狐人、計画、目的
ひ、久々…
若干、短めになっております。
~拠点付近・東~
「『ボグ・ダウン』……『ロック』」
『コンッ!』『おわわっ』
護は近くの影から、謎の集団に向けて魔法を放った。驚く声が聞こえ、動きが止まる。
どうやら全員、拘束ができたらしい。
(アンたちが、樹海方面に遠征していた時には、運よく遭遇しなかったし、東に探索を伸ばしても遭遇しなかったから、こちらに来ている奴らはいないだろうと思っていたが…。まさか、現れるとは。それにしても、魔法にかかったのはわざとか?十三人とは言え、精鋭だと厄介だな。)
抗う様子を見せない獣人たちへの警戒を上げる。来訪者たちから西に進路をとるメリットはほぼ無い。色々と調べているが、拠点より西にオアシスはないし、比較的強く、食料には向かない魔物が多い。
だから樹海樹林に居た方が、エルフたちと遭遇するリスクを徹底に避けるという条件つきだが、生活できる。また、村に戻るならば、北に進路を取ることになる。そして、東にはアスタイト王国やドワーフの国がある。向かう輩はいないだろう。
あと、護には避けたい事柄もあった。
(……獣人たちの肉を食うのは、不味いだろ……)
猫人族も犬人族も、同タイプ以外の人肉を食べることに忌避感がない。とは言え、同タイプの肉を食べることを禁忌にしているため、殺すわけにはいかず、戦地に送るようだ。
声からして、猫人や犬人ではないことは間違いない。完全な敵対行動をとってくれば、迷わずに戦えるが、そうでなければ、殺すことに迷いと躊躇いが出てしまう。
何より、人肉を食べる文化を残せば、これまでの状況と変わっていない。
「護様、お待たせしました。彼らの動向は?」
「魔法に抵抗する様子なし。反応も動いていない。ざわついていたのも収まっていて、不気味な状態だ。」
「どうなされますか?」
「リスクを負う。殺すにしろ、生かすにしろ、どんな奴らか見ておきたい。メイアはここで待機。俺が前に出る。」
「お気をつけて。」
「ああ。…いざとなったら、助けてくれ。」
「もちろんです。」
護は、『月光・真打』を引き抜いて、来訪者たちの前へと出た。
来訪者たち、狐の耳をした獣人が四人、鳩頭と肩から翼を生やした者が一人、がっしりとした体つきに特徴的な鼻と耳を持った象人が二人、後は鼠人が六人という構成だった。
全員消耗しているのか、虚ろな瞳の者が多く、特に、象人はその大きな図体に反して、覇気がない。
護の短剣を見た鳩人が悲鳴を上げて、バランスを崩す。
「ヒィ!トヴァちゃん、俺たち殺されるっ!!」
「落ち着いて、ラーさん。」
宥めるような声で言ったのは、狐人の少女、トヴァだ。
その隣で、護に戦意を向けてくるのは、トヴァによく似た青年。ボロボロの武器を構え、固められた足を無理矢理引き抜こうとしたのか、血が滲んでいる。
「おいっ、てめえ!」
「お兄ちゃん、待って!彼は敵じゃないの!」
毛を逆立たせる兄を、トヴァがかん高い声で威圧する。兄は、不自然に動きを止めて、視線を護に向けたまま、武器を下ろした。
「ごめんなさい!戦うつもりはないの!私たちは最初から逃げて来たの。殺さないで。」
「…お前の兄は戦うつもりのようだが?」
「お兄ちゃん、服従して。」
その言葉で、兄は武器を落とし、両手を地面につけ、四つん這いの状態になる。顔が苦痛に歪んでいるところを見ると、強制させられているようだ。
護はトヴァへの警戒を強めつつ、問う。
「俺が攻撃しないとどうして知っていた?」
「それは見えたから。いきなり殺される未来は見えなかった。だから、大人しくするのが正解って思ったの。」
「…『予知』か。」
「うん。」
(強力なエクストラ持ち…。全体的にレベルが低い中で、ここまで切り抜けられたのも、その力によるものか。他にも生産系のスキルをもった奴がいるし、俺たちにとって都合がいい。)
喉から手が出るほどのスキル、『鍛冶』を持った者はいないが、加工できる者が多い。欲しい人材が一気に現れたと言える。
ただ、トヴァの『統率』の力は厄介だ。護たちには効かないとはいえ、効く者で反乱を起こされても、困る。
「どうしてほしい。食料を分け与えるだけならできる。」
「あなたの縄張りに住みたい。」
トヴァの瞳は護を真っすぐ見つめている。その目が何より本気であると訴えていた。
