に賛成する。
「では次の計画は?」
屈強な顔立ちの男が聞く
「次はMUだ。」
糸目の男が答える。
「おおついに」
メガネをかけた男が反応する。
「楽しみだね」
美女が言う。
「ボクが次やりたい!」
少女が言う。
「オデ、ヤル」
大きな男が言う。
「各自準備する様に」
糸目の男が言う。そして会議は終了した。
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