第18話【お土産の味】
休日挟んでの今日。
藍良はお土産のお菓子やらなにやら色んなものを持ってきてはクラスのみんなに配り歩いていた。
友達にはかわいいキーホルダーとかぬいぐるみとかをプレゼントし、その他大勢にはお菓子のプレゼント。
さすがに普段のような変な味のお菓子ではなく、地域限定のしっかりと美味しいやつ。
わいわいと藍良に群がるクラスメイト達。
クラスの中心にいるのはやはり彼女だ。
それで、そのお土産はどうしたのかというと、休日のうちに翠希と共に遠出のデートで観光をしてきたのだそうだ。
秘密の教室で灯里は藍良の話を聞く。観光の話や翠希のこと様々な景色も見てきて堪能してきたようで興奮冷めやらぬ様子だった。
「おみやげ一緒に食べよ」
と差し出してきたのは名物の羊羹。
美味しいという噂でありつつ、
「た、た高いやつでは……!?」
「奮発しちゃった。……翠希が」
ボソッと彼氏の名前を告げる藍良。
このお高いとされる羊羹を買ったのは翠希だった。彼の懐事情は灯里には与り知らぬことだけど、彼には同情した。
「甘っ」
「しっとり美味しい……」
ひとくちずつ口にしてその美味しさに酔いしれるふたり。
その他にも色んなものを開けてちょっとしたパーティ気分で過ごす。
「遠出したのは観光が目的じゃないんだよね」
「?」
そう言ってひとつの小鼓を取り出した藍良。
秘密の教室に来てから偉く丁寧に包装された箱があるなとは灯里も思っていた。
「これを買いに行っていたんだ。開けてみて」
包装を綺麗に剥がして、箱を開けると、姿を現したのはメガネケースであった。
藍良はそっと慣れた手つきで灯里のサングラスを外す。
もちろん、灯里はその瞬間に顔を逸らす。
「……目を瞑ったらこっちを見れる?」
灯里は目を瞑って前を向く。視界が閉ざされ、藍良の姿は見えない。
だけど、メガネをかけられたのは感覚で分かった。
「いいよ」
目を開けるとそこに広がるのはサングラスよりも明るい視界だった。
完全にクリアな視界ではない。そのメガネは『色付き眼鏡』だった。
「サングラスの次は色付き眼鏡。なんてどうかなって思ったんだ。少しだけ灯里ちゃんの顔が見える」
「……」
ぱちくりと瞬きしながら藍良の声に耳を傾けていた。
「こっちからは暗くて瞳が見えないけど、かけている人にはクリアに見えるっていうメガネだって、どう?」
「……か、完全に透明ってわけじゃ、ないですけどサングラスみたいに、く、暗くはないです」
「そうじゃなくて、嫌じゃない……かな。こんなプレゼント」
首を横にぶんぶんと振る灯里。不快じゃないとしっかり伝えたかった。
「そっか、よかった」
「……ありがとう、ございます」
「じゃあ、さっそくこれで目を」
顔を上げていた灯里の顔がすんとそっぽを向いた。
目を合わせようと提案する前に顔を逸らした灯里はかなり気まずかった。
だけど、藍良は露骨な動きが面白くて、笑って許した