彼女に近づいた護は、仮面を被った顔を近づける。怯える様子を見せない彼女に問う。
「お前以外なら、引き受けてもいい。」
「私が『予知』と『統率』を持っているからなの?」
「そうだ。どちらも、権力者にとっては、毒にも薬にもなる力だ。はっきり言って、俺はお前を信用できない。」
「あなたも一緒。…あいつと同じ、臆病者。」
その言葉から、彼女が追い出された理由が垣間見える。
諦観を見せ、先ほどまでの覇気は一気に消え失せる。
護は距離をとり、疲労感を滲ませつつ、呟いた。
「そうか…。臆病者に見えるか?」
「うん。私を追い出そうとしている。私のことが怖いんでしょ?」
「違う。それに、どちらかと言えば、無鉄砲だと思っているんだが…」
日ごろの行動を振り返って、護は仮面の裏側で苦笑する。
それから、中腰になり、トヴァと視線を合わせた。
「追い出す未来が見えるか?」
「……見えなくなった。…面白いね。」
不自然な間が空き、二人の口が同時に動く。
「「よろしく」」
護は腰で握りしめられていた短剣を仕舞い、トヴァに手を差し伸べる。
厳しい旅路を経た手は細く力弱い。その手を強く握り、護は土魔法を発動して拘束を解き、彼女を隣に立たせる。
「俺たちが住処を提供しよう。ただし、働くこと。それが条件だ。嫌なら、今すぐ立ち去れ。後、敵になるのであれば、容赦しない。」
護が言いきると同時に、彼らは静かに服従の姿勢を見せ、立ち去る者はいなかった。
『マモ殿ー!無事かワン!?』
武装をした犬人、猫人たちが、この場へと駆けつけてくる。そして、護の隣に立つ、トヴァと服従の姿勢をとる来訪者たちを見て、首を傾げる。
トヴァが一人の猫人に当てられて、悲鳴を上げる。さっと護の後ろに身を隠す。
何事かと、護はトヴァの視線を追うと、
『にゃー?』
殺気を向けた本人は手を振りながら、こちらに来ていた。
瞳孔が完全に開き、周囲へと重圧を放っている。
『マモ。説明してほしいにゃー?』
「ああ。簡単に言うと、新たな住人だ。」
驚きが広がる。護を訝しい視線を向ける者もいた。特にジト目でミゥが見つめてくる。
護は、ミゥからそんな視線を向けられるか、不思議に思いながらも、手を叩く。
「とにかく、食事をとり、休め。明日の朝、新たな住人の紹介と、これからの計画も話す。」
『分かりましたワン』『ええー、今、話してほしいにゃ』
「今日はもう遅いし、疲れているだろ。…居眠りをして話を中途半端に聴く筆頭が文句を言うな。さぁ、拠点に戻るぞ。」
獣人たちは護の言葉に素直に従う。ただ一人、動かないミゥの視線が護の隣に注がれているので、隣を見てみる。
じっと見つめられていた。
護の視線が自分に向いているのに気づいたのか、視線を逸らし、兄の元に駆け寄っていった。
訳が分からない護は、首を傾げた後、メイアとミゥに第二拠点を作ると告げて、新たな住人を連れ移動するのであった。
~翌朝~
「新たに作ったドーム型だ。これから多くのことで利用していく。拠点同様、ほころびが出た場合はすぐに教えてくれ。」
拠点を降り、『職変えの水晶』などが置かれてある洞窟と道路の反対側に、百人ほどが入れるドームができていた。第二拠点を作った後、護とエトリアが協力して作ったものだ。外に比べると、かなり涼しい。
というのも、二層構造になっており、温度が変わりにくくしている。その空洞には、例のごとくスライムが常駐している。
ちなみに、この過酷な環境に適応した派生種、ウエットスライムとサンドスライムが登場し、水分管理と土魔法による修復ができるようになった。今はレベル上げと教育を急務にしているため、通常のスライムに任せている。
「さて、昨日来た新たな獣人たちを引き入れた理由だが、今、俺たちができることはかなり偏っている。戦闘はできるが、必要な武器を生産できる奴がほとんどいない。」
集まった獣人たちに、護は説明していく。
「これから農業をするにあたるつれて、道具は必須。狩りをするにもこれから損耗を考えていくと、武器も必須、その他諸々も作る人間が必要だ。だが、今までは戦闘がメインの者しかいなかったわけだ。」
護は新たに来た獣人たちを前に呼ぶ。前に出た彼らは、犬人、猫人の視線を受けて体を固くしていた。
