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第21話【メドゥーサの瞳に映るは】

 メドゥーサはその美しさの影響でポセイドンに手を出され、その場所がアテナの神殿であったがためにアテナの怒りを買った。

 彼女は身も心も醜い怪物に変えられてしまう。


 様々な思惑が交錯する中で彼女はペルセウスにより打ち倒されてしまう。


~~~~


 最初は瞳を褒められることが多かった。

 異性を惹きつけるのだと知ったのは、わりと幼い時から。

 だけど、目を隠すことはしなかった。


 それは別に隠すほどのことではないと思っていたし、何か問題が起きたわけでもなかったから。

 男子が結構意識してくるっていうのは、ちょっと邪魔に思うことはあった。


 その日、灯里は祖父母の家に遊びに来ていた。

 お祭りが行われているから気晴らしにどうだいと言われたのがきっかけだった。

 灯里は出かけて公園をふらついていた時にそれを見た。

 別に危ない行為だとは思っていた。


 この瞳の力がなくとも少女がナンパするような年上の男性に声をかけるのはとても危険だってことはわかっていた。

 だけど、そこにいる女の子が目に入ってしまったから声をかけた。

 近くに和倉と中村という男性がいたのは偶然だった。


 その時は灯里もたまにしか遊びに来ない場所でしかなかったから、その女の子のことは大人に任せた。友達になろうとは思っていなかったし、だから記憶の彼方へ追いやられたのだろう。


 それから数年が経ち、高校に上がると周りも色めき立つ。

 男子からのアプローチがそういうものだということに気づかないほど鈍感ではなかった。小学生の時、中学生の時。どんどん男子のアプローチが強くなっているのを感じていた。

 だから男子から避けようと思った時には、事態が収拾つかない段階に来ていた。


 最初は友人の彼氏だった。

 実際問題翠希がそうであったように、彼氏にも灯里に対してその気はなかった。

 だが、他の男子も灯里に気をかけていたのが悪かった。


 灯里は友達の彼氏に色目を使っているのだと糾弾され、友達の関係に元には戻らない亀裂が入った。それをきっかけとして「男に媚びを売っている」として女子たちから嫌われることとなる。

 女子との居場所がなくなると、男子たちも空気を呼んで灯里から距離を置いた。

 たまに灯里の味方をしようとする男子もいたが、正義感で動いているか欲が漏れ出ているかの二択だった。そうやって庇った男子も風評被害受けることで沈黙した。

 それでも立ち向かう男子は灯里の前には現れなかったのだ。


 それと重なるように灯里は母と別居をすることになる。

 母は父を亡くしており、しばらくしてシングルマザーとなった後、懇意にしていた男性と交際を始めた。

 男性の灯里への態度は特段変わりないように思えたが、再婚を考えていた男性は灯里とも仲良くしようとしていただけだったが、それが熱を持っているように見えたのだろうか。

 母がストレスを抱えるようになり、母と祖父母が話し合った結果、母の気持ちが落ち着くまで祖父母の家で暮らすこととなった。


 だから灯里はこの瞳には「異性を惹きつける力」があるのだと考えた。

 だからサングラスで世界を閉ざした。

 男子とは瞳を合わせたくない、女子とは顔を見るのが怖い。

 感情の割合で言えば、女子への恐怖の方が強かった。


 都合のいいところだけメドゥーサに重ね合わせて、男を惑わしたから罰せられたのだと自責の念に駆られた。自分は怪物なのだと。退治されてしまう悪い女なんだと。

 そう思うことにしたのだ。


 灯里は知らぬことだが、事件は学校中に知れ渡り、騒動の発端・扇動者となった女子たちは罰せられており、灯里に対する噂の誤解も解けている。もちろん灯里の友達の誤解も解けているが、それは灯里の耳には届かない。

 トラブル防止や再発防止のため、灯里への連絡も禁じられており、彼女に伝えられることはない。

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