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15話 ”覚醒の刻”それはすぐ近くである

また私は今回も大事な人を守れなかった。私は心臓を突き刺されたネイルを見てそう思った。


また私だけ安全な所で何もできずぬくぬくと生きている。私は魔法の才能がないと言うだけで逃げていた。


大切な家族 友人 部下 が命をかけている時に私は何もできない。そんな私に嫌気がさした。


そして今も何もできないのか?


私は自分に問いかける。いや違う。何もできないのではなく 何もしないから 何も起こらないのだ。何かをしなければ!


そう決意した瞬間目の前が真っ白になった。そしてそこで黒い人型が目の前にいた。


「やあ私」


私はこいつが何を言っているのだろうと思ったが、まるで次に喋る言葉が決まっていたかのように


「こんにちは私」


と返答していた。そして黒いのが話を続ける。


「早速だけど力が欲しい?」


そして私は即答した。


「はい」


「いいよ。それと、ここでのやり取りも私のことも全て起きた頃には忘れているから。」


黒いのがなぜか笑ったような気がした。私は最後に尋ねる。


「あなたは誰なの?」


「私はーーーー」その瞬間白い空間は崩れ去った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


男がネイルの心臓を突き刺した直後教会内部で二つしかなかった魔力反応が一つ増えた。


しかもこの世界でも上の方の魔力量が一気に解放された。だがその魔力は赤黒かった。


まるで魔力が何かに対して悲しんでいるようだった。そして男はその魔力生命体から並々ならぬ殺意を感じた。




『聖魔混合』




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


かつて神は戯れで人間を作った。


人間の技術能力は凄まじくヨルグラシア大陸を制覇するのに時間は掛からなかった。


しかしその時の人間には感情がなかった。人形のように与えられた仕事を要領よくこなすだけ。


肉親が死んでも友が死んでも悲しまず土に埋めるだけ。


神はそんな人間に呆れ、興味本位で手元に余っていた精霊と悪魔を人間の心に植えつけた。


しかし聖の者である精霊と魔の物である悪魔はお互い反発し合った。


そしてその反発のエネルギーが人間の感情になったのだ。


しかしもちろん代償は必要だった。


それまでは人間は不老だったが感情が芽生えたことにより寿命ができてしまったのだ。


そしてもう一つの代償は人間はこの精霊と悪魔が反発し合わなければ生きていけなくなったのだ。


そんな精霊と悪魔が混合、混ざってしまうとその人間の魔力がとても大きく膨れ上がりその魔力に押しつぶされて、人間は死を迎える。


このようなことが多々起こり人間は神に頼んだ。この感情を自分たちから出してくれと。


しかし神は断った。そして神は人間に滅びされた。人間に怒りという感情が生まれたせいで、これまで従順だった人間が刃向かったのだ。


神は自身が行った行動を後悔した。あの精霊と悪魔を人間に植え付けなければ良かったと。


そして神が最後に見たのは”ニタリ”と笑う神が最初に人間に植え付けた精霊と悪魔だった。




                               『聖書 最終章 滅びそして始まり』から引用




しかしこれには途中燃やされたページがあった。そこには重要なことが書かれていた。


『そんな精霊と悪魔が混合、混ざってしまうとその人間の魔力がとても大きく膨れ上がりその魔力に押しつぶされて、人間は死を迎える。しかしこれにはもう一つ落とし穴があった。この聖魔混合は”〇〇家”の血を引いており魔力量がゼロだとその力を操れるようになる。つまり体さえも押し潰してしまうような巨大な魔力を操れるようになるのだ。それにより感情ができた人間同士がその力を求め争いを始め人口は激減した。


このようなことが多々起こり人間は神に頼んだ。この感情を自分たちから出してくれと。』


そしてメイは『”〇〇家”の血を引いており魔力量がゼロ』この二つの条件を満たしていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


後宮でリンは一つの大きな魔力を察知した。それは自称 大陸一の魔法使い と謳うリン本人の魔力量よりも大きな者だった。


もしくは魔大陸たちの魔王達さえも凌ぐような魔力量だった。その事実にリンは体が震えた。しかしその震えをリンはまだ知らなかった。


そしてその危険性からリンは他のメイド長達にも状況を共有することにした。そしてその報告はメイド長達を驚かせるようなことだった。



男が殺意を感じた相手である魔力生命体は先ほどまで魔力も使えず体を縄で縛られ身動き一つ取れていなかったメイだった。


黒色だった目が赤色に変わっており、持っていなかった魔力は赤黒い色だった。


そして男への殺気は隠そうともしない。男は体が震えた。それは恐怖によるものだった。


男は一瞬でメイと距離をとる。そしてネイルからは血がどんどん流れる。


それをメイが見つめている。そして死んでいるネイルにメイが手を向ける。


男は目の前の現象を疑った。ネイルから流れた血がネイルの体に戻っていっているのである。


そしてネイルの手が”ピクリ”と動いた。


男は信じられない光景を見た。死んだ人間が目の前で生き返ったのだ。


魔法を使っても人間を生き返せることができる魔法使いは限られている。その事実に男は震えた。


そしてメイが男の方を見る。そして男は覚悟を決めた。

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