「彼らは、戦争から逃げてきたらしい。当然ながら行き場所がなく、俺たちと同じ立場にある。同情という観点もあるが、何より、彼らは本来、道具を作る職人たちだ。…彼らの道具があれば、作る飯が増える。」
『ゴクリ…』
何人か、食い扶持を張っている奴らの目が本気になる。涎が垂れている。
また、感情的に納得がいっていない者もいるだろうが、少なくとも反対する者はいないようだ。
「ということで、それぞれ自己紹介を頼む。何ができるか、言ってくれ。」
トヴァを始めに、それぞれの挨拶が終わる。終わった頃には、トヴァには狩りに飢えた奴らの熱烈な視線が、ラーには役に立つのか、という疑問の視線が向いていた。戦闘職からすれば、足手まといでしかない戦闘力と性格をしている。
「ひえぇ」
また、本人がかなり怯えているところも、精神を逆撫でしていた。
何かしらの問題が起こりそうな予感がする。
護は感情を顔に出さずに、彼らを下がらせる。
「注目。こっからが本題だ。今日からの方針を説明する。」
縦二メートル、横三メートルほどの石板を『アイテムボックス』から取り出した。その石板には複数の絵が彫られていた。
護はまず、獣人たちからして、一番左の絵へ木の枝を当てる。農作業をしている絵だ。
「まず農場を作っている班はこれから本格的に農業を始める班と、防砂林を広げる班に分かれる。詳しい内容は俺が指揮を執るから、ここでは説明しない。ただ、作業が増えるぞ。」
『え~』
獣人たちから不満の声が上がる。きつい部類に当たる仕事であるので、当然だろう。
「気持ちは分かる。ただ、今までのように木を引っこ抜いたりはしない。俺の負担もかなり大きいから、次策でやっていこうと思う。」
『マモもしんどいにゃ?』
「ああ。だから、少しだけ楽をしようと思う。」
(あのヤバい植物なら、適応しそうなんだよなぁ。)
完全な砂漠の状態だと生えてこないが、少し手心を加えれば、出てくるので、それに賭けることにした。用意なしで適当に蒔いても、勝手に成長しそうな雰囲気がある。ただ、それは逆に困る。
(それに、新しいことに移らないと、しんどいだけだからなぁ。あれもできて、丁度いい。定番と言えば定番だが、見たことないだろうし。)
護は『アイテムボックス』に入っている物を思い出す。メイアたちからも疑問に思われながら作った力作だ。
苦労を回想しそうになる護へと、仲間、仲間と言わんばかりの視線が送られる。
仮面の裏で鬱陶しく感じながらも、次の話を切り出した。
「さて、次に狩りをしている班だが、再び狩りに出てもらいたい。向かう先は樹海だ。」
『おおっ!!』
「マモ、飯!いっぱい食べての良いのか!?」
「ああ。ただし、二つ条件がある。」
狩りで貢献している獣人たちの目が輝く。一週間は先だと思っていたため、彼らのやる気はうなぎ登りだ。はしゃぐ彼らを、護は一喝し、黙らせる。
「一つ、トヴァの予知に従うこと。武器の損耗は一人、一本までとする。また、探してほしい植物がある。できれば、引っこ抜くなりして確保してほしい。」
「分かった!!」
「で、探してほしいのが…」
石板に描かれている植物を指し示す。それは、平坦で淵がギザギザしている葉が特徴で、樹海樹林の影で生息している種。色を光魔法で示すと、その植物は毒々しい紫色をしていた。
「正式名称は『マジック・ププレア』。魔力回復薬の素材の一つだ。」
「ん~。それだけで、作れるの?」
「いや、魔力回復薬を作ることを目的としていない。どちらかというと、その作用の一端が必要なんだ。」
「??」
首を傾げる彼らに言う。
「この赤じ…じゃないな、マジック・ププレアは魔力を使って成長したり、蓄えたりする性質がある。魔石がなく、魔物化しないのが、こいつの興味深いところなんだが、割愛だ。とにかく、魔力を集めるという点が大事なんだ。」
『?』
「魔物を意図的に作り出すおつもりですか。」
「ご名答。」
後ろからの声にビクッとしながら、獣人たちは声の主に向く。
いつの間にか入って来ていたメイアが立っていた。その後ろにはセレスとアンがいる。
三人が入ってきたのを確認し、護は再開した。
「かなりの魔力が集まれば魔物ができる。制御できる範囲で魔物を作り出し、糧とする。これが、農業組と狩り組のとりあえずの目標になる。」
「危なーくないかぁ?」
「そうだな。エルフの国や人族の国ではそれが起こらないように細心の注意を払って、避けていることをやるわけだ。ただ、避けるようになる、その大元となった理由は別にある。それは、楽に魔物と戦えるようになるというリスクが強すぎるんだ。」
昔はこの方法を「養殖」といい、限られた空間内で殺し合わせ強敵と戦えるようにする「蟲毒」といった方法も編み出された、禁忌。
今ほど、食料を満たすことができなかった時代の手段であり、メリットは莫大。しかし、リスクも大きい。調子に乗ると、国を亡ぼすクラスの魔物が出てくるところが。
さらに…
「強くなるということは良いことだが、それを制御する側が失敗した。結果、戦争が起こった。出てくる魔物の脅威よりも強くなった者の脅威の方が大きくなった訳だ。強大すぎる力は争いを呼んだ。」
「滅ぼしあったのー?」
「一言で言えばそうなる。」
記録によれば、大体三百年前ぐらいに養殖が一因の戦争が起こった。それ以前は養殖の失敗による魔物が国を滅ぼしていたようだ。そんな中、養殖育ちが国を建国し、覇を求めて戦争を起こしたのだ。
結論から言えば、一つの国が勝つことになるが、戦争の余波で多くの人族側の記録が失われることになる。さらに、疲弊しきった国で豪勢をもって過ごした王は毒殺によって死亡した。その際、養殖に関するノウハウは完全に消え去り、魔力をむやみやたらに高濃度に集中させてはならないという話がずっと残っているという訳だ。
ちなみに、この記録を書いていたのは賢者だ。養殖の失敗でエルフの国に襲い掛かってくる魔物を始末していたついでに、戦争の過程も記していたようだ。また、その戦争が終わり、再び小国が乱立した時代を越して、約二百年前にアスタイト王国が建国し、それ以来統治が続いているようだ。
閑話休題。
「今の状態なら、そこまで心配はしていない。少なくとも農業が安定し始めたら、禁止するつもりだ。」
『止められるかにゃ?俺たち、そこまで頭が回らないにゃ。』
「俺はできると信じている。出来なかったときは…」
「ときーは…」
「滅ぶだけだな。」
護の言葉は軽かった。
理解するのに少しの間が空き…驚きの声がドーム内で反響する。
『死んじゃうにゃ!!』
「そうだ死ぬ。だから欲に駆られた奴は容赦なく罰する。どれだけこの場所に貢献していたとしても、だ。」
今度は沈黙が降りる。護が言ったことは、それだけの衝撃を持っていた。
「お前たちは仲間の肉を食べないだろう。」
『当然だワン』
「それを破った奴は?」
『…一人だけいたにゃ』
「どうなった?」
「族長が剣でスパッと殺して、魔物の餌に使ってた…マモ、破れば俺たちもそうなるのか?」
「否定できないな。まだ、どうするかは決めていない。でも、重罪にするつもりだ。」
顔を完全に青ざめさせた獣人たちに、護はやり過ぎたかと思う。
慰めになるか分からないが、言葉を続ける。
「今すぐ、大きく変える訳じゃない。ただ、仲間を危険に晒す奴が好き勝手したら、皆が苦しむことになる。それは嫌だろ?」
「うん。」
「だから、決まりを作るし、罰を作る。自分たちを守るためにいつかは決めないといけない。…それに決まりを破らなければいいだけだ。何も悪いことをしていない奴に罰を与える訳じゃない。」
(まぁ、悪用する奴がいるのが、人の性なのかもしれないが…)
ほっ、と落ち着いている獣人たちとは別に、心の中ではそう思う護。
頭の中を切り替え、護は石板に向き合うと、砂漠を歩く絵を指して説明を再開する。
「とにかく、話が逸れた。条件の二つ目は、巡回組は変わらず、巡回をする。」
『うげっ!!』
「面子の変更はガンドルフさんとエトリアさんに任せているから、俺からは何も言わない。」
『また、行けなくなるにゃ…』
「頑張って勝ち取ることだ。」
『は~いにゃ』
かなり激しく扱いているらしい。そのおかげか、死者は今のところ出ていない。
明らかに、テンションが落ちる組と自信に満ち溢れた組に分かれていた。
護は「頑張れ」とエールを送るしかなかった。
「話すことは以上だ。食事を取り終え次第、農業班はいつもの場所に、狩りの班はここに、製作班は水晶の洞窟に集合してくれ。」
『は~い』『承知』
獣人たちがぞろぞろとドームから出ていく。後には護とメイア、ミゥ、シィが残る。
「お疲れ様です、護様。」
『マモ、いつの間にこれ作ったのー?』
「遠征の前だ。エトリアさんと協力して作った。」
護は石板に持たれかける。石板は護の体重を完全に支え、少し当たったところが欠ける様子もない。
また、ミゥとシィはずっと石板に彫られた絵を見つめている。
『初めて見たにゃ』
「そうか。絵を見たことが無いのか。」
『ないにゃ。「絵」…そんなことする暇があったら、魔物を殺した方がいいにゃ』
「…俺は、絵を描かされる世界から来たんだ。」
『?』
「シィみたいな年の時には、絵を描くんだ。好きだろうが嫌いだろうが、上手い下手なしに。」
『訳が分からないにゃ』
「俺もさっぱりさ。でも、魔物や人と少なくとも殺し合いをする必要はなかった。誰かが死ぬということもなかった。」
『想像できないにゃ。戦わなかったら死ぬだけにゃ』
この世界での現実。年齢は関係ない。魔物という脅威がいて、戦う力がなければ死ぬ。そういう環境にシィという少女たちはずっと置かれてきた。親、兄弟、姉妹、友人が亡くなろうとも、悲しむことすら、忘れる。それがシィたちにとって日常であり常識。
「俺の目標は覚えているか?」
『覚えてる。でも、分からないにゃ。どうして、それを目指すにゃ?』
「俺のわがままだ。あとは彼女の頼みだからかな。」
『?』
怪訝な目を向けてくるシィに、護は何から話そうかと困った表情をとる。
『どういうことにゃ?』
「護様は、好きな女性にかっこいいと思われたくて、頑張っているのです。」
「ちょ、メイア!」
ミゥが訳したようで、護の代わりにメイアが答える。あながち間違いではない分、護の顔が赤くなり、言葉が上手く出ない。
シィも納得しているようだ。それでも、疑問が残っているようで首を傾げる。
「マモも雄でここの族長。メイやセレ、アンを侍らせていることは知っている。でも、彼女って、他にもいるということ?」
「そうだよー。エルフの女王様なんだって。シィたちを助けるようにマモを動かしたのは彼女だよー…少し……」
「?…前にも聞いたけど、ミゥの嘘じゃない?殺されかけた女が私を助けた?ますます訳が分からない…」
理解の許容を超えたシィからショートする煙を幻視する。そのまま彼女はフラフラとドームの外へと向かってしまった。後半、呟くように何か言っていたミゥが、気づいてすぐに追いかけていく。
「メイア、流石にそれだけで動いているつもりはないぞ。」
「存じております。私も子供が出来ましたら、いい場所で護様と一緒にお育てしたいですから。」
「そうだが…それを言って欲しかったなぁ。」
「お預けをされている方にもなってください。」
「……」
メイアが軽く微笑む。護は視線を逸らし、無言になるしかない。
冗談ではなさそうだ。倒れかけてから、アプローチが戻った。三人の『奉仕』のレベルも上がっているし、なけなしの理性が踏ん張っている状態だ。
自身の腹の音がなった。護は話を逸らしにかかる。
「セレスたちが待っているだろうし、食べにいくか。」
「…はい、ご主人様。」
メイアは護の腕を絡めとり、彼の歩幅に合わせて、歩き始める。
ちなみに、二人の睦まじさに視線を険しくする男狐人がいたとか、いなかったとか。妹が注意を向ける相手を射殺さんばかりに睨みつけており、それを知った妹から本気で怒られたらしい。
A:なんちゃってQ&Aを始める。
Q:これは、流石LUC(非公式)最強の主人公の引きと言えばいいんですかね?
A:そうなるな。計画については、詳しいことは突っ込まないでくれ。何度か修正するかもしれない。
Q:はぁ。…狩りなんて最悪、一匹もでない可能性もあるし、採取も無かったり、できなかったりする場合もある。それを何とかしようと足掻いている最中と言えばいいんですかね?
A:そ、そうだな。
Q:最後に関しては…
A:…(目を横に逸らしている)
補足 蟲毒産のモンスターのレベル 100以上を想定 これを倒せた者たちが戦争を起こした。
毒であっけなく死なない? ずっとかけ続ければ、何とかなる。魔法は枷で封じ、投与し続ければ、致死量に達する。
ちなみに、毒耐性は一般スキルに存在しない。素のLPとENDで耐える間に解毒するしかない。麻痺系は、ENDで緩和できる。
こんなところですかね…




